更新日: 2021.08.25 その他年金

障害年金はどんなときに受けられる? 現役世代が受け取るときの注意点

執筆者 : 福島佳奈美

障害年金はどんなときに受けられる? 現役世代が受け取るときの注意点
「年金」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、老後に受け取る老齢年金ではないでしょうか。しかし、日本の年金制度には、他にも障害年金、遺族年金があり、これらは現役世代でも受け取ることができます。
 
そこで今回は、意外と知らない障害年金制度について解説します。
福島佳奈美

執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)

【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。

障害年金とは? どんなときに受けられる?

病気やけがによって働けなくなったり、生活が不自由になったりした時の助けになるのが障害年金です。障害年金は、障害基礎年金と障害厚生年金の2階建ての構造になっています。
 
障害基礎年金は、20歳から60歳までの国民年金に加入している間に初診日があり、障害認定日に障害等級表の1級、2級に該当する場合に受け取ることができる年金です。
 
ただし、「20歳前」や「60歳以上65歳未満」の年金制度に加入していない期間に初診日がある障害についても、受け取ることができる場合があります(日本に住んでいる場合に限る)。
 
障害厚生年金は、厚生年金に加入している間に初診日がある病気やけがが原因で障害状態になった時、障害認定日に障害等級表の1級から3級に該当する場合に受け取ることができる年金です。
 
平均標準報酬月額をもとにした報酬比例の年金であり、1級と2級に該当する場合は、障害基礎年金も合わせて支給されます。
 

現役世代が障害年金を受け取るための、保険料納付要件と注意点

現役世代でも受け取ることができる障害年金ですが、保険料をきちんと納めていなければなりません。会社員や公務員などの方は、厚生年金保険料が給与から天引きされているでしょう。
 
一方、自営業や20歳以上の学生などの国民年金制度の第1号被保険者の方は、自分で国民年金保険料を納付する必要があり、保険料をきちんと納めていないと障害基礎年金を受け取ることはできません。
 
初診日の「前日」において、下記のいずれかの納付要件を満たしていることが必要です。


(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

(出典:日本年金機構「障害年金」より)

初診日の「前日」に上記の納付要件を判定するので、病気やけがが判明してから保険料を納付しても間に合いません。
 
障害年金を受け取るためには、きちんと国民年金保険料を納付しておく必要があります(ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません)。
 
学生で収入がない場合には、老後の年金への関心も低く、国民年金保険料の支払いを放置してしまうことがあるかもしれません。
 
しかし、未納期間があると万一事故や病気で障害状態になっても、障害年金を受け取ることができなくなってしまいます。保険料を納めることが難しい場合には、「学生納付特例制度」を利用して、納付猶予の手続きをしておきましょう。
 
また、学生以外の方でも、経済的に納付困難な場合には「保険料免除制度」や「納付猶予制度」がありますので、手続きを行っておくことを強くおすすめします。
 

障害年金受給中に家族が増えた場合は?

障害基礎年金は、毎年支給額が見直されます。令和3年度の障害基礎年金額は、下記のとおりです。


【1級】 78万900円×1.25+子の加算
【2級】 78万900円+子の加算

子の加算額は、第1子と第2子は各22万4700円、第3子以降は各7万4900円です。なお、この場合の「子」とは、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、20歳未満で障害等級1級または2級の障害者に該当する子をいいます。
 
また、障害厚生年金(1級から3級)では、平均標準報酬月額をもとにした報酬比例の年金が支給されます。1級は2級の1.25倍の支給額となり、1級と2級では配偶者の加給年金も加算されます(配偶者の収入が多い場合は対象外)。
 
なお、障害年金の受給権発生後に生計維持する必要のある配偶者や子ができた場合にも、子や配偶者の加算が行われます。受給中に子どもが生まれたとしても生活の安定を図る助けになります。
 
このように、いざという時に役立つ障害年金ですが、保険料をきちんと納付しておかないと受け取ることができませんので注意しましょう。民間の生命保険の加入を検討する場合には、障害年金制度のことをふまえて保障内容を設計するとよいでしょう。
 
出典
日本年金機構「障害年金」
日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」
日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
日本年金機構「障害年金ガイド 令和3年度版」
日本年金機構「障害年金加算改善法」
厚生労働省「障害基礎年金 お手続きガイド」
 
執筆者:福島佳奈美
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー

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