「産前産後休業」と「育児休業」の年金への影響は?

配信日: 2021.09.06

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「産前産後休業」と「育児休業」の年金への影響は?
産前産後休業と育児休業期間中の厚生年金保険料が免除される制度がありますが、将来の年金にどのような影響があるのでしょうか。
 
今回は、出産と育児に伴う年金保険料の免除制度と年金に対する影響について解説します。
辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

産前産後休業・育児休業期間中の厚生年金保険料免除

1.産前産後休業期間中の厚生年金保険料免除

産前産後休業期間(注)の厚生年金保険料は、事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者と事業主の両方の負担が免除されます。なお、この期間の健康保険料も同時に免除されます(※1)。
 
注:産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間
 

2.育児休業期間中の厚生年金保険料免除

育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業期間の厚生年金保険料は、事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者と事業主の両方の負担が免除されます。なお、この期間の健康保険料も同時に免除されます(※1)。
 

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産前産後期間中の国民年金保険料免除

1.国民年金保険料が免除される期間

平成31年(2019年)4月から、国民年金の第1号被保険者が出産した際に、出産前後の一定期間(「産前産後期間」といいます)の国民年金保険料が免除されるようになりました。なお、国民年金に任意加入している方は対象になりません(※2)。
 

2.産前産後期間

保険料が免除されるのは、出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月間の産前産後期間になります。なお、多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3ヶ月前から6ヶ月間が産前産後期間になります(※2)。
 

3.届出方法

産前産後期間中の国民年金保険料の免除に関する届出は、住民登録をしている市区町村役場の国民年金担当窓口に「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を持参するか郵送します。
 
この届出は、出産予定日の6ヶ月前から可能ですが、この際には母子手帳などで出産予定日を証明する必要があります。なお、出産後でも届出は可能です(※2、3)
 

保険料免除期間の年金への影響は?

1.厚生年金保険料免除期間の取り扱い

産前産後休業・育児休業期間中の厚生年金保険料の免除を受けた期間は、保険料を納付したものとされ、老齢基礎年金の受給額に反映されるとともに、老齢厚生年金の年金額の計算にも算入されます。
 
従って、産前産後休業・育児休業期間中に厚生年金保険料の免除を受けても将来受給する年金額に影響はありません(※1)。
 

2.国民年金保険料免除期間の取り扱い

産前産後期間中の国民年金保険料の免除を受けた期間は、被保険者が保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。従って、産前産後期間中に国民年金保険料の免除を受けても将来受給する年金額に影響はありません(※2)。
 
なお、すでに国民年金保険料の免除・納付猶予や学生納付特例が認められている方も産前産後期間中の国民年金保険料の免除の対象となりますので、この期間を保険料納付済期間とすることができます。
 
また、付加保険料を納付している被保険者は、産前産後期間でも付加保険料を納付することができます(※2)。
 

まとめ

厚生年金の被保険者が、産前産後休業と育児休業を取得した期間の厚生年金保険料は免除されます。また、国民年金の第1号被保険者が出産する際には、産前産後期間の国民年金保険料が免除されます。
 
いずれの場合でも、保険料が免除された期間は、保険料を納付したものとして取り扱われますので、将来受給する老齢年金に影響することはありません。
 
出典
(※1)日本年金機構 厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)
(※2)日本年金機構 国民年金保険料の産前産後期間の免除制度
(※3)日本年金機構 国民年金被保険者関係届書(申出書)
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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