遺族基礎年金や遺族厚生年金が受け取れなくなるのは、どんなとき?
配信日: 2021.12.13
この記事では、遺族基礎年金や遺族厚生年金の仕組みと、どんな場合に受け取れるか、また受け取れない場合はどんなときなのかということをお知らせしますので、ぜひ今後の人生設計とリスク管理の参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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遺族基礎年金・遺族厚生年金とは何か?
一般的に、「遺族年金」と言われるものには、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。どちらも、亡くなった方によって生計を維持されていた遺族が受けられる年金で、イレギュラーな例を除けば、亡くなった方が国民年金に加入していた場合は「遺族基礎年金」、厚生年金保険に加入していた場合は「遺族基礎年金」に上乗せして「遺族厚生年金」を受け取ることができます。
もちろん、家族が亡くなればどんな場合でも受給できるというものではなく、年金を受給するためにはいくつかの要件を満たしている必要があります。それらを事前によく理解しておけば、いざという時に慌てて受給資格があるかを調べる必要はなくなるということです。
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遺族年金を受け取れるのはどんな時?
まずは、遺族年金を受けられるのはどんな時かということについて、詳しく説明したいと思います。
第一に、年金保険料をしっかり納付しているということが前提です。具体的には、免除期間を含む保険料納付済期間が年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。ただし、令和8年3月末日までに死亡した場合、死亡した方が65歳未満であれば、亡くなった月の前々月までの直近1年間に未納がなければよいことになっています。
また、いずれの制度も死亡した方に「生計を維持されていた」遺族が受給対象となります。生計維持とは、日本年金機構によれば、原則として同居していて、前年の収入が850万円未満であるか、所得が655万5千円未満であるという条件を満たすものとされています。ただし、別居していても、仕送りをしているとか健康保険の被扶養者である等の事情があれば、認められることとなっています。
次に、遺族基礎年金と遺族厚生年金で異なる部分について見ていきましょう。
・遺族基礎年金の受給資格
遺族基礎年金は、主に「国民年金の被保険者である間に死亡したとき」に支給されます。死亡した方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受給対象となります。ただし、子に関しては年齢や婚姻状況によって除外される場合があるので注意が必要です。
・遺族「厚生」年金の受給資格
遺族厚生年金は、主に「厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき」に支給されます。死亡した方に生計を維持されていた妻・子・夫・父母・孫・祖父母が受給対象となります。ただし、それぞれ年齢要件や受給期間に制限があるので注意が必要です。
また、死亡した時に厚生年金保険の被保険者でなかった場合でも、「厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき」も、受給要件を満たします。
遺族年金を受け取れないのはどんな時?
遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取れない、受け取れなくなるのはどんな時かというと、まずは「受給資格要件を満たさない時」ということになります。それにはさまざまな例が考えられますが、特に見落とされがちだったり、勘違いをしがちな点についてご説明します。
・国民健康保険加入で「子どもが全員18歳到達年度の末日を迎えた配偶者」
遺族基礎年金の受給資格は、「子のある配偶者」または「子」ですが、この「子」というのは、「18歳になった年度の3月31日までの間にある子」で「婚姻をしていない者」という限定があります。(子に障害がある場合、要件が変わる場合があります。)このため、夫が自営業で国民年金加入の場合、子供1人がいる夫婦であっても、その子が19歳だったり結婚している場合は、遺族年金は支給されません。
・厚生年金保険加入で「30歳未満の子のない妻」が5年間受給した場合
遺族厚生年金の受給対象となる「妻」には年齢制限がありませんが、妻が30歳未満で子がない場合は、遺族厚生年金を受給できるのは5年間に限られます。5年間を経過すると受給することができなくなるので、一生涯受けられるものと誤認しないよう注意が必要です。
上記のように、遺族年金は「遺児の養育」を主眼において制度設計されており、「子のない配偶者」に対してそれほど手厚くないため、その点をあらかじめ知ったうえで、将来設計やリスク管理をするのがよいでしょう。
いざという時のために知っておきたい遺族年金制度
「家計を支えている大黒柱に何かがあったら」ということは、あまり具体的に考えていない方も多いと思います。しかし、別れは突然訪れるものです。家族を失ったとき、精神的なショックが大きい中で年金について調べるのは、なかなか厳しいのではないでしょうか。
また、受け取れると思っていた年金が実は受け取れなかったという場合も大変です。そんなことがないように、あらかじめ遺族年金の制度について知っておくとよいでしょう。
【出典】
日本年金機構 遺族年金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー