老後も働きたい。年金が支給停止にならない境目の収入はいくら?

配信日: 2021.12.12

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老後も働きたい。年金が支給停止にならない境目の収入はいくら?
経済的な余裕や生きがいのために、老後も長く働きたいと考える人は多いでしょう。しかし、働いて賃金をもらうと年金額が減ると知ってためらっている人もいるのではないでしょうか。在職老齢年金制度は、老後も働く人の収入に応じて、年金受給額を調整する制度です。収入額によっては、年金額が大きくカットされることになります。
 
ここでは、在職老齢年金制度によって年金が支給停止になる収入のボーダーラインと、支給停止になった場合の年金額の計算方法をまとめました。老後の働き方を考える際の参考にしてください。
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監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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60歳以上の人が働きながら年金を受給するときは「在職老齢年金制度」に注意

 
「在職老齢年金制度」とは、老齢厚生年金と働いて得る収入の額に応じて、年金が段階的に支給停止となる制度です。60歳台(70歳未満)の人が退職後の再就職などにより厚生年金保険に加入した場合、70歳以上の人が厚生年金保険の適用事業所に就職した場合などに適用されます。
 
ただし、会社などで働く60歳以上の人全てに適用されるわけではありません。総報酬月額相当額が基準を超えた場合にのみ、年金の一部、または全部が支給停止されます。

■総報酬月額相当額とは

次の式で計算した金額をいいます。
(対象月の標準報酬月額)+(対象月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12ヶ月

標準報酬月額は報酬月額を区切りのよい金額で等級分けした金額、標準賞与額は税引き前の賞与額から1000円未満を切り捨てた金額です。
 

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在職老齢年金で年金が支給停止になる収入はいくらから?

 
年金が支給停止となる基準額は、65歳未満と65歳以上で異なります。年金をできるだけ満額受給したいと考える人は、ご自身の年齢に合わせて働き方を調整する必要があるでしょう。
 
それでは、収入がいくらまでなら年金が支給停止にならないのでしょうか。以下で、年金が支給停止になる目安の収入額を、年齢別に解説します。
 

65歳未満

 
60~65歳未満の人の場合、在職中でも年金を全額受給できるのは、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が28万円以下(※)までのときです。28万円を超えると、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額に応じて、年金の一部または全部が段階的に支給停止されます。
※2022年4月より47万円以下に緩和されることが決まっています。
 
在職老齢年金による年金支給月額の計算式を、表1にまとめました。
 
表1

総報酬月額相当額 老齢厚生年金基本月額 年金支給月額の計算式
47万円以下 28万円以下 基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)×1/2
28万円超 基本月額-総報酬月額相当額×1/2
47万円超 28万円以下 基本月額-{(47万円+基本月額-28万円)×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}
28万円超 基本月額-{47万円×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}

 
計算の結果が0またはマイナスになる場合、年金は全額支給停止です。
 

65歳以上

 
65歳以上の世代では、基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円を超えると、年金の一部もしくは全部が支給停止となります。在職老齢年金による年金支給月額の計算式は、次のとおりです。
 
年金支給月額=基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×1/2
 
計算結果がマイナスになる場合、老齢厚生年金は全額支給停止です。ただし、老齢厚生年金が支給停止となっても、老齢基礎年金、経過的加算額は引き続き全額支給されます。
 

将来の年金額も考えて働き方を考えましょう

 
働きながら年金を全額もらえる収入のボーダーラインは、65歳未満が給与と賞与を合わせて月額28万円、65歳以上では月額47万円です。それ以上稼ぐと在職老齢年金制度によって、年金額がカットされます。
 
ただし、在職老齢年金制度が適用されたとしても、働いているぶん収入全体は増えるうえに、厚生年金を長く納めればそれだけ将来の年金額も上積み可能です。年金の支給停止額と働いて得られるメリットをよく比較して、働き方を検討しましょう。
 
出典
日本年金機構 60歳台前半(60歳から65歳未満)の在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 65歳以後の在職老齢年金の計算方法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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