更新日: 2022.02.02 国民年金

【FP相談】20歳になったら学生でも国民年金に加入しなければならないのですか?

執筆者 : 新美昌也

【FP相談】20歳になったら学生でも国民年金に加入しなければならないのですか?
学生でも20歳になったら国民年金に加入しなければなりません。しかし、国民年金の保険料月額1万6610円(令和3年度)は、学生にとっては大きな負担です。
 
そこで、学生については、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

国民年金とは

日本国内に居住している20歳以上60歳未満の人は、国民年金の被保険者(加入者)となります。20歳になった人には、日本年金機構から「国民年金加入のお知らせ)」「国民年金保険料納付書」「国民年金の加入と保険料のご案内(パンフレット)」「保険料の免除・納付猶予制度と学生納付特例制度の申請書」「返信用封筒」が送付されます。
 
加入者は老後のための「老齢基礎年金」のほか、けがや病気で障害になったときの「障害基礎年金」や死亡時の「遺族基礎年金」が受け取れます。保険料を支払わないとこれらの年金を受け取ることができない場合があります。
 
令和3年度の保険料は月額1万6610円となっています。20歳から60歳まで保険料を40年間納付すると、年額78万900円(令和3年度)の老齢基礎年金が受給できます。
 

国民年金の保険料が払えない場合

学生にとって国民年金の保険料はけっこうな負担です。コロナ禍でアルバイト収入も減っているので払うことは難しいかもしれません。保険料を納められないときは、未納のまま放置してはいけません。未納を放置していると、病気やけがで障害が残ったときに、「障害基礎年金」が受け取れなくなる可能性があります。
 
保険料の支払いが困難な場合には、放置せず、在学中の国民年金保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」を申請しましょう。以下のようなメリットがあります。
 

「学生納付特例制度」のメリット・デメリット

▽メリット

申請が承認されると、将来受け取る「老齢基礎年金」の受給資格期間(10年以上)に算入されます。また、保険料を払わない点では未納と同じですが、猶予期間中に一定の障害状態になって生活に支障が出た場合には、未納と違って「障害基礎年金」を受け取ることができます。
 

▽デメリット

ただし、承認を受けた期間は、保険料を払っていないので、年金額には反映されず、将来の老齢基礎年金がその分少なくなります。そこで、10年以内であれば、あとから納めること(追納)ができるようになっています。
 
なお、承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に追納する場合、承認当時の保険料に経過期間に応じた加算額がプラスされますので早めに追納しましょう。また、私的年金制度のiDeCoや国民年金基金は国民年金保険料を納めていることが、制度を利用できる条件となっていますので、「学生納付特例」を受けている方は加入できません。
 

「学生納付特例制度」申請の条件

学生納付特例制度を利用できるのは本人の前年所得(収入-経費)が基準(*)以下の学生ですので注意してください。
(*)128万円+扶養親族等の数×38万円
 
申請ができる場所は、住所地の市区役所・町村役場、または年金事務所(郵送による提出も可能)のほか、大学でも申請を受け付けている場合があります。
 
過去期間は申請書が受理された月から2年1ヶ月前(すでに保険料が納付済みの月を除く)まで、将来期間は年度末まで申請できます。
 

国民年金保険料を親に支払ってもらう

子どもが社会人になってから追納して一括して国民年金保険料を支払えば、子どもの「社会保険料控除」として全額所得控除できますが、親に国民年金保険料を払ってもらうというというのも一案です。
 
生計を一にする親族であれば、国民年金保険料は払った人の所得控除として申告できます。つまり、親が払った子どもの国民年金保険料は親の「社会保険料控除」として全額控除できますので、親の所得税・住民税の軽減に役立ちます。国民年金保険料は年間約20万円ですので、所得税・住民税で30%が課税されている親なら約6万円の節税になります。
 
また、iDeCoを始めることも可能になります。
 
出典
日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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