更新日: 2021.11.29 年金

夫に先立たれた妻。事実婚ですが遺族年金はもらえますか?

執筆者 : 辻章嗣

夫に先立たれた妻。事実婚ですが遺族年金はもらえますか?
亡くなった方に生計を維持されていた遺族が受給できる遺族年金ですが、事実婚の妻には受給権があるのでしょうか?
 
今回は遺族年金について、事実婚の妻が受給できるのか否か解説します。
 
辻章嗣

執筆者:

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

辻章嗣

執筆者:

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

遺族年金の概要

国民年金や厚生年金の被保険者、または被保険者であった方が受給要件を満たしている場合、亡くなったときに生計を維持されていた遺族が受けられるのが遺族年金です。
 
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、亡くなった方が加入していた年金制度によっていずれか、または両方の年金が支給されます(※1)。また、遺族年金は受け取る方にも年齢などの条件や優先順位が設けられています。
 

1. 遺族基礎年金

国民年金の被保険者などであった方が亡くなったとき、その方に生計を維持されていた以下の遺族は遺族基礎年金を受け取ることができます(※2)。

(1)子のある配偶者
(2)子

遺族年金でいう子(および孫)とは、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある方のことです(※2)。
 

2. 遺族厚生年金

厚生年金の被保険者などであった方が亡くなったとき、その方によって生計を維持されていた以下の遺族で優先順位の高い方が受給します(※3)。
 

優先順位 対象遺族 受給条件など
1 子のある妻
子のある55歳以上の夫
遺族基礎年金をあわせて受給
2 子のない妻 子のない30歳未満の妻は、5年間の有期給付
子のない55歳以上の夫 支給開始は60歳から
3 55歳以上の父母 支給開始は60歳から
4
5 55歳以上の祖父母 支給開始は60歳から

(※3を基に筆者作成)
 
なお、遺族基礎年金を受給できる遺族の方は、2つの年金を合わせて受け取ることができます(※2)。
 

事実婚の妻に受給権はあるのか?

亡くなった夫が会社員などであった場合は、生計を維持されていた妻は遺族厚生年金を受け取れます。また、子がいる場合は遺族基礎年金も合わせて受給できます。
 
一方、亡くなった夫が自営業などであった場合は、生計を維持されていた子のある妻には遺族基礎年金が支給されます。
 
ところで、この妻が事実婚であった場合、遺族年金の受給権はあるのでしょうか。
 
国民年金法および厚生年金保険法には、妻として「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする」と記載されており、事実婚の関係にあった妻も遺族年金の受給対象に含まれます(※4、5)。
 

事実婚であった妻が遺族年金を請求するには

遺族年金を請求する際には、死亡した方との続柄を証明するために戸籍謄本を提出します。
しかし、事実婚の関係では戸籍謄本がありませんので、これに代わる証明書として以下の(ア)~(カ)のいずれかの書類を「事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書」に添付して提出する必要があります(※6、7)。
 

ケース 事実婚関係・生計同一関係証明書類
(ア) 健康保険等の被扶養者になっている場合 健康保険被保険者証等の写し
(イ) 給与計算上、扶養手当等の対象となっている場合 給与簿または賃金台帳等の写し
(ウ) 同一の死亡について、他制度から遺族給付が行われている場合 他制度の遺族年金証書等の写し
(エ) 事実婚関係にある当事者間の挙式、披露宴などが1年以内に行われている場合 結婚式場等の証明書、または挙式や披露宴などの実施を証明する書類
(オ) 葬儀の喪主になっている場合 葬儀を主催したことを証明する書類(会葬御礼の写しなど)
(カ) その他(ア)~(オ)のいずれにも該当しない場合 その他、内縁関係の事実を証明する複数の書類
・連名の郵便物
・公共料金の領収書
・生命保険の保険証
・未納分の税の領収証
・賃貸借契約書の写し など

(※7を基に筆者作成)
 

まとめ

会社員の夫に生計を維持されていた妻は遺族厚生年金、会社員や自営業などの夫に生計を維持されていた子のある妻は遺族基礎年金を受給する権利がありますが、事実婚であった妻にも同様の権利があります。
 
事実婚の妻に該当する方が遺族年金を請求する際には、事実婚と生計維持関係を証明する書類を用意して、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターで手続きをしてください。
 
出典
(※1)日本年金機構 遺族年金
(※2)日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
(※3)日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
(※4)e-Gov 法令検索 国民年金法 第五条
(※5)e-Gov 法令検索 厚生年金保険法 第三条
(※6)日本年金機構 事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書
(※7)日本年金機構 ⽣計同⼀関係証明書類等について
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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