更新日: 2021.10.04 年金

厚生年金を早く受け取りたい! でも1ヶ月繰り上げると何%減額されるの?

執筆者 : 辻章嗣

厚生年金を早く受け取りたい! でも1ヶ月繰り上げると何%減額されるの?
老齢厚生年金は、60歳まで繰り上げて受給することができますが、繰り上げた月数に応じた減額率で年金額は減額されます。また、年金制度改革により、令和4年4月からは繰上げ受給した場合の減額率が緩和されます。
 
今回は、老齢厚生年金の繰上げ受給制度について解説します。
 
辻章嗣

執筆者:

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

辻章嗣

執筆者:

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

老齢厚生年金の仕組み

老齢厚生年金は、厚生年金の加入者であった方の老後の保障として給付されるもので、原則として65歳から老齢基礎年金に上乗せされる形で支給されます。
 
ただし、昭和36年4月1日以前生まれの男性、昭和41年4月1日以前生まれの女性の場合、要件を満たすことで、下表の年齢(受給開始年齢)から65歳になるまで「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができます(※1)。
 


 

老齢厚生年金の繰上げ受給

 

1. 特別支給の老齢厚生年金の繰上げ受給

特別支給の老齢厚生年金は、原則として受給開始年齢に達した時点以降で受け取れますが、希望することで60歳から受給開始年齢の前月までの間に繰り上げて受給できます。繰り上げて受給する老齢年金額は、本来の受給開始年齢で受け取る年金額から、繰り上げた月数ごとに0.5%減額されます。
 
なお、老齢厚生年金を繰り上げる際には、老齢基礎年金の繰り上げと併せて請求する必要があります(※1)。
 


 
例えば、昭和36年生まれで令和3年に60歳になる女性が、本来62歳から受給できる特別支給の老齢厚生年金を2年繰り上げて60歳から受給した場合、以下のとおり、減額された老齢年金が生涯にわたって支給されます。


(1)「繰上げ受給の老齢厚生年金」は、本来の年金額から12%(24ヶ月×0.5%)減額。
(2)併せて繰り上げとなる「繰上げ受給の老齢基礎年金」は、5年間繰り上げることになり、本来の年金額から30%(60ヶ月×0.5%)減額。

 

2. 年金制度改正に伴う減額率の緩和

現在(令和3年度)、年金を繰上げ受給した場合の減額率は1ヶ月当たり0.5%ですが、年金制度改正により、令和4年4月1日以降に60歳に到達する方を対象として0.4%に緩和されます(※2)。
 
例えば、昭和37年4月2日以降生まれで令和3年に59歳の女性が、本来63歳から受給できる特別支給の老齢厚生年金を3年繰り上げ、令和4年度に60歳から受け取る場合、生涯にわたって支給される老齢年金は以下のとおりです。


(1)「繰上げ受給の老齢厚生年金」は、本来の年金額から14.4%(36ヶ月×0.4%)減額。
(2)併せて繰り上げとなる「繰上げ受給の老齢基礎年金」は、本来の年金額から24%(60ヶ月×0.4%)減額。

 

老齢厚生年金の繰上げ受給の注意点

老齢厚生年金を繰上げ受給する際には、以下の点に注意しましょう(※1)。

(1)老齢厚生年金のみを繰り上げることはできず、老齢基礎年金と併せて繰上げ受給の請求をする必要があります。
 
(2)日本年機構と共済組合などから複数の老齢厚生年金を受給できる場合、全ての年金を同時に繰り上げなければなりません。
 
(3)繰上げ受給をした時点(月単位)に応じて年金が減額され、減額率は生涯変わりません。
 
(4)65歳になるまでは、繰上げ受給した老齢厚生年金と遺族厚生年金を同時に受け取ることができません。遺族厚生年金を受給していた方が、老齢厚生年金を繰上げ受給すると、繰り上げた時点から65歳になるまでは遺族厚生年金の支給が停止されます。
 
(5)繰上げ受給の開始以降に障害の程度が重くなった場合、障害厚生年金は受け取れません。
 
(6)国民年金に任意加入することができません。
 
(7)一度繰上げ受給の請求をすると、後から取り消すことができません。

 

まとめ

老齢厚生年金は、60歳まで繰り上げて受給することができますが、繰り上げた場合の年金額は、本来の受給開始年齢で受け取る年金額から繰り上げた月数ごとに0.5%減額された額となります。
 
令和4年4月1日以降に60歳に到達する方を対象として、繰上げ受給の減額率は0.4%に緩和されますが、一度繰上げ受給の請求をすると取り消しができず、生涯にわたり減額された年金額となりますので、繰上げ受給の検討は慎重に行いましょう。
 
出典
(※1)日本年金機構 老齢年金ガイド 令和3年度版
(※2)厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

auじぶん銀行