更新日: 2022.04.07 その他年金
障害年金のウソ? ホント?(16)「書類のそろえ方には順番がある?」
そんなことにならないために、あらかじめ正しい知識を身に付けておきましょう。第16回は「書類のそろえ方には順番がある?」です。
執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。
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目次
手当たり次第にそろえ始めるのはよくない
障害年金を請求するときは、たくさんの書類をそろえなければなりません。
誰でもが必ずそろえなければならないのが、年金請求書、診断書、病歴・就労状況等申立書です。
このほかに、場合によっては、受診状況等証明書、戸籍謄本、所得証明書、子の学生証の写し、預金通帳の写し、なども必要になります。
請求を急ぐあまり、手当たり次第にそろえ始めたのでは、無駄なものまでそろえてしまったり、書類が期限切れになったりして、効率がよくありません。そろえ方には順番があります。
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請求の基本方針を作ろう
ところで、書類をそろえ始める前に、まず考えなければならないことがあります。それは、どんな傷病で障害年金を請求するかということです。
特に、いろいろな傷病を抱えておられる場合は、これが大切です。主治医や年金事務所などとしっかり相談をして、請求する傷病を絞り込みます。これが、障害年金請求のいわば基本方針になります。
最初に受診状況等証明書を
基本方針が決まったら、最初に入手するのが、その傷病の受診状況等証明書です。
受診状況等証明書は、傷病の初診日を証明するためのもので、初診日がいつなのかによって、請求する障害年金が障害基礎年金であるのか障害厚生年金であるのか、障害認定日はいつなのか、配偶者の加算があるのかないのか、などが変わってきます。当然、そろえなければならない書類も変わってきます。
受診状況等証明書に前医(同じ傷病で以前に受診した医療機関)のことが書かれていれば、初診日はもっと前ということになり、前医の受診状況等証明書が必要になります。
また、請求する障害年金の種類が違ってきたり、初診日に連動して障害認定日が変わると、診断書の作成を依頼する医療機関が違ってくることもあります。受診状況等証明書が障害年金請求手続きの起点といえるでしょう。
なお、傷病が先天性の知的障害である場合、および、初診日の医療機関と診断書を作成してもらう医療機関が診療科も含めて同一の場合は、受診状況等証明書自体が不要です。
上記で受診状況等証明書を「誰でもが必ずそろえなければならないもの」に挙げていないのは、この理由からです。
次は診断書を
受診状況等証明書で初診日がはっきりすれば、次は診断書です。障害認定日請求か事後重症請求かによって、枚数や作成の依頼先が違ってきます。
診断書の作成にかかる期間は、医療機関によってまちまちで、早ければ1週間くらい、遅ければ数週間を要します。このため、速やかに依頼するほうがよいでしょう。
診断書が作成されるのを待っている間に
診断書が作成されるのを待っている間に、年金請求書や病歴・就労状況等申立書などを作成します。
ただし、診断書の内容と矛盾がないほうがよいので、完成させるのは、診断書ができあがってからです。また、診断書が作成されるのを待っている間に戸籍謄本などの必要書類を集めます。
なお、病歴・就労状況等申立書は、医療機関が診断書を作成する際にも役に立ちますので、仮記入をして、そのコピーを医療機関に参考資料として渡しておくのも効果的です。
診断書ができあがれば
診断書ができあがれば、内容に間違いがないか、書き足してもらうところはないか、などをチェックします。また、年金請求書や病歴・就労状況等申立書などを完成させます。
補強書類があった方が安心できる場合は、それらの書類もそろえます。
例えば、障害者手帳の申請時の診断書の写し、就労先の健康診断の記録、母子手帳やお薬手帳の写し、などです。
計画を立てて取り組もう
以上が作業の手順ですが、最初に説明した基本方針で、障害が複数の部位にまたがっているので複数の種類の診断書を提出することにした場合は、これらの作業の多くを重複して行わなければなりません。大変煩雑になりますので、しっかりと計画を立てて取り組みましょう。
「書類のそろえ方には順番がある?」の「ウソ・ホント」は、「ホント」といえます。
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士