更新日: 2021.11.11 その他年金

仕事のストレスでうつ病で長期療養。障害年金を申請することはできる?

執筆者 : 遠藤功二

仕事のストレスでうつ病で長期療養。障害年金を申請することはできる?
現代はストレス社会であり、多くの方が心に悩みを抱えていると思います。最近は、職場やプライベートの問題が原因で心の病を患う方も少なくありません。一般的に知られる「うつ病」は気分障害の1つとされています。厚生労働省の資料によると気分障害などの患者数は、1996年は43万人程度だった数が、2017年には約127万人に増加しています。
 
心の病には気分障害の他に強迫性障害、統合失調症などさまざまな種類があり、心の病にかかる可能性は誰もが想定しておくべきものになったといえます。
 
もし、自分が心の病で長期間仕事を休むことになったら、どうやって生活をしていけば良いのでしょうか。この記事では、心の病で長期療養になった際に利用できる障害年金について解説します。
遠藤功二

執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。

障害年金とは

障害年金は病気やけがで法令に定められた障害状態になったときに支給される年金制度です。この「病気」の中に心の病である「精神障害」が含まれています。うつ病などが原因で精神障害状態と認定された場合は、障害年金を受け取れる可能性があるということです。
 
障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金に分かれます。
 

障害基礎年金

障害基礎年金は、次の期間に障害の原因となった病気・けがの初診日がある方が対象になります。初診日とは初めて医師や歯科医師の診療を受けた日のことをいいます。

●国民年金に加入している期間
●20歳未満で国民年金に加入していない期間
●日本に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間

ただし、障害基礎年金を受給するためには、以下の条件を満たしている必要があります。

●法令に定められた障害等級表の1級、2級に該当している
●初診日がある月の2ヶ月前までの公的年金の加入期間において、3分の2以上の期間で保険料を納付しているか、保険料の納付を免除されている
●初診日時点で65歳未満であり、初診日がある月の2ヶ月前までの1年間において、国民年金の未納期間はない

 

障害厚生年金

厚生年金に加入している方は、障害基礎年金に障害厚生年金を上乗せで受け取ることができます。障害厚生年金には、障害のレベルが2級より軽い方でも受け取れる3級の枠も設けられています。
 
また、初診日から5年以内に回復し、障害厚生年金の受給対象から外れた場合には障害手当金が支給されます。障害厚生年金を受け取るための保険料納付義務の要件は、前述の障害基礎年金の場合と同じです。
 

障害年金の受取金額

2021年10月時点での障害年金の受取額は以下のとおりです。

<障害基礎年金>

1級:97万6125円+子の加算額
2級:78万900円+子の加算額

(子の加算額)

子の数が2人までの加算額:1人につき22万4700円
子の数が3人以上の場合の3人目以降の加算額:1人につき7万4900円

子とは:生計を維持している18歳になる年度(年度:4月~翌3月)の3月31日までの子、20歳未満で障害等級1級または2級の子

<障害厚生年金>

1級:報酬比例の年金額×1.25+(配偶者加給年金額22万4700円)
2級:報酬比例の年金額×(配偶者加給年金額22万4700円)
3級:報酬比例の年金額 最低保障額 58万5700円
障害手当金:報酬比例の年金額×2 最低保障117万1400円

(補足)
配偶者加給年金は、障害年金受給者に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに受け取れます。厚生年金の加入期間が300ヶ月未満でも、報酬比例部分は300ヶ月で計算します。
 

障害年金の受取時の留意点

障害年金は、原則初診日から1年6ヶ月を経過した日以降を「障害認定日」とし、障害認定日がある月の翌月から受給できます。障害状態になったらすぐに受け取れるわけではありません。ただ、障害認定日までの期間に治療のために仕事に復帰できない場合は、健康保険の傷病手当金の対象になる場合がありますので、勤め先の健康保険組合に問い合わせてみるとよいでしょう。
 
出典
厚生労働省 図表1-2-9 こころの病気の患者数の状況
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス
日本年金機構 国民年金・構成年金保険 障害認定基準
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 障害年金ガイド 令和3年度版
厚生労働省 日本年金機構 障害年金のご案内
 
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

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