更新日: 2021.11.30 その他年金
退職目前! 年金の手続きを確認しよう(2)60歳以降に退職した場合
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
退職時が60歳以上の場合の手続き
退職した時が60歳以上の場合は、退職後に国民年金に加入する義務はありませんし、60歳未満の場合のように市区町村への国民年金の切り替え手続きの必要はありません。
ただし、本人は退職時60歳以上でも、その配偶者が60歳未満でそれまで第3号被保険者だった場合、配偶者は第1号被保険者への切り替えが必要であることは変わりません。
もし、その60歳以降の退職時に、65歳から受給できる老齢基礎年金が満額(40年納付による額:2021年度は年額78万900円)に達していない場合は、退職以降65歳まで(あるいは満額に達するまで)、国民年金に任意加入して国民年金保険料を納付できます。
任意加入を希望する場合はやはり市区町村で手続きが必要です。納付方法は原則口座振替となり、前回取り上げた付加保険料も併せて納付できます。加入が任意ですので、加入して以降についての保険料を納付することができ、過去にさかのぼっての加入・保険料納付はできません(【図表1】)。
例えば、60歳になってすぐ任意加入していれば65歳までの5年間納付できるところを、62歳になって初めて任意加入の手続きをしても、3年間しか納付ができないことになります。
したがって、任意加入を希望する場合、特に長く加入・納付したい場合は退職後早く手続きをすることが大切です。
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受給者として退職に関する手続きは必要?
60歳台、特に65歳以降になると老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)を受け取れるようにもなります。一方で引き続き働いていることもあり、年金加入者(厚生年金被保険者)となっていることもあるでしょう。
厚生年金は在職中最大で70歳になるまで加入できますが、年金を受給する立場、厚生年金保険料を払う立場、両方の立場にもなります。
【図表2】のように、老齢年金の受給権発生以降に加入した厚生年金被保険者期間分については、退職時に受給額に反映されることになり、その際の再計算により老齢厚生年金の受給額が増える仕組みとなっています。
その受給額の再計算・増額をしてもらうために自ら手続きをする必要はありません。退職すると、勤務先から年金事務所に自身の厚生年金加入資格喪失に関する届け出(「被保険者資格喪失届」)がされます。
年金受給者としては、支給開始年齢(生年月日により60歳~65歳)以降、年金請求書等による手続きがありますが、事前にその受給者としての手続きをしていれば、厚生年金加入資格喪失後、自動的に再計算後の受給額についてお知らせ(「年金決定通知書・支給額変更通知書」)が届きます。
つまり、年金を受給できる人が会社を退職する場合、退職(厚生年金加入の終了)そのものに関しては、自身で年金事務所に行う報告や手続きはないことになります。
以上のように、全2回にわたって、会社を退職した場合の年金の手続きについて取り上げましたが、その内容は年齢や配偶者の有無など個々人の状況によっても変わります。
退職する際に、事前に何の手続きがあるかを確認して、退職後、必要な手続きは早めに済ませたいところです。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー