更新日: 2021.11.24 その他年金

遺族年金を受給していた人が支給停止になったとき、どんな理由が考えられる?

遺族年金を受給していた人が支給停止になったとき、どんな理由が考えられる?
遺族年金は、国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなった場合に遺族が受け取れる公的年金です。
 
例えば、子育て世帯の夫が急に亡くなってしまった場合、残された妻と子は収入が途絶え、生活に困ってしまいます。こうした万が一のケースが起きたときの備えとして遺族年金制度がありますが、遺族年金は永続的に受け取れるとは限らず、支給停止になる要件があります。
 
この記事では、遺族年金が支給停止になるケースを取り上げます。
遠藤功二

執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。

遺族基礎年金の受給対象と支給停止になるとき

遺族基礎年金は、受給要件を満たしている国民年金の加入者(厚生年金の加入者含む)が亡くなった際、その方に生計を維持されていた子がいる配偶者、または子が受け取ることができます。
 
遺族年金制度における子とは、18歳に達した年度の3月31日までの子、障害等級1級もしくは2級に該当する場合は20歳未満の子をいいます。また、亡くなった方の死亡時に胎児だった子は、生まれてから対象の子となります。
 
遺族基礎年金は、子の有無で支給の可否が決まります。また、亡くなった方に生計を維持されていた家族の生活支援としての役割を果たすので、以下の場合には支給が停止となります。
 

<配偶者が受給権者の場合>

・配偶者が死亡したとき
・配偶者が結婚したとき
・配偶者が直系血族、または直系姻族ではない方の養子になったとき
・子が死亡したとき
・子が結婚したとき
・子が他人の養子となったとき
・子が亡くなった方と離縁したとき
・子が配偶者と生計を一にしなくなったとき
・子が18歳に達した年度の3月31日を過ぎたとき
・障害等級1級、2級の子が20歳になったとき、または19歳になった年度以降20歳未満の期間で障害状態ではなくなったとき

 

<子が受給権者の場合>

・子が死亡したとき
・子が結婚したとき
・子が他人の養子となったとき
・子が亡くなった方と離縁したとき
・子が亡くなった方の配偶者と生計を一にしなくなったとき
・18歳になる年度の3月31日を過ぎたとき
・障害等級1級、2級の場合は20歳以上になったとき、または19歳になる年度以降20歳未満の期間で障害状態ではなくなったとき

 

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遺族厚生年金の受給要件

遺族厚生年金は、受給要件を満たしている厚生年金の加入者が亡くなった際、その方に生計を維持されていた受給対象者が受け取ることができます。受給対象者は以下のとおりですが、遺族厚生年金の場合は配偶者でも妻と夫で受給権者となれる要件が変わります。


・妻(ただし、30歳未満で子がいない方は5年間の有期支給)
・子(受給権者としての要件は遺族基礎年金の子の定義と同じ)
・夫(妻の死亡時に55歳以上の方)
・父母(子の死亡時に55歳以上の方)
・孫(受給権者としての要件は子の場合と同じ)
・祖父母(孫の死亡時に55歳以上の方)

なお、夫、父母、祖父母が受給権者となった場合でも、遺族厚生年金の受け取りを開始できる年齢は60歳からになります。ただし、夫は遺族基礎年金を受給できる場合のみ、60歳前でも遺族厚生年金を受け取れます。
 

遺族厚生年金が支給停止になるとき

遺族厚生年金が支給停止になるのは以下の場合です。
 

<受給権者が妻、夫、子、父母、孫、祖父母の場合に共通>

・受給権者が亡くなったとき
・受給権者が結婚したとき
・直系血族または直系姻族ではない方の養子になったとき
 

<妻が受給権者の場合に特有の事由>

・子がいない妻が30歳未満で受給権者となってから5年を経過したとき
・遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取っていたが、30歳前に遺族基礎年金を受け取る権利がなくなってから5年を経過したとき
 

<子、孫、父母、祖父母が受給権者の場合に共通する事由>

・亡くなった方と離縁したとき
 

<子、孫が受給権者の場合に共通する事由>

・18歳に達した年度の3月31日を過ぎたとき
・障害等級1級、2級の場合は20歳以上になったとき、または19歳になった年度以降20歳未満の期間で障害状態ではなくなったとき
 

<孫、父母、祖父母が受給権者の場合に共通する事由>

・亡くなった方の死亡時に胎児だった子が生まれたとき
 

他の年金受給時の支給停止について

遺族厚生年金は、配偶者が受け取る際に子の有無が要件とならないため、一見、永続的に受け取れるように思いがちです。
 
公的年金は老齢、障害、遺族のうち、2つ以上の年金を受け取れるようになったときは、原則いずれか1つを選択するという制度のため、老齢厚生年金、または障害厚生年金を受け取る場合は、遺族厚生年金は支給停止になります。
 
ただし、65歳以上になり、老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方が受け取れるようになった際には、老齢厚生年金の額が遺族厚生年金の額よりも少ない場合、差額分の遺族厚生年金を受け取れます。
 

まとめ

遺族基礎年金は、子の有無によって受け取りの可否が決まります、また、遺族基礎年金、遺族厚生年金のいずれも亡くなった方との離縁、他の方との結婚、養子縁組など、支給停止要件については明確な事由があるので覚えておきましょう。
 
出典
日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき
日本年金機構 年金の併給または選択
 
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

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