更新日: 2021.12.28 その他年金
夫が亡くなった後、夫の遺族年金だけで生活は可能?
遺族年金は公的年金制度の1つであり、世帯の働き手が亡くなった際に、生計を維持されていた遺族が受け取ることができる年金です。原則、公的年金の保険料を滞りなく納めてきた方が亡くなった場合は、遺族は遺族年金を受け取ることができます。
では、遺族年金はどれほどの金額が受け取れるのでしょうか。この記事では、遺族年金の金額と、遺族年金だけでは足りない場合にどのような対策があるのかを解説します。
執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金がある
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。それぞれ順に見ていきます。なお、本記事内では、亡くなられた方が然(しか)るべき年金保険料を納めており、遺族は遺族年金を受け取ることができる条件を満たしている前提で解説します。
遺族基礎年金
遺族基礎年金は、死亡した方に生計を維持されていた「子がいる配偶者」が受け取ることができます。子に生計を同じくする父も母もいない状態のときは、子が受け取ることができます。受け取れる金額は以下のとおりです。
(1)子がいる配偶者が受け取る場合
約78万円+子の加算額
(2)子が受け取る場合
約78万円+2人目以降の子の加算額
子の加算額:2人目まで約22万円、3人目以降約7万円
子が受け取る場合は、全体の金額を子の数で割り、割った金額をそれぞれの子が受け取ることになります。
遺族厚生年金
遺族厚生年金は、第2号被保険者が亡くなった場合に死亡された方に生計を維持されていた遺族が受け取ることができます。遺族基礎年金と違って、子がいない配偶者、55歳以上の父母や祖父母、一定の年齢までの孫も対象になります。遺族厚生年金の受取金額は以下のとおりです。
老齢厚生年金の報酬比例部分×4分の3
※報酬比例部分の計算をする際の被保険者期間が300ヶ月未満の場合は300ヶ月で計算します。
中高齢寡婦加算
中高齢寡婦加算は、遺族厚生年金を受け取れる妻が40歳から65歳になるまでの間だけ加算されるものです。夫が亡くなった当時に40歳以上65歳未満の子がいない妻、または夫が亡くなった当時は40歳未満で子がいたが、40歳から65歳未満の間に子がいなくなった妻に支給されます。
ここでいう「子がいない」状態とは、子が年齢を重ねることで年金制度上の子ではなくなったケース(成年になったケース)を含みます。
年金制度上の子とは、18歳到達年度の末日までの子、障害等級1級または2級の障害状態にある20歳未満の子のことをいいます。
中高齢寡婦加算の金額は約58万円です。
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遺族年金額を計算
上記の遺族年金額は具体的にいくら程度になるのでしょうか。下記の例で夫が亡くなったものとして、具体的な金額を計算してみます。
家族構成:夫、妻、子2人
夫の職業:会社員として厚生年金制度に加入
遺族年金計算時の夫の平均標準報酬額:50万円
遺族年金計算上の厚生年金加入期間:300ヶ月
遺族基礎年金額:約78万円+約22万円×2=約122万円
遺族厚生年金額:50万円×5.481/1000×300ヶ月×3/4=約61万円
合計金額:約183万円
子が2人とも18歳になる年度の3月末を超えると、遺族基礎年金の代わりに中高齢寡婦加算が支給され、遺族年金の合計額は以下のとおりになります。
中高齢寡婦加算:約58万円
遺族厚生年金:約61万円
合計金額:約119万円
遺族年金では足りないときの対策
日本国内の物価を考えると、遺族年金だけで生活をするのは難しそうです。対策としては、配偶者が働くことで収入を得る、民間の死亡保険に加入しておく、資産形成をしておく、などが考えられます。家計の支出状況を鑑みて、必要な対策を検討しましょう。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)