更新日: 2021.11.18 国民年金
国民年金保険料の「猶予」や「免除」を適用できる条件とは?
「払えない」と思ったら、ほったらかしにして「未納」にするのではなく、支払いを待ってもらう「猶予」や支払額を少なくしてもらう「免除」といった制度を活用しましょう。この制度を利用するための条件について解説します。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
「誰でもOK」ではない! 猶予や免除の利用条件とは
猶予や免除を受けたいときは、申請書類を市区町村役場の国民年金担当に提出します。申請前に年金事務所で相談もできます。
申請や相談は誰でもできますが、実際に猶予や免除を利用するためにはいくつかの条件があり、審査を通過する必要があります。
猶予や免除を受けられるのは、「所得が一定以下」など経済的に厳しい状態の人です。具体的な条件は図表1のとおりです。
【図表1】
(出典:日本年金機構ホームページを参考に筆者作成)※2021年度の基準
免除は、最も免除される額が大きく最も所得基準が厳しい「全額免除」をはじめ、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4種類があります。
「所得」とは収入から経費や控除を差し引いた金額のことです。少々わかりにくいので、「収入(年収)」での目安を見てみましょう。
●全額免除 122万円
●4分の3免除 158万円
●半額免除 227万円
●4分の1免除 296万円
●全額免除 257万円
●4分の3免除 354万円
●半額免除 420万円
●4分の1免除 486万円
(出典:郡山市「国民年金保険料の免除の基準について教えてください。」より抜粋(※2))
猶予は、所得の基準は全額免除と同じですが、年齢の制限がある(50歳まで)、本人と配偶者の所得だけが審査対象になる、という点が異なります。
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猶予や免除には「特例」もある
猶予や免除が受けられるかどうか、基本的には上記の基準で判断されますが、なかには「前年の所得は多かったけど、失業してしまって今はお金に困っている」といったケースもあるでしょう。
そうしたケースにも対応するため、上記の基準をクリアしていなくても認められる「特例」もいくつか用意されています。
●学生納付特例……在学中の保険料納付が猶予される
●失業による特例免除……離職票などを提出すれば免除や猶予の対象になる可能性も
●産前産後期間の免除……出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月間の保険料を免除
●DV被害者の特例免除……配偶者から暴力を受けて配偶者と住所が異なる人が対象
●新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする臨時特例免除
(出典:日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」、日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」、日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」、日本年金機構「配偶者からの暴力を受けた方の国民年金保険料の特例免除について」、日本年金機構「新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除について」(※3))
さまざまな事情に応じた免除や猶予の制度がありますので、「支払えないかも……」と感じたら前年所得だけにとらわれず、まずは相談してみるのがおすすめです。
まとめ:困ったときは年金事務所に連絡しよう
所得が一定以下などの条件を満たせば、猶予や免除の対象になります。自分が条件を満たしているのかわからないときなどは、年金事務所や市区町村役場の国民年金窓口に相談してみましょう。
「国民年金保険料を支払えない」と思ったら放置するのではなく、適切に対処しておくことで、将来の年金を確保しつつ足元の負担を抑えられるかもしれません。
出典
(※1)
日本年金機構「国民年金保険料」
(※2)
郡山市「国民年金保険料の免除の基準について教えてください。」
(※3)
日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」
日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」
日本年金機構「配偶者からの暴力を受けた方の国民年金保険料の特例免除について」
日本年金機構「新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除について」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表