更新日: 2022.04.13 年金

年金を70歳まで繰り下げ予定の人が受給前に亡くなったら、年金はもらえないの?

年金を70歳まで繰り下げ予定の人が受給前に亡くなったら、年金はもらえないの?
厚生年金・基礎年金などの公的年金は65歳からの受給が原則となっていますが、受給開始を遅らせることで受給金額を引き上げることができます。
 
仮に70歳まで5年間繰り下げることで年金受給額のアップを狙っていた人が、不幸にして69歳で亡くなった場合は、もうその4年分の年金は諦めるしかないのでしょうか?
 
年金制度の趣旨や仕組みを知り、税制などの基本的なルールを理解しておけば、そのような場合でも慌てなくて済みます。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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公的年金は基本的に後払いなので、常に未支給年金が発生する

まず、公的年金は常に後払いです。年金は偶数月の原則15日に支給されますが、例えば6月15日に支払われるのは、4月と5月の2ヶ月分です。
 
そのため、年金受給者が亡くなったときは、必ず未支給の年金が発生します。亡くなったその月の年金は、本人はもう支給日には受け取れないからです。未支給年金は一定のルールに従って、生計を一にする遺族に支払われます。
 
また、そもそも存命ならばその人の預金口座に入っているはずのお金なので、いわば相続財産と同じように考えても間違いではありませんが、全く別の生活をしている親族でも相続人になれるのに対して、年金はあくまで「生活の糧」という趣旨のお金なので「生計を一にする」という条件が加わります。
 
では年金受給を繰り下げ中で、現に年金を受け取っていない人が亡くなった場合はどうなるでしょうか?
 
亡くなった人が天涯孤独で、誰も相続人がいないのであれば年金は支給されませんが、そうでない限りは、生計を一にしている遺族が権利を引き継げます。なぜかといえば、年金の請求権の時効が5年だからです。
 
時効が5年というのは、65歳で直ちに受給を始められた年金があったとして、それを70歳になるまで65歳にさかのぼって請求できるという意味です。
 
年金の繰り下げとは、請求できる年齢に達しても請求しないでそのまま放っておき、自分が受給を始めたいときに請求すると、一定の率で年金額が増額されるという制度です。そのため、仮に意図的に繰り下げをしていても、事情が変わったなら5年までさかのぼって請求できるのです。
 
もし大きな病気にかかったりして、あのときに年金を請求しておけばよかったと思ったら、その時点でさかのぼって請求できます。不幸なことにそのような手続きを行うことなく、事故などで突然亡くなった場合でも、基本的には同じ考え方です。
 
65歳開始予定の年金請求を放置していても、69歳で不測の亡くなり方をした場合は、65歳までさかのぼって、生計を一にする遺族が請求できることになります。
 

さかのぼって支給される年金には増額はなく、遺族が受け取る場合は税制も変わる

さかのぼって年金を請求できると分かれば安心できると思います。この場合は後からもらったからといって、年金が増額されることはありません。あくまでそのときのお金を後からもらえるという趣旨です。
 
本人が存命であるなら、年金としての所得となり、公的年金の雑所得のルールに従って、所得税も課税もされます。生計を一にする遺族が後から請求して受け取る場合には、相続課税ではなく、受け取る人の一時所得の扱いとなります。
 
亡くなった人の財産の分割という考え方ではなく、あくまで生計をいかに立てていくか、という中での位置付けなので、受け取った人はたまたま名義上の受取人になっただけであり、所得税の分類では一時所得になるのです。
 

さかのぼって受け取る場合でも在職老齢年金の適用がある

65歳での公的年金の受給開始を行わないで年金の繰り下げに入る人は、65歳以降も収入があって年金に頼らなくてもよいから、という場合が多いと考えられます。
 
それが例えば69歳になって退職し、不幸にして間もなく亡くなったとします。そんなに早く亡くなるのが分かっていれば、65歳で退職して年金生活に入り、好きなことをしていればよかったということにもなりますが、起こったことはさかのぼっても変えられません。
 
在職老齢年金の制度が適用されて、その間に十分な収入があり、年金は全額支給停止だったという場合には、さかのぼって受け取れる年金もないことになります。
 

年金は生計を維持するためのお金で仮に亡くなってもその目的に沿って支払われる

年金受給を繰り下げて65歳以降も働くか、貯金の取り崩しでしばらくしのいで将来の長生きに備えるか、人によってさまざまな考え方があります。幸いなことに、年金は5年間さかのぼって請求できますので、生計プランが変われば多少なりともやり直しがきく仕組みとなっています。
 
繰り下げ中に本人が亡くなるケースは、最も大きな生計プランの変更ともいえますので、生計を一にする遺族は時効の5年を活用して、生計のためのお金をさかのぼって受け取れる可能性があります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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