更新日: 2021.11.24 厚生年金
子どものいない妻は、夫の死後どんな給付をもらえるの?
こういったお金の不安を解消するため、子どものいない妻が夫の死後に受け取れる給付について解説していきます。
執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
情報に踊らされない
今はインターネット上に情報があふれているため、どの情報が正しいのか、見極める力が必要となります。子どもがいない妻にとって、正規雇用で働いていれば特に問題はないかもしれませんが、お金の不安は、専業主婦であればその後に働くとしても、募るばかりでしょう。
そこで、夫の死後に受け取れる給付について代表的なものを解説していきます。
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遺族厚生年金
遺族年金という言葉は聞いたことがあると思います。遺族年金は大きく分けて「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」とに分かれます。どちらも夫を亡くしたときに受給できるものですが、遺族基礎年金は、子どものいる人が対象になるので、ここでは「遺族厚生年金」についてのみ、解説します(※)。
(1)受給要件
亡くなった夫が、会社員か公務員、もしくは過去に会社員か公務員だったという人は受け取れます。
(2)受給できる人(受給対象者)
優先順位があり、以下の順番で受給できます。
a 妻(30歳未満で子どもがいない場合は、5年間のみ。)
b 子(18歳未満、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の人。)
c 夫(55歳以上の人のみ。なお、遺族基礎年金を受給している人は合わせて遺族厚生年金を受給できる可能性が高い。)
d 父母(55歳以上の人のみ。なお、受給開始は60歳から。)
e 孫(18歳未満、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の人。)
f 祖父母(55歳以上の人のみ。なお、受給開始は60歳から。)
(3)受給できる金額(年金額)
亡くなった夫の報酬比例部分の4分の3とされています。金額については計算方法が難しいのでここでは説明を控えます。
(4)中高齢寡婦加算
40歳以上65歳未満の妻で18歳未満の子どものいない人には、40歳から65歳までの間、58万5700円(年額)が受給できます。
(5)経過的寡婦加算
中高齢寡婦加算を受給していて65歳になると、中高齢寡婦加算がなくなります。その代わりに一定額を受給できるのが経過的寡婦加算です。
遺族厚生年金は、夫が亡くなると自動的に受給できるわけではなく、手続きが必要になるので、忘れないようにしましょう。
なお、遺族厚生年金の詳細は、お近くの年金事務所や社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナーにご相談ください。
死亡退職金や弔慰金
亡くなった夫が会社員や公務員であれば、会社の規程により、死亡退職金や弔慰金を受け取ることができるかもしれません。夫の会社に確認してみてください。
なお、個人事業主の人は、小規模企業共済や倒産防止共済に加入しているのであれば、死亡退職金のようにまとまったお金が入ってくる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
葬祭費や埋葬料
健康保険に加入している人が亡くなると、自治体(国民健康保険に加入している人)や健康保険組合(会社員や公務員等)から数万円程度の給付があります。こちらも手続きが必要になるので忘れないようにしましょう。
住宅ローンの保障
住宅ローンの名義人が亡くなると、大抵の場合、団体信用生命保険に加入しているので、その保険金により住宅ローンはなくなります。まれに加入していない人がいるので、今すぐ加入しているかどうかの確認はしておきましょう。
何よりも手続きをする必要があることに注意が必要
夫が亡くなるとぼうぜんとし、月日だけが経過しがちです。今回のお話はすべて手続きが必要なものです。お金のことに限らず、人が亡くなると、その亡くなったときからさまざまな手続きに追われることになります。夫が亡くなることを想定したくはありませんが、「もしものとき」のために備えておきましょう。
出典
(※)日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士