もしもの時に頼りになる障害年金。厚生年金に加入している場合、どんな給付がある?
配信日: 2021.11.22
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
「障害年金」の仕組み
公的年金には、国民年金(年金の1階建て部分)と厚生年金(年金の2階建て部分)があります。
(引用:厚生労働省「いっしょに検証!公的年金」(※1))
会社員や公務員など厚生年金に加入している人は、もし障害が残ってしまった場合、条件を満たしていれば1階部分の国民年金(障害基礎年金)と2階部分の厚生年金(障害厚生年金)の両方を受け取ることができます。
障害年金の対象になる病気やけがは幅広く、目・耳・手足などの障害(外部障害)のほか、うつ病や認知症といった精神障害、ガンや糖尿病といった内部障害なども含まれます。
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障害年金は重症度によって金額が変わる
障害年金で受け取れる金額は、その障害の程度に応じて決められます。1級、2級のように重症度別に基準が決められて等級分けされていて、数字が小さいほど重症度が高く、受け取れる障害年金が多くなります。
1階部分の障害基礎年金では1級と2級の2段階、2階部分の障害厚生年金では1級~3級、さらに3級未満でも一時金(障害手当金)を受け取れる場合もあり4段階にわかれます。
「障害年金」はその症状があるうちは継続して受け取れますが、厚生年金で3級未満の人が受け取れる「障害手当金」は、一括でまとめて受け取ってその後の支給はありません。
※子の加算額
……本人に生計を維持されている子ども(18歳になった後の最初の3月31日までの子、もしくは、20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態にある子)がいるときに加算。
2人目まで子ども1人につき年間22万4700円、3人目以降は1人につき年間7万4900円。
※配偶者の加給年金額
……本人に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算。年間22万4700円。
(出典:日本年金機構「障害年金ガイド 令和3年度版」(※2))
障害厚生年金の金額は「報酬比例の年金額」が基準になっていますが、これは今までの給与や賞与の金額によって年金額が変わるということです。具体的な計算方法は以下のとおりです。
(引用:日本年金機構「障害年金ガイド 令和3年度版」(※2))
もともと収入が多かった人ほど受け取れる金額が多くなります。また、配偶者の状況も年金額に影響します。
ちなみに、厚生労働省の調査によると、民間企業で働き厚生年金に加入していた人が受け取る障害年金の平均額は「月額およそ10万円」でした。これは、障害基礎年金と障害厚生年金を合わせた金額です(※3)。
障害年金を受け取るための要件
障害年金を受け取るためには、クリアしておかなければならない条件があります。障害基礎年金と障害厚生年金で多少異なりますが、ポイントになるのは以下の3点です。
・「初診日」
……障害の原因になった病気やけがで初めて診療を受けた日。
・「障害認定日」時点の障害の状態
……原則として、初診日から1年6ヶ月を過ぎた日の障害の程度を基準に等級を判断。
・保険料の納付状況
……原則として、今までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上必要。
まとめ:厚生年金に加入していれば「障害基礎年金」と「障害厚生年金」が受け取れる可能性がある
厚生年金に加入している人は、一定以上の障害が残る状態になったとき「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の両方を受け取れる可能性があります。
受け取れる金額は、障害の程度・それまでの収入・家族構成などによって違います。また、受け取れる条件も複雑なため、自分の場合はどうなるか確認したい場合は、地域の年金事務所に出向くか日本年金機構の電話相談窓口「ねんきんダイヤル(0570-05-1165)」で一度相談してみるとよいでしょう(※4)。
(※1)厚生労働省「いっしょに検証!公的年金」日本の公的年金は「2階建て」
(※2)日本年金機構「障害年金ガイド 令和3年度版」障害年金・障害手当金の額P6/12
(※3)厚生労働省「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」P10/48
(※4)政府広報オンライン「障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病、心疾患、呼吸器疾患など内部疾患の方も対象です」
(出典)
日本年金機構「障害年金ガイド 令和3年度版」P1~3
日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表