更新日: 2021.06.10 厚生年金
勤務先が厚生年金に未加入! このような場合はどうしたらよい?
しかし、金銭的な問題から加入手続きを行っていない会社もあります。
自分の勤務先の会社が厚生年金に未加入だったことが分かった場合、どのような対処法があるのでしょうか。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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厚生年金の加入条件
厚生年金は、一定の条件を満たす事業所に対して加入義務が設けられています。
■事業所の加入条件
事業所のうち、商業・法人登記を行っている団体(株式会社など)は、社員の人数にかかわらず厚生年金に加入しなくてはいけません。そして、厚生年金への加入が義務付けられている事業所を「強制適用事業所」といい、具体的には以下の事業所が該当します。
1.常時従業員を雇っている株式会社、特例有限会社、国や地方公共団体
2.常時5人以上の従業員を雇っている個人事業主(ただし、旅館や飲食店などのサービス業は除く)
3.船員が乗り組む一定の条件を備えた船舶など
また、上に該当しなくても、従業員の半数以上が加入の同意を行い、事業主が申請することで適用事業所となることができます。
■労働者の加入条件
厚生年金適用事業所では、国籍や性別、年金受給の有無にかかわらず、70歳未満で常時使用されているすべての従業員が被保険者の対象となります。被保険者の定義は以下のとおりです。
「臨時や季節的業務で雇用される人を除き、就業規則などに定められた一般社員の所定労働時間の4分の3以上ある従業員」
また、上の条件を満たさない(所定労働時間が4分の3以下)場合であっても、次の5つの要件をすべて満たす方は、「短期労働者」として加入することとなります。
●週の所定労働時間が20時間以上あること
●雇用期間が1年以上見込まれること
●賃金の月額が8.8万円以上であること
●学生でないこと
●厚生年金保険の被保険者数が常時501人以上の法人・個人の適用事業所、および国または地方公共団体に属するすべての適用事業所に勤めていること
なお、厚生年金保険の被保険者数が501人未満の法人・個人の適用事業所であっても、労使合意に基づき申請を行うことで「任意特定適用事業所」として扱われます。
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厚生年金に加入することのメリット
厚生年金は給料の18.30%を保険料として算出し、企業と従業員が折半して、それぞれが9.15%の保険料を支払います。このように労使折半である厚生年金は、資金が少ない中小企業にとっては負担が大きいものです。しかし、厚生年金保険へ加入することで得られるメリットもあります。
■企業側のメリット
厚生年金保険への加入は、従業員が安心して働ける労働環境を作り出すというメリットがあります。安心して働けることから、優秀な社員を定着させ、人材採用の活性化が期待できます。厚生年金保険料は経費計上することができるため、節税につながることもメリットといえるでしょう。
■従業員側のメリット
厚生年金の保険料は労使折半のため、全額自己負担である国民年金保険よりも金銭的負担を軽減できます。国民年金のみの加入よりも老後に受け取れる年金額も増え、遺族厚生年金や障害厚生年金の給付対象にもなるというメリットがあります。
厚生年金の加入状況を確認する方法
自分が勤めている企業が厚生年金に加入しているかどうかは、年金証書と年金手帳もしくは年金加入者証を持って、年金事務所の相談窓口で確認できます。また、年に一度届く「ねんきん定期便」でも加入状況を確認できます。
厚生年金に加入していない企業には罰則がある
適用事業所であるにもかかわらず、厚生年金に加入していない場合、「厚生年金保険法」によって、罰則を受けます。厚生年金保険法102条には「事業主が正当な理由もなく厚生年金に加入しなかった場合、6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金刑」と定められています。
また、未加入の事業所に対しては、年金事務所から加入を要請する文書が届くほか、未納分の保険料(最大2年間分)の納付を求められることとなります。
(参考:厚生年金保険法(※))
厚生年金に未加入である場合の対処法
勤務先の会社が厚生年金に未加入であることが分かった場合は、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」で相談することが可能です。確実かつ迅速に対応してもらいたいのであれば、年金事務所に給料明細を持っていき、加入指導をしてほしいと伝えるとよいでしょう。
まとめ
勤務先の会社が厚生年金の適用事業所であるにもかかわらず、自分が加入させてもらえない場合は、自分で会社に働きかけるのはなかなか難しいものです。そのようなときは年金事務所に相談するほか、労働問題に詳しい弁護士などの専門家に協力を依頼することを考えてみましょう。
2020年5月29日に成立した年金制度改正法でも、「社会保険の適用拡大」が注目されています。2022年、2024年と段階的に短時間労働者への社会保険適用拡大が実施されていくことからも、もしも勤務先の会社が厚生年金未加入であることが分かった場合は、早めに改善するよう働きかけるなど対処を心がけましょう。
(※)法令リード「厚生年金保険法」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員