更新日: 2021.06.25 その他年金
子どもに年金のことを聞かれたら、どのように説明するべき?FPが解説
この記事では子どもに年金制度をどう説明すべきかについて解説します。
執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。
年金は社会保障制度の1つ
まず年金制度は社会保障制度の1つであり、国民の生活を守るためのものであると伝えましょう。社会保障には年金制度のほかに医療や介護、子どもや障害者向けの福祉サービス、 生活困窮者の支援などがあります。国民同士で助け合う仕組みが社会保障制度であるという考え方を子どもたちに伝えましょう。
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年金制度の保障の内容
年金と聞くと主に高齢者の方が受け取る年金を想像しがちですが、年金制度は高齢者のためだけのものとは限りません。
年金を受給できる方々は主に、高齢者、障害者、遺族(世帯主に先立たれた家族)です。高齢者に支給される年金が老齢年金、障害がある方の生活を支援するための年金が障害年金、世帯主に先立たれた家族の生活を守るのが遺族年金となっています。
年金制度の仕組み
年金制度は国民が納付する年金保険料と税金で支えられています。公的年金制度は2階建てといわれており、国民年金と厚生年金に分けられます。国民年金の保険料は、日本国内に居住している20歳~60歳までの全ての方が納める義務があります。例外としてまだ生活力のない学生は納付の猶予が受けられたり、所得水準の低い方は年金保険料の免除を受けられる場合があります。
厚生年金は主に会社員や公務員の方が加入している年金制度です。保険料は基本的に給与から天引きされます。厚生年金保険料の納付は労使折半とされており、事業主と従業員で半分ずつ保険料を納めます。
ちなみに厚生年金保険料には国民年金保険料が含まれているので、会社員や公務員の方はわざわざ国民年金保険料を別途納付する必要はありません。
子どもたちはまず20歳になったら国民年金保険料を納めなければならず、20歳未満でも会社員や公務員になったら給与から厚生年金保険料が天引きされるものなのだと教えておきましょう。
賦課方式と積立方式
年金保険料は主に現役世代が担っているということは前項の説明で理解できると思います。
さらに年金制度は基本的に賦課方式をとっており、現役世代が納めている保険料の多くは現在の年金受給者への支払いに充てられているということを教えておきましょう。納付した保険料は原則貯蓄されているわけではないということを説明しておくことが重要です。
賦課方式をとっている理由は、インフレのリスクを防ぐためです。年金制度を全て積立方式で行い、もし円の価値が下落し日本国内の物価が上昇した場合、多くの年金受給者の生活は脅かされてしまいます。
円の価値が下落すると国内企業の輸出競争力が高まったり、観光客の流入が期待できます。経済が活性化し現役世代の収入は上昇する可能性があります。そのような経済活性化の恩恵に年金受給者世代が取り残されないようにするために、賦課方式が採用されているものだと思われます。
私的年金と資産運用
賦課方式は、少子高齢化社会に弱い仕組みになっています。日本は少子高齢化社会であることは周知の事実です。子どもたちも学校で日本の置かれた状況は学んでいます。現役世代が年金受給者世代を支える現行の制度を理解するほど、「長寿化と少子化が進む日本で年金制度は成り立つのか」という疑問が浮かんでくることでしょう。
実は日本ほど年金制度が普及していない国では、自分の身は自分で守るのが当たり前です。日本でも少子高齢化社会の中で自分の身は自分で守れるようにするために私的年金制度が導入されています。
ほとんどの国民が利用できる私的年金制度として確定拠出年金制度があります。確定拠出年金制度は企業型と個人型に分かれており、昨今制度の拡充が進んでいます。
確定拠出年金制度は公的年金制度と異なり、積立方式を採用しています。自分の年金は自分で作るという考え方に基づいています。
また先ほど述べたインフレリスクを回避するために積み立てた資産は株式投資信託などで運用することができます。公的年金制度だけを頼るのではなく、自分で将来の年金資産づくりをする考え方はこれからの子どもたちの世代には必要になることでしょう。
まとめ
子どもに年金制度の話を聞かれたときには、今の日本の置かれた状況、制度の仕組み、そして自助努力の必要性を伝えましょう。制度の内容を説明することだけに終始するのではなく、国民同士が支え合う社会保障の仕組みと自分で自分の身を守る自己責任の考え方を伝えることが大切だと思います。
出典
厚生労働省 教えて!公的年金制度 公的年金制度はどのような仕組みなの?
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)