更新日: 2021.11.23 その他年金

会社が倒産したら積み立ていた企業年金はどうなる?

会社が倒産したら積み立ていた企業年金はどうなる?
企業年金の制度がある会社で働いていたのに、その会社が倒産してしまった場合、積み立ててあったお金はどうなってしまうのでしょうか。
 
結論からいうと、会社が倒産したからといって企業年金がゼロになることはありません。それはなぜなのか、企業年金はどんな仕組みで、積み立てたお金はどこに行くのか解説します。
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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企業年金とは? 制度の仕組み

企業年金とは、会社が従業員のために用意している年金制度です。加入義務がある国民年金や厚生年金などの「公的年金」に対して、「私的年金」とも呼ばれています。
 
企業年金には、例えば以下のような種類があります。


・確定拠出年金(企業型DC)
・確定給付企業年金(DB)
・厚生年金基金

 


(出典:厚生労働省「第15回社会保障審議会企業年金・個人年金部会 参考資料1 2020年9月30日」(※))
 
上の図の赤色部分(3階部分)が企業年金です。加入している企業年金の種類によって、企業が倒産したときの対応が違います。まずは、自分の会社がどの制度を導入しているのか確認してみましょう。
 

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会社が倒産しても企業年金はゼロにならない

企業年金の制度がある会社で働いていて、もし今その会社が倒産した場合、企業年金はどうなるのでしょうか。企業年金の種類にもよりますが基本的には、倒産時点で積み立ててある年金資産を加入者に分配して終了します。
 
もしくは、そのときに受け取るのではなく、いったん企業年金連合会(中途退職者や終了制度加入者の年金資産を預かっているところ)かiDeCo(個人型確定拠出年金)に資産を引き継いで運用を続け、老後に年金として受け取ることを選べる場合もあります。
 
いずれにせよ、倒産したからといって企業年金がゼロになるわけではありません。また、倒産時に必ず会社から説明があるはずですので、その案内に従って必要な手続きを済ませましょう。
 
「過去に企業年金制度のある会社で働いていたもののすでに退職していて、今回その会社が倒産することを知った」というケースもあるでしょう。
 
その場合、退職時にすでに一時金として給付を受け取っているなら、会社が倒産しても特に影響はありません。しかし、老後に年金として受け取る予定でまだ受け取っていない場合は、要注意です。
 
「企業年金ゼロ」にはならないものの、本来受け取れるはずだった企業年金の金額よりも減額される場合があります。また、在職している人と同じように、年金の原資を企業年金連合会などに移換される可能性もあります。
 
この場合も、勤めていた会社から必ず案内が来るはずですので、内容を確認して手続きをするようにしましょう。
 

企業年金のもらい忘れに要注意

企業年金制度がある会社が倒産するときは、在職者にも退職者にも企業年金が今後どうなるかの案内が行われるはずです。ただ、なかには「退職後に住所を変更していて案内が届かなかった」「かなり前に退職していて知らないあいだに倒産していた」ということもありえます。
 
その場合は、企業年金連合会の年金が受け取れるのに手続きができずに受け取れない可能性もありますので、一度記録を確認してみましょう。企業年金連合会の公式サイト内から、インターネットや電話、文書などで確認できます。
 
実は、厚生年金基金や確定給付年金といった企業年金制度に加入していた方は、たとえ会社が倒産していても中途退職していても1ヶ月しか働いていなくても、企業年金連合会から年金を受け取れる可能性があります。
 
この年金は、1回あたりはわずかな金額でも一生涯にわたって受け取り続けることができるものです。このことを知らず、せっかくの企業年金を受け取らないままになってしまう人もいます。もらい忘れがないよう、多少手間はかかりますがきちんと確認しておきましょう。
 

まとめ

企業年金は、もし勤務先の会社が倒産してもゼロにはなりません。基本的には企業年金が廃止されるタイミングでそれまで積み立てられていたお金を分配した分を受け取るか、iDeCoなど別制度に移換することになります。
 
ただ、当初受け取れる予定だった金額より少なくなる場合もありますので、会社からの案内をよく確認するようにしましょう。
 
(※)厚生労働省「第15回社会保障審議会企業年金・個人年金部会 参考資料1 2020年9月30日」「企業年金・個人年金制度の現状等について」
 
(出典)
金融広報中央委員会「企業年金 第2章 企業年金を受け取るまでに制度変更があったらどうなるのでしょうか?」
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/kigyo_nenkin/kigyo_nenkin3201.html
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/kigyo_nenkin/kigyo_nenkin3202.html

企業年金連合会「あなたの企業年金、お忘れではありませんか?」
 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表

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