更新日: 2021.10.16 その他年金

年金保険料の納付期間による差。10年・30年・40年では月々の受給額はいくら違う?

年金保険料の納付期間による差。10年・30年・40年では月々の受給額はいくら違う?
将来に受け取れる老齢年金は、会社員・公務員(国民年金第2号被保険者)と自営業者(国民年金第1号被保険者)で大きく異なります。 その理由は、会社員などの方は国民年金と厚生年金の両方を受け取れるのに対し、自営業者の方は国民年金のみの受給となるからです。ここでいう自営業者とはフリーランスなどの方も含みます。
 
この記事では、年金保険料の納付期間によって将来受け取れる年金額がどれだけ違うのかを解説します。
 
遠藤功二

執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。

国民年金(老齢基礎年金)の計算

国民年金保険料は、第1号被保険者、第2号被保険者にかかわらず、日本に在住する20歳以上60歳未満の全ての方が納める必要があります。第2号被保険者に扶養されている配偶者の方は第3号被保険者となり、国民年金保険料の負担はありませんが、保険料を納付したものとして年金の受給額が計算されます。
 
国民年金保険料の納付は義務ですが、所得が少ないことなどを理由に免除や猶予が認められる場合があります。免除の種類には全額免除と一部免除(4分の1免除、半額免除、4分の3免除)があります。
 
また、学生で所得が一定の基準以下の方は、学生納付特例制度の申請により在学中は年金保険料の納付が猶予されます。ただし、納付が猶予になった期間は年金の受給資格期間として扱われますが、年金受給額の計算上では納付期間に含まれません。
 
国民年金の受給額の計算は下記のとおりになります。
 

<国民年金の受給額の計算式(令和3年4月分から)>

78万900円×(保険料納付済月数+全額免除月数×4/8+4分の1納付月数×5/8+半額納付月数×6/8+4分の3納付月数×7/8)÷480=国民年金の受給額
 
仮に、保険料の免除期間と、学生納付特例制度による猶予期間があった場合で受給額を計算してみると、下記のとおりになります。
 

<国民年金の受給額の比較>

保険料納付状況 年金受給額
全期間納付 年78万900円(月6万5075円)
納付期間のうち5年間の免除期間があった場合 年73万2093円(月6万1007円)
納付期間のうち学生納付特例制度による
2年間の猶予期間があった場合
年74万1855円(月6万1821円)

※筆者作成
※受給開始年齢は65歳、令和3年10月時点での年金制度に基づいて計算しています。
 
国民年金には追納の制度があり、保険料の免除や猶予を受けた方は、10年前までさかのぼって保険料を納付することができます。年金は老後の重要な安定収入になりますので、免除・猶予申請をされた期間がある方は、収入に余裕ができたときに追納をしておくといいでしょう。
 
なお、現在は自営業者など第1号被保険者でも、過去に会社員として厚生年金保険料を納めていた期間が1ヶ月以上ある方は、国民年金の受給資格を満たしている場合、納付した保険料に応じて厚生年金を受け取ることができます。
 

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厚生年金(老齢厚生年金)の計算

会社員や公務員などの第2号被保険者が加入する厚生年金の受給額は、下記のように計算します。ここでは平成15年4月以後に厚生年金の被保険者になった方の場合で計算式としています。
 

<厚生年金の受給額の計算式(令和3年4月分から)>

平均標準報酬額×5.481÷1000×被保険者期間の月数=厚生年金の受給額
 
平均標準報酬額は、標準報酬月額と標準賞与額の合計額を被保険者期間で割った金額です。
 
上記の計算式を基に、被保険者期間10年、30年、40年の場合で受給額がどのように違うかを見てみましょう。ここでは平均標準報酬額は40万円として計算します。
 

<厚生年金の受給額の比較>

被保険者期間 受給額
10年 年26万3088円(月2万1924円)
30年 年78万9264円(月6万5772円)
40年 年105万2352円(月8万7696円)

※筆者作成
※受給開始年齢は65歳、令和3年10月時点での年金制度に基づいて計算しています。
 
同じ平均標準報酬額でも加入期間によって、受給額にかなり差があることが分かります。
 

年金額を増やすための手だて

ここまで見てきたとおり、国民年金は職業にかかわらず加入義務があるため、保険料納付の免除・猶予申請および追納したか否かで将来の受給額が変わり、厚生年金は平均標準報酬額はもちろん、被保険者期間によっても大きく受給額が変わります。
 
将来の公的年金の受給額だけでは不安がある方は、個人型確定拠出年金(iDeCo)、つみたてNISAなどによる自助努力で老後に向けた資産形成を行うといいでしょう。
 
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
 
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)
 

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