シニアの結婚は婚姻日で年金額が変わることも!
配信日: 2022.01.19
60代で結婚する場合、結婚の時期によって年金の受給額が変わる場合もあります。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
老齢厚生年金に加算される配偶者加給年金
会社員等であった人は、65歳から老齢厚生年金と老齢基礎年金の2階建てで受給できます。そして、65歳になったその本人に厚生年金加入期間が20年以上あり、生計を維持されている年下の配偶者がいれば、老齢厚生年金に配偶者加給年金が加算されます。
これは家族手当のような意味合いがあるものですが、その配偶者が65歳になるまで加算されることになっています(【図表1】)。年額で39万500円(特別加算額込みの2021年度の額)が加算されることになり、歳の差が大きいほど加算される期間も長くなる計算となります。
そして、加算条件となる生計維持とは、(1)生計同一要件(本人と配偶者が同一世帯など)と(2)収入要件(配偶者の前年の収入が850万円未満など)を満たした場合を指しています。
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65歳時に配偶者が生計を維持されているか?
しかし、年下の配偶者がいることで加算される配偶者加給年金について、60代になってから結婚する場合は結婚の時期に注意が必要です。その配偶者とは、「本人の65歳当時」(65歳の誕生日の前日)生計を維持されている配偶者を指します。
本人が65歳になる前に結婚し、その後65歳を迎えた時に配偶者が生計を維持されていれば、配偶者加給年金は加算されます。
一方、本人の65歳時点では結婚しておらず、その後になってから結婚した場合は、たとえ配偶者が生計を維持されていて65歳未満であっても、加算されません(【図表2】)。
婚姻届をいつ提出するかによって加算の有無が変わります。したがって、配偶者加給年金においては、婚姻日に気を付ける必要があります。
いつまでに結婚すると加算されるかをあらかじめ確認
なお、本人の65歳当時、その厚生年金加入期間が20年未満だった場合については、その後厚生年金に加入して20年以上の加入期間で老齢厚生年金が再計算(退職時改定、あるいは2022年改正による在職定時改定)された時期に、配偶者(65歳未満)が生計を維持されていれば加算されます。
つまり、この場合に配偶者加給年金が加算されるためには、その20年以上で再計算される時期までに結婚することが条件です。
また、特別支給の老齢厚生年金(60歳台前半の老齢厚生年金)について、長期特例(厚生年金加入44年による特例)や障害者特例(障害等級1~3級相当の障害があることによる特例)に該当することによって配偶者加給年金が加算されるためには、特例によって支給されることになる定額部分の支給開始時期までに結婚することが必要になります。
このように、必ずしも「65歳直前までに結婚すること」が条件とならないこともあるため、60代で結婚を予定していて配偶者加給年金が気になる場合は、詳細な加算条件について年金事務所等で確認すると良いのではないでしょうか。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー