更新日: 2021.11.29 厚生年金
60歳以降も厚生年金に加入して働くと、年金は月いくら増える?
このように60歳以降も厚生年金の加入義務のある事業所でフルタイムで働いている場合などは70歳に到達するまで厚生年金に引き続き加入する必要があります。
本記事では、今後スタンダードになるであろう老齢年金の加入期間が延長した場合の年金増加額について解説していきます。
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
定年退職と厚生年金
現在多くの企業では60歳で定年退職を迎えることになりますが、公的年金の支給開始年齢が引き上げられたことから、高年齢者の就業機会が確保され、希望すれば70歳まで継続雇用を受けることができるようになっています。
また、継続雇用後の厚生年金については就業形態によって加入の要否が異なってきます。一般従業員の所定労働時間・日数の4分の3以上働いている場合や、従業員数501人以上の事業所で雇用期間が1年以上で週20時間以上働き、1ヶ月の賃金が8万8000円以上となった場合は加入義務が生じる可能性があります。
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60歳以降の厚生年金の増加の仕組み
60歳以降も引き続き厚生年金に加入することで厚生年金の老齢給付などの金額を増加させることができます。厚生年金の加入期間延長による給付額の増加額は、以下の計算で求められます。
・平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数
※平成15年4月加入以降の場合
仮に年間の給与収入が240万円(平均標準報酬額20万円)の場合、1年間加入期間をのばすことによる増加額は年間約1万3000円となり、支給開始年齢である65歳まで厚生年金に加入し働き続けた場合の増加額は1万3000円×5年で年間約6万5000円(月額約5400円)となります。
また、同額の収入で70歳まで10年間厚生年金への加入を続けた場合は年間約13万円(月額1万800円)の増加となりますが、現役時代の収入に比べると少額に感じられるかもしれません。
しかし、厚生年金の増額は老齢給付だけでなく遺族厚生年金などの給付額も併せて増加するため、万が一の際のリスク対策としても有効です。
65歳以後の厚生年金の変化点について
65歳に達することで厚生年金と国民年金の老齢給付を受け取る資格を得ますが、厚生年金へ保険料を支払い続けながら年金を受け取る場合、増加額が年金の支給額に反映されるのには70歳到達時(加入資格喪失時)まで待つ必要がありました。
しかし、2022年4月から厚生年金の「在職定時改定」が開始されます。この制度は、毎年9月1日時点で厚生年金に加入している場合、8月までの加入実績を10月分の年金支払いより反映される仕組みとなっています。
従来は厚生年金保険料を延長して支払っても年金額の増加がすぐに反映されませんでしたが、今後は1年ごとに厚生年金の支給額が増えることになります。
もうひとつの変更点は、第三号被保険者についてです。
第三号被保険者は、給与所得者(第二号被保険者)の配偶者で年齢が20歳から60歳未満で扶養されている場合に、国民年金へ保険料負担なしで加入することができますが、第三号被保険者は扶養となっている配偶者に関する要件のほかに、第二号被保険者の年齢が65歳未満と定められています。
このため、65歳以降は第三号被保険者であった配偶者は、第一号被保険者となり国民年金保険料を納付する必要があります。
まとめ
定年退職後も一定の条件で就労を続ける場合、70歳に達するまで厚生年金に引き続き加入することができます。加入延長による増加額は「平均標準報酬額×5.769/1000×加入月数」で求められ、年収が高く加入期間が長いほど老齢給付の金額も多くなります。
また、これまでは65歳に達し老齢給付を受けつつ厚生年金に加入していても給付額への反映はすぐには行われませんでしたが、今後は在職定時改定が導入されるため、老齢給付の金額が毎年増加していくようになります。
人生100年時代の今後は、シニアプランの一環として定年退職後も就労を続けるのがスタンダードとなっていくものと思われますが、年齢と共に変化する厚生年金の仕組みについて把握しておきましょう。
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表