更新日: 2022.03.17 年金

障害年金のウソ? ホント?(14)「収入が増えると、障害年金に影響する?」

執筆者 : 和田隆

障害年金のウソ? ホント?(14)「収入が増えると、障害年金に影響する?」
障害年金の相談を受けていると、ちょっとした思い違いをしている人や、誤ったうわさ話を信じ込んでいる人が少なくないことに気づきます。そうした人たちは、後になって「しまった!」となりかねません。
 
そんなことにならないために、あらかじめ正しい知識を身に付けておきましょう。第14回は「収入が増えると、障害年金に影響する?」です。
 
和田隆

執筆者:和田隆(わだ たかし)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。

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収入と障害年金受給額の関係は……

収入が増えるのはうれしいことですが、そのために、受給している障害年金が減額されたり、支給停止になったりしたのでは、喜んでばかりはいられませんね。収入と障害年金受給額の関係を見てみましょう。
 
収入にも、障害年金受給者本人の収入の場合と配偶者や子など家族の収入の場合があります。分けて考えてみましょう。
 

20歳前障害の場合は……

【1】障害年金受給者本人の収入の場合

障害年金の受給資格で異なります。さらに、分けて考えてみましょう。
 
a)20歳前障害の場合
障害年金の受給資格が20歳前障害の場合は、受給に当たって、年金の加入要件や保険料の納付要件を問われていません。このため、受給している障害年金の原資は全額が“公のお金”といえます。そこで、所得制限が設けられています。2021年10月から2022年9月までの間の支給停止の基準となる所得額は次の表(*)のとおりです。扶養親族がいる場合は、この所得額に加算があります。

2021年10月~2022年9月の支給停止の基準となる所得額

(日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」(※)を参考に筆者作成) 
 
注意しなければならないのは、この表の金額は、収入ではなく所得であること、および、前年つまり2020年の所得額であることです。同様に2022年10月から2023年9月までの所得制限の場合は、2021年の所得額が対象になります。
 
所得というのは、収入から必要経費などを差し引いたものです。何が必要経費などに該当するかは、判断が複雑ですので、詳しくは、年金事務所にお尋ねください。なお、宝くじでの当選金や遺産相続などで得たお金も所得から除外されます。
 

特別障害給付金という制度も……

20歳前障害の障害年金に似た趣旨の特別障害給付金という制度があります。かつての国民年金制度の変遷の過程で、国民年金に任意加入していなかったことにより障害年金を受給できない人を救済するための福祉的措置で、この場合も、20歳前障害の障害年金と同様に、所得制限が設けられています。
 

20歳前障害以外の場合は……

b)20歳前障害以外の場合
所得制限はありません。障害年金は保険制度の一環だからです。受給権者は、たとえ、いわゆる億万長者になっても、障害年金を受給することができます。
 
障害年金を受給している人の中には「収入を得ると障害年金が打ち切られるのではないかと心配で、就職に踏み切れない」と言う人がいます。仮に、就職して障害年金が不支給になるとすれば、それは、就職ができるほどの健康状態になった、つまり障害状態とは言えないほどに健康を回復したからであって、収入のせいではありません。
 

配偶者や子など家族の収入の場合は……

【2】配偶者や子など家族の収入の場合

障害年金は個人に対して支給されるものですので、家族の収入は障害年金の金額には影響しません。たとえ、失業中だった配偶者や学生だった子が就職して収入を得るようになっても、受給者本人の障害年金には関係がありません。
 
ただし、配偶者や子の収入が非常に多くて受給者の生計維持から外れると、「配偶者の加給年金」(「配偶者加給年金額」とも言います)や「子の加算」などの加算はなくなります。
 

「ホント」と言えるのは、一部の場合

「収入が増えると、障害年金に影響する?」の「ウソ・ホント」は、20歳前障害の場合など一部に限って「ホント」と言えるでしょう。
 
出典
(※)日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」
 
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

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