50代後半、年金の見込み額が見えてきた。これからどうする?
配信日: 2021.06.02 更新日: 2021.09.01
執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。
ねんきん定期便で年金見込み額をチェック
毎年誕生月になると、日本年金機構より、はがきサイズの「ねんきん定期便」がご自宅に送られてきます。50歳以上60歳未満の方の場合は、現在の年金加入制度に60歳まで継続して加入したと仮定して、65歳から受け取れる年金見込み額が記載されています。
インターネットの「ねんきんネット」を利用すると、いつでもどこでもパソコンやスマートフォンから自身の年金記録の確認や、電子版ねんきん定期便のサービスも利用できます。
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世帯の年金見込み額
ご夫婦の場合、それぞれのねんきん定期便に記載されている年金見込み額を合算することで、ご夫婦での年金見込み額を把握できます。
参考までに、平均的収入の方の場合の給付水準は図表1のとおりです。
(厚生労働省「令和2年度の年金額改定についてお知らせします」(※1)を参考に筆者作成)
※前提:平均標準報酬(賞与含む月額換算)が43.9万円で40年間厚生年金に加入、妻は厚生年金未加入
老後に必要な生活費
さて、老後の生活費はどのくらいかかるのでしょうか。生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査(※2)」によると、夫婦が老後生活を送る上で必要と考えられている最低日常生活費(月額)は以下のとおりでした。
22.1万円
20~25万円未満(29.4%)
30~40万円未満(17.0%)
25~30万円未満(13.1%)
経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用として、老後の最低日常生活費以外に必要と考える金額(月額)は以下のとおりでした。
14.0万円
10~15万円未満(33.9%)
10万円未満(20.6%)
(生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」を参考に筆者作成)
その他の支出
ご夫婦の年金見込み額と、老後に最低限必要な日常生活費の平均はほぼ同額になりますが、実際には生活に必要な費用は年金額よりも、もう少し多くなる可能性があります。
参考までに、平成25年調べの総務省「家計調査(※3)」では、標準的な60歳代夫婦の生活費の内訳は以下のとおりでした。
食費:6万5000円
住居・家事用品:1万7000円
光熱費:2万3000円
衣類:8000円
保険・医療:1万5000円
通信・交通費:2万8000円
教育・教養娯楽:2万7000円
その他:6万7000円
合計:25万円
また、日常生活費には、住宅ローンの返済、住宅修繕・リフォーム、家電の買い替え、車の買い替え、その他イベントにかかわる支出は含まれていません。これらの費用は、別途「その他の支出」として計画しておく必要があります。
「その他の支出」の原資
「その他の支出」のための原資をどうしたらよいのでしょうか。「その他の支出」は意外と金額的に大きく、使用する時期もおおむね計画できそうなものもあります。預貯金、株式や投資信託、積立型の保険、定年退職金などがある場合、退職金の見込み額や保険等の満期金などを確認し、それらを受け取る時期を洗い出しておきます。
これらを、年単位(場合によっては5年単位でも)でキャッシュフロー表に落とし込むことで、支出と収入の収支と貯蓄残高の推移が把握でき、今後の対策を立てやすくなります。
「その他の支出」を貯蓄等の金融資産で賄うことができない場合には、何らかの形で準備をすることになります。資金を確保するための準備は早ければ早いほどいいです。
収入の確保
収入を確保する方法として、どのような方法が考えられるのでしょうか。基本的は、「働く」「運用して増やす」「年金の受給開始時期の繰り下げる」の3点です。
ア.再雇用など現在の勤務先で継続して就業する
イ.起業(業務委託契約も含む)する
ウ.パート・アルバイト・派遣で働く
ア.現在保有する資産を運用して増やす
イ.積み立てながら運用する
年金は、70歳まで繰り下げると1.42倍に増えます。
まとめ
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)(※4)」の一部が改正され、65歳の定年後でも働くことができる環境が整ってきていますので、末永く働けるよう心身ともに健康であり続けることが肝要です。
また、運用も有効ですが、シニアの方であれば、元本割れの可能性の低いローリスク・ローリターンの金融商品が適しているのではないかと筆者は考えます。
働くこと・資産運用以外では、年金の受給開始時期の繰り下げという方法もあります。ただし、65歳~70歳までの5年間の生活費は、収入で賄う、もしくは貯蓄の取り崩しを行う、またはそれらの組み合わせで確保できていることが前提となりますので、留意しておきましょう。
(※1)厚生労働省「令和2年度の年金額改定についてお知らせします」
(※2)生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」
(※3)e-Stat「家計調査年報(家計収支編) 平成25年(2013年)」
(※4)厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正 〜70歳までの就業機会確保〜」
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント