更新日: 2021.08.06 その他年金
個人事業主やフリーランスが年金を増やす方法にはどんなものがある?
終身年金とはいえ、この金額では、老後の生活は心配です。
老後に備えて年金を増やすことを検討しましょう。いくつかの方法を解説します。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
平均的には満額受給できない
国民年金は20歳~60歳まで40年間(420ヶ月)加入すると、65歳から老齢基礎年金を満額の年額78万900円(月額約6万5000円)受給できます。
しかし、厚生労働省の資料(※)によると、老齢基礎年金を受給している人の平均受給額は月額5万6049円となっています。満額より月額1万円程度少ない金額です。保険料納付月数に換算すると約66ヶ月(5~6年)分少ない計算なります。
ちなみに、老齢厚生年金受給者の平均額は、月額14万6162円(老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計)となっていますので、フリーランスの老後は会社員に比べ、いかに厳しいかわかると思います。
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満額を受給するには
満額を受給できない理由はさまざまです。単純に未納という場合もありますが、保険料の免除・納付猶予制度を利用した場合も満額を受給できません。免除制度を利用した場合、一部は年金額に反映されますが、猶予制度を利用した場合はまったく反映されないので注意が必要です。
保険料免除や納付猶予は、10年以内であれば保険料を後から納める(追納する)ことで年金額を満額に近づけることが可能です。また、65歳までなら「任意加入」して保険料を納めることで年金額を増やすこともできます。
そのほか、公的な制度として、(1)「付加保険料」を支払う、(2)国民年金基金に加入する、(3)小規模企業共済に加入することで年金額を増やせます。
付加保険料
国民年金第1号被保険者ならびに任意加入被保険者は、定額保険料に月額400円を上乗せして納めることで、将来受け取る年金額を増やすことができます。
付加年金額(年額)は「200円×付加保険料納付月数」で計算しますので、2年以上の受給で元が取れる大変お得な制度です。ただし、国民年金基金に加入している方は付加保険料を納めることはできませんので注意してください。
国民年金基金
国民年金に上乗せして国民年金基金に任意加入することで、第1号被保険者も会社員のように2階建ての年金を受け取ることができます。国民年金基金には「全国国民年金基金」と「職能型国民年金基金」の2種類があります。
加入にあたっては国民年金保険料を納めていることが前提になっていますので、保険料免除対象者等は加入対象になりませんので注意してください。
掛金月額は、選択した給付の型、加入口数、加入時の年齢、性別によって決まります。
老齢年金の1口目は、終身年金A型、B型のいずれかを選択します。65歳から受け取る確定給付型の終身年金が基本です。ライフプランに合わせてプランの変更も可能です。掛金の上限額は、iDeCoの掛金も含めて月額6万8000円です。
掛金は、全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されますのでお得です。国民年金基金の給付は、老齢年金(雑所得として公的年金等控除の適用)と遺族一時金(非課税)の2つがあります。
小規模企業共済
小規模企業共済は、小規模企業の経営者や個人事業主などのための積み立てによる退職金制度です。月額掛金は1000円~7万円まで500円単位で自由に設定できます。全額が所得控除できます。
共済金は、退職・廃業時に受け取ることができます。受け取り方法は「一括」「分割」「一括と分割の併用」が可能です。一括受け取りの場合は退職所得扱いに、分割受取りの場合は、公的年金等の雑所得扱いとなります。
契約者の方は、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度を低金利で利用できるのが特徴です。
(※)厚生労働省「平成元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
(参考)
日本年金機構「付加年金」
国民年金基金連合会ホームページ
中小機構「小規模企業共済」
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。