更新日: 2022.02.13 その他年金

ねんきん定期便の額が「意外と少ない」…年金額の増やし方にはどんなものがある?

ねんきん定期便の額が「意外と少ない」…年金額の増やし方にはどんなものがある?
20歳以上の方には毎年の誕生月に届く「ねんきん定期便」ですが、記載されていた将来の年金額が少ないことに、がくぜんとされる方も少なくないのではないでしょうか。
 
今回は、ねんきん定期便に記載されている年金額の見方と、年金額の増やし方について解説します。
辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

ねんきん定期便に記載されている年金額とは

「ねんきん定期便」に記載されている年金額には、実は2種類あります。
 
1. 50歳未満の方は加入実績に応じた年金額
50歳未満の方に送付される「ねんきん定期便」には、これまでの年金制度の加入実績に応じた年金額が記載されています。従って、65歳から受け取る老齢年金の額を表しているものではありません(※1)。
 
2. 50歳以上の方は年金見込額
50歳以上の方に送付される「ねんきん定期便」には、現在の働き方を60歳まで続けて年金制度に加入した場合に、65歳から受け取ることができる老齢年金の見込み額が記載されています(※1)。
 
なお、日本年金機構が提供しているインターネットサービス「ねんきんネット」(※2)を利用すると、50歳未満の方でも将来の働き方を入力することで年金見込額を知ることができます。
 
また、50歳以上の方で転職などの予定がある方は、働き方に応じた年金見込額を知ることができますので、利用登録をして確認しておくといいでしょう。
 

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年金額を増やす方法とは

老後に受け取る年金の額を増やす方法について、国民年金の被保険者区分ごとに解説します。
 

第1号被保険者が年金額を増やす方法

自営業者などの第1号被保険者が年金額を増やす方法には、「付加保険料を納付」、「国民年金基金に加入」、「国民年金に任意加入」があります。
 
1. 付加保険料を納付
毎月の国民年金保険料に400円の付加保険料を上乗せして納付することで、「200円×付加保険料納付月数」の付加年金を受給することができます(※3)。
 
この制度では付加年金を2年以上受け取ると、支払った付加保険料以上の金額を受け取れます。
 
2. 国民年金基金に加入
国民年金基金に加入することで、年金額を増やせます(※4)。
 
国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せして給付を行う公的制度で、加入は口数制となっており、終身年金型が2種類、確定年金型が5種類あります。
 
なお、国民年金基金の加入者は、国民年金の付加保険料を納付することができません。
 
3. 国民年金に任意加入
40年の保険料納付済期間に満たないため、老齢基礎年金を満額で受給できない方は、60歳以降も65歳まで国民年金に任意加入し、保険料を納付することで年金額を増やすことができます(※5)。
 

第2号被保険者が年金額を増やす方法

厚生年金の被保険者である第2号被保険者が受け取る老齢厚生年金の年金額(報酬比例部分)は、以下の計算式(平成15年4月以降の被保険者期間)のとおり、平均標準報酬額に乗数と被保険者期間の月数を乗じて算定されます(※6)。
 
報酬比例部分の年金額=平均標準報酬額×0.5481%×被保険者期間の月数
 
平均標準報酬額とは、被保険者期間の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を被保険者期間の月数で除して得た額になります。
 
従って、厚生年金の被保険者として、より高い報酬を得て、より長く働くことで老齢厚生年金の額を増やすことができます(※6、7)。
 
ただし、老齢年金を受給しながら厚生年金の被保険者として働く場合は、年金の基本月額と報酬額に応じて、年金額の一部または全部が支給停止となる在職老齢年金制度があります(※8)。
 

第3号被保険者が年金額を増やす方法

第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者が年金額を増やす方法は、基本的にはありません。
ただし、パートタイマーなどで働いている第3号被保険者が、扶養を外れて厚生年金の被保険者として働くことで老齢厚生年金を受給できるようになります(※7)。
 

全ての被保険者に共通する年金額を増やす方法

全ての被保険者に共通する年金額を増やす方法としては、「国民年金保険料の追納」と「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の利用があります。
 
1. 国民年金保険料の追納
国民年金保険料の免除・納付猶予や学生納付特例の適用を受けた期間がある場合は、保険料を全額納付した場合と比べて年金額が低くなりますが、免除や猶予を受けた保険料を後から納付(追納)することで老齢基礎年金額を増やして満額に近づけることができます。
 
ただし追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除や猶予を受けた期間に限られています(※9)。
 
2. 個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用
私的年金制度である個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用して、年金額を増やすことができます。
 
iDeCoは、拠出した掛け金を自分で運用し、資産を形成する年金制度です。60歳になるまで掛け金を拠出して、60歳以降に老齢給付金を年金方式で受け取ることができます(※10)。
 

まとめ

現在の加入実績に応じた将来の年金額や、今後の加入状況から仮定した年金の見込み額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で知ることができます。
 
また、老後の年金額の増やし方にはさまざまな方法がありますので、見込み額が少ないと思う方は、早めに対策を講じることをお勧めします。
 
出典
(※1)日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
(※2)日本年金機構 ねんきんネット
(※3)日本年金機構 付加保険料の納付のご案内
(※4)国民年金基金連合会 制度について知る
(※5)日本年金機構 任意加入制度
(※6)日本年金機構 老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
(※7)日本年金機構 適用事業所と被保険者
(※8)日本年金機構 65歳以後の在職老齢年金の計算方法
(※9)日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
(※10)国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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