更新日: 2021.07.13 その他年金
障害年金ヒント集(15) 更新手続き、大半が継続支給に?
確かに、障害年金を受給するには、いくつものハードルがあります。しかし、取り組み方をちょっと変えると、うまくハードルを越えられる場合もあります。
悩んでいる人たちへの受給のためのヒント集です。第15回は「更新手続き、大半が継続支給に」です。
執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。
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目次
不安を解消してくれそうなデータがある
今回は、裁定請求に関する情報ではなく、すでに障害年金を受給している人の更新手続きに関する情報です。障害年金を受給している場合、永久認定でない限り、1~5年の範囲で、更新手続きが指示されます。
手続きは、診断書(障害状態確認届)を提出する形で行われ、審査の結果、再認定が決まります。更新手続きを怠ると、障害年金の支給が停止されますから、手続きをしないわけにはいきません。
そこで「再認定されるだろうか」という不安が生じるわけです。年金の相談でも、こうした不安の声を耳にすることがかなり多くあります。そうした人たちに、ちょっと安心してもらえるデータがあります。
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再認定の割合や次回更新期間の割合が明らかに
「障害年金ヒント集(14)」でも紹介した厚生労働省のデータです。昨年9月の社会保障審議会年金事業管理部会(※1)に提出されたもので、データの名称は「障害年金業務統計」(※2)です。
この統計で、再認定の割合や次回更新期間の割合が明らかにされました。対象は、2019年度中に審査結果が出た障害基礎年金と障害厚生年金の更新手続き計約27万件です。
同部会には、分かりやすい円グラフで表示した資料も提出されましたので、その一部を次に掲示します。
「再認定における決定区分別件数」と「再認定における更新期間別支給件数」(「障害年金業務統計」(*2)から。一部を改修しました)
従前と同じ障害等級が94.9%
これらのデータから、従前と同じ障害等級に認定されたもの(「継続」と表記)が94.9%あることが分かります。
このほか、障害等級が従前より上級に認定されたもの(「増額」と表記)が2.9%、従前より下げて認定されたもの(「減額」と表記)が1.1%、従前より下がった結果、支給が停止されたもの(「支給停止」と表記)が1.1%です。
どうでしょうか。多くの方が不安感を抱いている更新手続きですが、従前と同じ障害等級に認定されたケースがかなり多いといえるのではないでしょうか。
障害等級が下がったり、支給停止になったりしたのは、合わせて2.2%しかありません。
内部疾患は「減額」や「支給停止」がやや多め
このほか、公表されたデータには診断書の種類別の再認定の割合もあります。診断書の種類から、傷病を「精神障害・知的障害」「内部疾患(呼吸器疾患、循環器疾患など)」「外部障害(眼、肢体など)」と大別されています。
このデータによりますと、「精神障害・知的障害」と「外部障害」はいずれも、「継続」と「増額」を合わせると約98%を占め、残り約2%が「減額」または「支給停止」となっています。
これに対し、「内部疾患」は、「継続」と「増額」を合わせて約94%、「減額」と「支給停止」を合わせて約6%で、「減額」または「支給停止」がやや多いことが分かります。「内部疾患」は、一般的に症状が変化しやすいためかもしれません。
次回更新期間は「3年」が多め
次に、次回更新期間です。再認定の後、次回の更新手続きまでの期間が指定されています。
障害基礎・障害厚生合計のデータによりますと、「1年」が12.2%、「2年」が14.5%、「3年」が39.1%、「4年」が0.8%、「5年」が23.2%です。このほか、永久固定になったのが10.3%です。
同時に公表された新規裁定での次回更新期間と比べると、新規裁定の場合より期間を長くされる傾向があるようです。また、更新期間が3年になるケースが比較的に多いようです。
不安のある人は最新データでチェックを
再認定の割合等は今後、毎年秋に前年度分が日本年金機構から公表されることになっています。更新手続きで再認定されるかどうか不安を感じておられる方は、最新データをチェックされると良いと思います。
出典
(※1)厚生労働省「社会保障審議会年金事業管理部会資料」(第51回)
(※2)厚生労働省「障害年金業務統計」(令和元年度決定分)
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士