公務員と会社員を両方経験している場合、年金はどうなる?
配信日: 2021.06.11
では、公務員と会社員のキャリアがある方の将来の年金は、どのような扱いになっているのでしょうか。この記事では、公務員と会社員の年金制度について解説します。
執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。
公務員と会社員で共通の年金制度
公的年金制度は、よく2階建てといわれます。1階の国民年金は基礎年金と呼ばれ、日本に居住している20歳以上60歳未満の方が加入する制度です。最高で40年間の保険料納付期間があり、全ての期間分の保険料を納めると、公的年金の受取開始年齢である65歳から満額となる年間約78万円の年金が受け取れます。
自営業者や社会保険上の扶養に入っていない専業主婦、もしくはフリーターの方は、 国民年金保険料として納付しますが、公務員や会社員の方は給与から引かれる厚生年金保険料を納めていれば国民年金保険料を納めたことになっています。
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公務員の年金制度
公務員の2階部分の年金制度は、2015年9月までと2015年10月以降で分かれます。2015年9月までは、公務員の2階部分の年金制度は共済年金といわれていました。2015年9月以前に公務員として勤務されていた方は、共済年金制度の年金保険料を納めていたことになります。
しかし、2015年10月に共済年金が厚生年金に一元化されたことで、それ以降の公務員としての勤務期間は厚生年金保険料を納付している形になっています。
ちなみに公務員の共済年金制度には、2階部分に加えて「職域部分」という3階部分がありました。厚生年金に一元化されてから職域部分は廃止され、別途、3階部分として「年金払い退職給付」 という名称の積み立て方式の年金制度が創設されています。
会社員の年金制度
会社員の2階部分の年金制度が厚生年金ということは、一般的によく知られています。厚生年金保険料は月収と賞与(年3回まで支給のものが対象)から、標準報酬月額と標準賞与額にそれぞれ保険料率をかけた金額が天引きされます。
標準報酬月額は月収額ごとに等級で区分されており、最高の32等級で65万円となっています。また、標準賞与額は150万円が上限額です。これらの金額より高い収入がある方でも標準報酬月額、標準賞与額の最高額で厚生年金保険料は計算されます。
会社員には公的年金制度としての3階部分はありませんが、その代わりとして確定給付企業年金および確定拠出年金制度があります。確定給付企業年金は退職金制度のことで、企業が従業員のために会社の資産とは別に積み立てている年金です。公務員の年金払い退職給付と同列の制度と考えると分かりやすいと思います。
確定拠出年金は企業型と個人型に分かれ、企業型は企業が掛け金を拠出し、個人型は加入者が自ら掛け金を拠出する私的年金制度です。企業型は401k、個人型はiDeCoと呼ばれています。どちらも拠出した年金資産を加入者自らが投資信託などの商品を選ぶことで運用します。
勤務先に企業型の確定拠出年金制度がない会社員の方が、自分で年金を作る目的でiDeCoに加入するケースが多くなっています。iDeCoは確定給付企業年金がある企業の従業員の方にとっては4階部分、ない方にとっては3階部分に位置します。
なお、2017年1月から公務員もiDeCoに加入できるようになったので、公務員の方も4階部分としてiDeCoを活用できます。
自分の年金の確認方法
公務員としての勤務期間と会社員としての勤務期間の両方がある方は、まずはねんきん定期便に目を通してみましょう。年金の加入履歴と保険料等の履歴を細かく見たい方は、 日本年金機構の「ねんきんネット」を閲覧することをお勧めします。
将来の年金額に不安がある方は3階部分の年金制度を活用するなど、資産形成による自助努力で老後資産を蓄えることを検討しましょう。
出典
国家公務員共済組合連合会 平成27年10月から共済年金は厚生年金に統一されます ~被用者年金制度の一元化と年金払い退職給付の創設~
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)