更新日: 2021.11.23 国民年金

夫が亡くなったら、妻に支給される年金はどう変わるの?

夫が亡くなったら、妻に支給される年金はどう変わるの?
年金を受給していた夫婦の夫が亡くなってしまった場合、遺(のこ)された妻からすると、今後の生活に不安を感じる人は少なくないことでしょう。同一家計において、今まで年金を受給していた人の人数が減ってしまうのですから、支給額は減ってしまいます。
 
ただし、夫の年金がまったく受給できないわけではありません。夫が亡くなった後、妻に支給される年金はどのように変化するのか、確認してみましょう。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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65歳以降になると、特例で2つの年金が支給される?

年金には遺族年金というものがあり、遺された妻は遺族年金の受給が可能になります。そもそも年金は1人1年金が原則となっているのですが、支給事由が異なっている2つ以上の年金が受給できるときには、いずれか1つの年金を選ばなければなりません。
 
具体的には、今まで遺族厚生年金を受給しており、63歳から特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになったときは、遺族給付と老齢給付をあわせて受けることはできません。この場合は、この2つのうちのいずれかを選択しなければなりません。
 
ただし、このルールには例外があります。
 
65歳以上なら、特例として支給事由が異なる2つ以上の年金を受けられる場合があり、いくつかのパターンがありますが、そのうちの遺族年金、遺族給付が支給されるのは、(1)老齢基礎年金+遺族厚生年金、(2)老齢厚生年金+遺族厚生年金、(3)旧厚年の遺族年金+老齢基礎年金の3つのパターンです。
 

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パターンによって支給される金額に違いがある

 

(1)老齢基礎年金+遺族厚生年金

例えば妻が専業主婦などで老齢基礎年金のみ受給していたときは、自分の老齢基礎年金と夫の遺族厚生年金を併給できます。減額になるのは、夫の基礎年金部分のみです。
 

(2)老齢厚生年金+遺族厚生年金

妻自身も厚生年金を受給している場合は、遺族厚生年金が妻の老齢厚生年金よりも高い場合には、差額分が支払われます。ただし、妻の老齢厚生年金が遺族厚生年金よりも多く支給されているときには、遺族厚生年金は全額支給停止になります。
 
このケースはちょっと面倒なのですが、実際に計算してア~ウの3つのパターンから選ぶことになります。


ア. 老齢厚生年金+老齢基礎年金
イ. 遺族厚生年金+老齢基礎年金
ウ. (老齢厚生年金1/2+遺族厚生年金2/3)+老齢基礎年金

 

(3)旧厚年の遺族年金+老齢基礎年金

対象となるのは、昭和61年に法律が改正される前から遺族年金の受給し、65歳になってから基礎年金が受給できるときには、旧厚生の遺族年金と老齢基礎年金(65歳以上)を併給できます。
 
この特例は、老齢厚生年金と老齢基礎年金を受給している場合にも適用され、旧厚生の遺族年金と老齢基礎年金を受給できますが、旧厚生の遺族年金と老齢厚生年金はあわせて受給できません。つまり、旧厚生の場合は、2つのパターンから選択しなければなりません。


エ. 旧厚生の遺族年金+老齢基礎年金
オ. 老齢厚生年金+老齢基礎年金

エとオのどちらかを選択できます。
 

迷ったら、住所地の社会保険事務所で相談する

いくつかのパターンがあり、年金をどのように選択したらよいのか分からないことも多いと思います。迷っているなら、思い込みや自分で勝手に判断するのではなく、社会保険事務所へ出向いて、どのようなパターンで受給するとよいのか、相談してください。
 
実際に、どのようなパターンがよいのか悩んでいる人は少なくありません。自分にとって、どのパターンが適切かアドバイスしてもらえますよ。
 
夫が亡くなり2つ以上の年金が受給できるようになったら、年金受給選択申出書を提出しなければなりません。用紙は社会保険事務所や年金センターにありますので、入手してください。
 
また、選択しなかった年金は支給こそされませんが、権利は残ります。新たに選択し直すことも可能です。選択替えをするときにも、まずは相談することをお勧めします。
 
出典
日本年金機構「老齢厚生年金 老齢基礎年金を受けられる方へ 2つ以上の年金を受けられるようになったとき」
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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