更新日: 2021.08.17 その他年金

障害年金の受給要件は?申請手続きにはどのような書類が必要?

障害年金の受給要件は?申請手続きにはどのような書類が必要?
私たちが日常生活を送る上で、何事もない平和な暮らしに越したことはありません。
 
しかし時として、予期せぬ病気やけがによって仕事や生活に支障が出てしまうことがあります。特に問題なのが、仕事ができなくなることで収入が途絶えてしまうケースでしょう。
 
そんなときに生活を支えてくれるのが「障害年金」です。今回は、どのような場合に「障害年金」が受け取れるのか、また申請に必要な手続きについて解説します。
廣重啓二郎

執筆者:廣重啓二郎(ひろしげ けいじろう)

佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー

立命館大学卒業後、13年間大手小売業の販売業務に従事した後、保険会社に転職。1 年間保険会社に勤務後、保険代理店に6 年間勤務。
その後、コンサルティング料だけで活動している独立系ファイナンシャルプランナーと出会い「本当の意味で顧客本位の仕事ができ、大きな価値が提供できる仕事はこれだ」と思い、独立する。

現在は、日本FP協会佐賀支部の副支部長として、消費者向けのイベントや個別相談などで活動している。また、佐賀県金融広報アドバイザーとして消費者トラブルや金融教育など啓発活動にも従事している。

障害基礎年金について

病気やけがで仕事や生活に制限がされるようになったとき、国民年金保険では障害の程度が障害等級1級または2級に該当する場合、障害基礎年金が支給されます。
 

●対象者の要件

(1) 国民年金の被保険者である
(2)20歳前、60歳以上65歳未満の方(国民年金の未加入期間)で、日本国内に居住している

 
また、保険料納付要件として、初診日の前日に次の(1)または(2)のいずれかを満たしていることが必要となります。初診日とは、障害の原因となった病気やけがで初めて医師、または歯科医師の診療を受けた日です。
 

●保険料納付要件

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間、保険料が納付または免除されている
(2)初診日に65歳未満で、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がない

 
令和3年4月分からの障害基礎年金の支給額と子の加算額、子の要件は以下のとおりです。子の加算は、障害基礎年金の受給権を得たときに生計維持関係にある子がいる場合に加算されます。
 

●障害基礎年金の年金額(令和3年度)

・障害等級1級:78万900円×1.25+子の加算
・障害等級2級:78万900円+子の加算

 

●子の加算額(令和3年度)

・第1子、第2子:各22万4700円
・第3子以降:各7万4900円

 

●子の要件

・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
・20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子

 

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障害厚生年金について

厚生年金保険に加入している方が、在職中の病気やけがで障害基礎年金に該当する障害状態(障害等級1級、2級)になったとき、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金を受給することができます。
 
さらに程度の軽い障害の場合は、3級の障害厚生年金だけ支給されます。主な受給要件は以下のとおりです。
 

●受給要件

(1)障害の原因となった病気やけがの初診日に厚生年金保険の被保険者である
(2)初診日の前日に公的年金の保険料納付要件(障害基礎年金と同一)を満たしている
(3)障害認定日において、障害等級1~3級の状態である

 
また、3級の障害よりもやや程度の軽い障害が残った場合は一時金として障害手当金が支給されます。障害手当金の受給要件は、初診日から起算して5年を経過する日までの間に傷病が治り、かつ、一定の障害状態にあることです。
 
令和3年4月分からの障害厚生年金の支給額は以下のとおりです。
 

●障害厚生年金の年金額(令和3年度)

・1級:報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額(22万4700円)
・2級:報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額(22万4700円)
・3級:(報酬比例の年金額)最低保障額58万5700円
障害手当金:報酬比例の年金額×2

 
なお、配偶者の加給年金額は、1級または2級の障害厚生年金の受給権者によって生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合に加算されます。
 

障害年金の申請について

障害年金を請求するためには下記の書類が必要です。


・年金請求書(住所地の市区町村役場、またはお近くの年金事務所などに備え付けてあります)
・年金手帳(加入期間確認のため)
・戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか(本人の生年月日を確認できる書類)
・医師の診断書(障害認定日より3ヶ月以内の現症のもの)
・受診状況等証明書(初診時と診断書作成時の医療機関が異なる場合、初診日の確認のため)
・病歴・就労状況等申立書(障害状態を確認するための補足資料)
・受取先金融機関の通帳など(本人名義)

また、子の加算の対象となる18歳到達年度末までの子(20歳未満で障害の状態にある子)がいる場合、下記の書類も必要となります。


・戸籍謄本(子について請求者との続柄、氏名、生年月日確認のため)
・世帯全員の住民票の写し(請求者との生計維持関係確認のため※マイナンバー記入により省略可)
・子の収入が確認できる書類(生計維持関係確認のため※マイナンバー記入で省略可)
・医師または歯科医師の診断書(20歳未満で障害の状態の子がいる場合)

上記以外にも、障害の原因が第三者の行為による場合、障害厚生年金で配偶者の加給年金の対象となる場合のほか、申請者本人の状況によっても必要な書類が異なるため、それぞれに該当する方は事前に確認してください。
 
年金申請書などの提出先は、障害基礎年金の場合は市区町村役場です。障害厚生年金、または対象となる初診日が第3号被保険者の期間中の場合は、最寄りの年金事務所、街角のねんきん相談センターとなります。
 

失権について

障害年金の受給権者は、以下の場合に受給権を失います。


・受給権者が死亡したとき
・障害の程度が軽くなり、障害等級1級または2級に該当しなくなったときに支給停止。
その後、障害厚生年金の3級にも該当しないまま65歳に達したときに失権(ただし、障害厚生年金の障害等級3級に該当しなくなった日から3年経過していない場合、3年経過した日に失権)

 

まとめ

今回は、障害年金の受給資格と申請手続きについて解説しました。障害年金は、病気やけがで収入が途絶えた場合の大切なセーフティーネットです。
 
万が一に備えて、この機会に障害年金がいくら受給できるか、どんな手続きが必要になるのか確認しておきましょう。
 
出典
日本年金機構 障害年金
 
執筆者:廣重啓二郎
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー

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