更新日: 2022.05.09 その他年金

2022年4月から加給年金の支給停止の規定見直しに。ところで加給年金ってご存じですか?

2022年4月から加給年金の支給停止の規定見直しに。ところで加給年金ってご存じですか?
会社員として働いていた人が65歳になり、老齢厚生年金をもらう際に、生計を維持している年下の妻(夫)がいれば、「加給年金」(家族手当のようなもの)が支給されます。
 
4月から加給年金の支給停止の規定が見直されましたので、ポイントを解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

加給年金とは

以下、夫が年下の妻を生計維持している前提で説明しますが、妻が年下の夫を生計維持している場合も同じです。
 
20年以上厚生年金に加入していた夫が65歳になった時点で、その人によって生計維持されている65歳未満の妻(内縁関係も含む)がいる場合に、夫の老齢厚生年金に「加給年金」という家族手当のようなものが加算されます。
 
夫の老齢厚生年金が全額支給停止される場合は、加給年金額も全額支給停止となりますので注意が必要です。夫婦間の年齢が離れているほど、加算される期間が長くなり、多くの加給年金額を受け取れます。
 
このほかにも、加給年金額についての細かい条件がありますので、日本年金機構のホームページなどで確認してください。
 
ねんきん定期便を見れば、将来受け取れる年金見込額が載っていますが、「加給年金額」は含まれていませんので注意してください。詳しくは、お住まい近くの年金事務所に予約をとって相談に行くとよいでしょう。
 
要件のひとつである「生計を維持されている」とは、下記のことをいいます。


(1) 同居していること(別居していても、仕送りを行っている、健康保険の扶養親族であるケースなど、このような事項があれば認められます)

(2) 加給年金額等対象者について、前年の収入が850万円未満であること(または所得が655万5000円未満であること)

また、妻だけではなく18歳未満の子ども(20歳未満で1級または2級の障害を持った子ども)がいる場合も、「加給年金」が支給されます。ちなみに、加給年金額を加算するためには、届け出をする必要がありますので確認してください。
 

■いくらもらえる?(令和4年4月~)

配偶者の加給年金額は22万3800円です。さらに、老齢厚生年金を受給している方の生年月日に応じるかたちで、「配偶者の加給年金額」に3万3100円~16万5100円が特別加算されます。
 
したがって、加給年金額の合計額は25万6900円~38万8900円となります。子どもの加給年金額は、1人目および2人目の子が各22万3800円、3人目以降の子が各7万4600円です。
 
妻が65歳になると、それまで夫に支給されていた加給年金額が打ち切られます。このとき妻が老齢基礎年金を受けられる場合には、一定の基準により妻自身の老齢基礎年金の額に加算がされます。これを振替加算といいます。
 

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どのように改正されたか

加給年金は厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある夫に、65歳到達時点で生計を維持している65歳未満の妻、または子がいるとき、夫の年金に加算されます。
 
従来、妻が在職老齢年金に該当している場合、妻に年金が一部でも支給されている場合は夫への加算は停止されますが、全額停止されている場合は、夫への加算があるといった不合理が生じていました。
 
2022年4月より、この不合理を解消するために、妻が老齢厚生年金を実際に受け取っていなくても、受ける権利を持っている場合(在職によって支給が停止となっているケース等)、配偶者加給年金額は全額支給停止されることになりました。
 
ただし、既得権保護の観点から、以下の1および2の要件を満たす方については、令和4年4月以降においても、加給年金の支給を続ける経過措置が設けられました。


1.令和4年3月時点で、夫の老齢厚生年金または障害厚生年金に加給年金が支給されている。

2.令和4年3月時点で、加給年金額の対象者である妻が、厚生年金保険の被保険者としての期間が240月以上ある老齢厚生年金などを受給する権利を持っており、全額が支給停止されている。

 

出典

日本年金機構 加給年金額と振替加算
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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