更新日: 2021.12.07 国民年金
自営業の人が公的年金に上乗せできる3つの年金とは?
しかし、老齢基礎年金だけでは生活が苦しくなることが予想されますので、できれば何らかの制度を利用し、年金の上乗せを考えておきたいものです。今回は自営業者が利用できる年金の上乗せ制度について解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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国民年金とは?
日本国内の20歳以上60歳未満の方が加入でき、40年間(480ヶ月)保険料を払い続けることで、原則65歳になった際には、年金を満額受給できます。
国民年金に加入することで受け取ることができる年金には、65歳以上で受け取れる老齢基礎年金以外にも、一定の障害の状態になった際に受け取れる「障害基礎年金」や、配偶者が亡くなった際に要件を満たすことで受け取れる「遺族基礎年金」があります。
■国民年金の満額受給額はいくら?
国民年金に加入している期間、保険料をすべて払い続けた場合に受け取れる満額受給額は、毎年4月に改定されます。ちなみに2021(令和3)年度の満額受給額は78万900円となっています。年金は偶数月の15日に前2ヶ月分が振り込まれます。
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付加年金の利用
国民年金の上乗せ制度の1つとして利用できるのが付加年金です。毎月の保険料に400円上乗せして支払うことで、将来受け取る老齢基礎年金に付加年金額が加算されます。加算額は200円×付加年金保険料納付月数となっており、40年間(480ヶ月)支払った場合、9万6000円が上乗せされることとなります。
この上乗せ額と保険料を比較すると、2年以上年金を受け取ると支払った保険料よりも受け取る年金額の方がプラスになることから、ぜひ利用を考えてみましょう。
ただし、この付加年金による上乗せ額については、毎年改定される年金額には反映されません(物価スライドはありません)。
国民年金基金の利用
また、国民年金基金に加入することで、将来受け取る年金額を増やすこともできます。加入の際には、国民年金基金連合会に申し込む必要があります。ただし、付加年金の制度を利用している方は国民年金基金との併用はできませんので注意が必要です。
国民年金基金には、第1号被保険者であれば誰でも加入できる「全国国民年金基金」と、第1号被保険者の中でも特定の業種に付いている方が加入できる「職能型国民年金基金」があります。
では、国民年金基金の概要について、詳しく説明します。
■加入資格
日本国内に居住している20歳以上60歳未満の国民年金加入者、および任意加入者が対象です。ただし、農業者年金の被保険者や国民年金保険料の免除制度を受けている方は加入できません。
■給付
国民年金基金の給付には、老齢年金および遺族一時金があり、加入時に給付の型や口数を選択します。給付の型については、終身年金および確定年金があり、全部で7種類から選ぶことができます。ただし、1口目については終身年金AもしくはBの2種類から選択する必要があります。
■掛け金
掛け金は上限が決まっており、月額6万8000円となっています。また、加入時の年齢や選択した給付の型と口数、性別によって掛け金が決まる仕組みとなっています。掛け金については、加入している口数単位で増額したり減額したりすることが可能です。
■年金額
受け取れる年金額は、どの給付の型を選んだか、また加入期間によって異なります。ちなみに加入時年齢が50歳1月の場合で加入期間が119ヶ月ある場合の終身年金A型を選んだ方の年金額は約12万円となります。
iDeCoの利用
iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、毎月の掛け金および受け取るまでの運用益、さらに受け取る際にも税制の優遇が受けられる制度です。
■加入資格
原則として20歳以上60歳未満の人であれば誰でも加入できます。国民年金基金との併用も可能です。ただし、企業型確定拠出年金制度に加入されている方で、その企業の規約によりiDeCoの併用が禁止されている場合は加入できません。
また、農業者年金の被保険者や国民年金保険料の免除制度を受けている方も加入できません。国民年金基金および付加年金制度の併用は可能です。
■掛け金
掛金額は最低5000円からとなっており、1000円単位で決めることができます。iDeCoの掛け金も上限が決まっており、第1号被保険者の方は月額6万8000円となっています。
国民年金基金に加入されている方もしくは、付加年金を払っている方は、その基金の掛け金もしくは付加年金保険料と合算した額がこの上限額となります。また、掛け金の額については、年に一度変更が可能です。
■運用
iDeCoは自分で運用商品を選択し、運用しながら将来の年金を作る制度です。まずどの金融機関で行うのかを決め、さらに運用商品を決めたうえで運用を行う必要があります。運用実績しだいでは多くの年金額を受給することが期待できるかもしれません。
まとめ
自営業の人が公的年金に上乗せできる年金制度には、本文で紹介した3つのほかに、保険商品(個人年金保険)を利用することで年金額を増やすこともできます。
また、iDeCoについては、今後加入できる人の対象が拡大されることや、加入期間も延長されることが決まっていることから、興味を持たれている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただし、将来の年金を増やすためには、いずれの制度も早く加入することが大切です。自分に合った上乗せ方法を見つけ、有意義に活用するようにしてください。
出典
(※1)日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」
(※2)日本年金機構「付加年金」
(※3)国民年金基金連合会 ホームページ
(※4)iDeCo公式サイト
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員