更新日: 2021.12.20 その他年金

1日生まれの人は年金を1ヶ月分多くもらえるのはなぜ?

執筆者 : 柘植輝

1日生まれの人は年金を1ヶ月分多くもらえるのはなぜ?
「月初に当たる1日生まれの人は、年金を1ヶ月分多くもらえるから得だよね」
 
こんな話を聞いたことはありませんか?
 
なぜ、1日生まれだと1ヶ月分多く年金を受け取れるのでしょうか。また、本当に1日生まれの人は年金について得をしているのでしょうか。この点を確認していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

1日生まれの人が年金を1ヶ月分多くもらえるといわれる理由

公的年金は、原則65歳に到達した月の翌月分から死亡月の分まで受け取ることができます。ただし、この65歳という年齢について、年金に関しては誕生日ではなく、その前日で判断します。
 
つまり、実際にはまだ64歳で明日から65歳という状況であっても、年金の手続き上は65歳になったものとして扱われます。
 
1日生まれの人は、前日に当たる前月末日には年金の受給権を得ていることになりますが、年金の受給権は月単位で判定していくため、前月にはすでに受給権を得ており、翌月分から年金を受け取ることができるという流れです。
 
例えば6月1日生まれの人は、誕生日の前日である5月31日には年金の受給権を得ることになり、その翌月(誕生日の月)である6月分から年金を受け取れます。対して6月2日生まれの人は、受給権を得る前日の1日は6月であるため、年金の受給は翌月に当たる7月分からとなります。
 
これが、1日生まれの人は年金を1ヶ月分多くもらえるといわれる理由です。
 

1日生まれの人が年金を多く受け取っているわけではない

ここまでの話では、1日生まれの人の方がより多く年金を受け取れて得をしていると感じてしまいますが、実はそうではありません。
 
20歳以上の人に加入が義務付けられている国民年金は、加入して保険料を支払うタイミングも受給時と同様、誕生日の前日で判断します。そのため1日生まれの人は、他の日が誕生日の人より1ヶ月早く年金に加入し、保険料を支払うことになります。
 
例えば、6月1日生まれの人は5月31日に年金に加入するため、5月分から保険料の支払義務が生じますが、6月2日生まれの人は6月から加入して保険料を支払います。
 
つまり、1日生まれの人が年金を1ヶ月早く受け取れるのは、その分、早く年金に加入して保険料を支払っているためであり、決して誕生日によって得や損をするというわけではないのです。
 
ただ、厚生年金についてはこの限りではなく、被保険者としての要件を満たしている場合(会社員として就職したときなど)に加入することになるため、誕生日は関係しません。
 

年金の受取開始時に注意したいこと

65歳となる誕生日の前日に年金の受給権を得ても、自動的に年金を受け取れるようになるわけでありません。受給開始年齢に達する3ヶ月前に年金請求書が送られてくるため、誕生日の前日以降に年金事務所へ提出する必要があります。
 
また、年金は請求書を提出してから支払いが開始されるまでに1~2ヶ月程度かかるほか、請求をしないまま5年が過ぎると時効となって受け取れない場合もあるため、誕生日の前日となったら早めに手続きすることをおすすめします。
 

まとめ

1日生まれの人は誕生月の分から年金の受給権が発生します。しかし、国民年金への加入が1ヶ月早くなっているため、1日生まれの人が得をしているわけではありません。
 
年金の加入期間や受給について気になる点がある場合、最寄りの年金事務所などへ問い合わせてみるといいでしょう。
 
参考
日本年金機構 国民年金には20歳から加入すると聞いていますが、20歳の誕生日の前日に資格を取得したとなっています。誤りではないのですか。
日本年金機構 老齢年金の請求手続き
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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