65歳までに繰下げ受給の制約・注意点を理解(3) 他の種類の年金がある場合

配信日: 2022.02.04

この記事は約 3 分で読めます。
65歳までに繰下げ受給の制約・注意点を理解(3) 他の種類の年金がある場合
前々回は老齢厚生年金、前回は老齢基礎年金、それぞれの繰り下げの制約について取り上げました。今回は、該当するといずれの年金も繰り下げができなくなるという、両者に共通する注意事項について取り上げます。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

障害年金・遺族年金が受けられると繰り下げできない

年金は老齢年金だけではなく、病気やけがが原因で障害が残った場合に支給される障害年金、死亡した人の家族に支給される遺族年金があります。
 
それぞれ、基礎年金(障害基礎年金・遺族基礎年金)と厚生年金(障害厚生年金・遺族厚生年金)がありますが、障害年金や遺族年金を受け取っていた人が65歳を迎えると、年金額などの比較の結果、老齢年金を受け取ることもあります。
 
65歳以降は、年金の種類が異なっていても(1)老齢基礎年金と老齢厚生年金と遺族厚生年金、(2)障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせで受給もできます(※(1)についての遺族厚生年金は老齢厚生年金相当額を差し引いた差額分の支給です)。
 
しかし、65歳時点で、障害年金、遺族年金といった他の年金の受給権がある場合、老齢基礎年金も老齢厚生年金も繰下げ受給ができません。また、65歳時点で障害年金、遺族年金の受給権がなかったとしても、66歳以降に当該受給権が発生すると、繰り下げの増額はその時点までとなり、それ以降は増額できなくなります(【図表1】)。
 

 
ただし、例外として、障害年金のうちの障害基礎年金のみの受給権がある場合は、老齢厚生年金のみ繰下げ受給が可能です(【図表2】)。先述のとおり、65歳以降、障害基礎年金は老齢厚生年金と併せて受給できますので、障害基礎年金と繰下げ受給の老齢厚生年金で受給するという方法もあります(その間、老齢基礎年金は支給停止となります)。
 

 
当然、この場合、老齢基礎年金については繰り下げができません。また、障害基礎年金だけでなく障害厚生年金の受給権がある場合は老齢厚生年金も老齢基礎年金も繰り下げできません。
 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

「ねんきん定期便」には繰り下げについて記載されているが・・・

毎年届く「ねんきん定期便」には、繰下げ受給制度と繰り下げた場合の年金額について記載されています。これを見て繰り下げをしようと予定していたところ、障害年金・遺族年金の受給権があったために繰り下げができないことを65歳になってから知ると慌てることになります。
 
他の種類の年金があると、原則、老齢年金の繰り下げが不可能であるという事実について、あらかじめ把握し、早めに65歳以降の年金受給について考え、備えておきたいところでしょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集