更新日: 2022.05.30 その他年金
障害年金のウソ? ホント?(17)「65歳になると請求できない?」
そんなことにならないために、あらかじめ正しい知識を身に付けておきましょう。第17回は「65歳になると請求できない? 」です。
執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。
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原則は「65歳になるまでに」
「障害年金の請求は65歳になるまでにしましょう」とよく言われます。
傷病が年月を経て進行し、障害状態になったために行う障害年金の事後重症請求は、65歳になると、もう受け付けてもらえません。このため、「65歳になるまでに」というのは正しいのですが、これは、あくまでも原則です。
65歳以降でも障害年金を請求できる場合があります。次の場合です。
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障害認定日請求なら65歳以降でもOK
【1】初診日が65歳前で、障害認定日に障害状態だった場合
障害年金の障害認定日請求です。この請求は、70歳になっても80歳になってもできます。
ただし、20歳前の障害の場合を除いて、いわゆる保険料納付要件は満たしていなければなりません。障害認定日から年月を経るごとに、診断書の作成が難しくなりがちですし、時効の関係で直近5年間の障害年金しか受給できないので、請求は早いほうが有利です。
「初めて2級以上の請求」も
【2】「初めて2級以上の請求」をする場合
「初めて2級以上の請求」というのは、初診日が前後する2つ以上の傷病による障害を併せて、初めて2級以上の障害等級に該当した場合の請求方法です。例えば、軽い視力障害を持っていた人に心臓疾患で新たな障害が生じ、両方の障害を併せると2級以上に該当する場合などです。
保険料納付要件は、後から生じた傷病のほうで判断されます。先の例で言えば、心臓疾患のほうです。
この請求は、65歳までに2級以上の障害等級に該当していなければなりませんが、請求自体は65歳以降でも可能です。【1】と趣旨が似ています。
厚生年金保険に加入中に初診日がある場合も
【3】65歳以降で、厚生年金保険に加入中に初診日がある場合
65歳以降でも厚生年金保険に加入して就労している人はたくさんいます。こうした人は、初診日の時点で被保険者なので、障害年金を請求することができます。ただし、保険料納付要件は満たしていなければなりません。
また、既に65歳以降なので、ほとんどの人が老齢年金の受給権を持っていることでしょう。その場合は、障害等級が1級、あるいは2級に該当しても、障害基礎年金は受給できません。障害厚生年金だけの受給になります。現実的には、障害厚生年金を受給するか、あるいは「老齢基礎年金+老齢厚生年金」を受給するか、の選択になるでしょう。
なお、65歳以降でも老齢年金の受給権をまだ持っていない場合は、国民年金の第2号被保険者になりますので、障害等級が1級、あるいは2級に該当すれば、障害基礎年金も受給できます。
国民年金に任意加入中に初診日がある場合も
【4】65歳以降で、国民年金に任意加入中に初診日がある場合
国民年金は本来、60歳までの加入ですが、老齢基礎年金の受給資格を得られていない場合は、希望すれば、65歳以降でも国民年金に加入できます。これを任意加入といいます。
加入者は被保険者ですので、この期間中に初診日があれば、障害基礎年金を請求できます。ただし、保険料納付要件を満たしていなければなりません。
事後重症請求は65歳の誕生日の前々日までに
65歳になったからといって、障害年金の請求を簡単にあきらめてはいけないということですね。「65歳になると請求できない? 」の「ウソ・ホント」は、必ずしも正しい表現ではないので、「ウソ」ということになるでしょう。
なお、原則の「65歳になると請求できない」で注意しなければならないことがあります。法律では、65歳になるのは65歳の誕生日の前日です。したがって、事後重症請求の締め切り日は65歳の誕生日の前々日です。
※2022/5/30 記事に一部誤りがあったため、修正いたしました。
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士