更新日: 2022.05.18 厚生年金

パート主婦が年金を月額7500円増やすには、勤務先の社会保険に何年加入すればいい?

執筆者 : 柘植輝

パート主婦が年金を月額7500円増やすには、勤務先の社会保険に何年加入すればいい?
パートで働く主婦の方も、働き方によっては社会保険に加入して将来受け取る年金を増やすことができます。
 
パートで働きながら年金を月額7500円増やしたい場合、勤務先で社会保険に何年加入すればいいのでしょうか。働く主婦の疑問に回答します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

パートで働く主婦が勤務先の社会保険に加入するとどうなる?

パートで働く主婦の方が勤務先の社会保険に加入する場合、夫の扶養から外れ、勤務先で健康保険と厚生年金に加入することになります。
 
今までより保険料の支出が増える反面、将来は厚生年金が受け取れるようになり、結果的に受給できる総年金額が増えます。
 

勤務先で厚生年金に加入するには?

パート勤務など短時間労働者の方が勤務先で厚生年金に加入するには、原則、週の労働時間および月の出勤日数が原則、一常時雇用者の4分の3以上であることが必要になります。
 
しかし、一定の要件を満たすことで、短時間の勤務であっても社会保険に加入できる場合があります。
 
この短時間勤務の場合の加入要件は、令和4年10月以降、以下のように段階的に緩和されていくことが予定されています。

図表1

 
出典:日本年金機構 「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
 

将来受け取れる年金を月額7500円増やすには?

厚生年金に加入して働くことで増える老齢厚生年金(報酬比例部分)について簡単に説明しますと、下記の計算式が支給額の計算の基になります。
 
平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数
 
平均標準報酬額額とは、厚生年金に加入していた期間における標準報酬月額の総額や標準賞与の総額を加入期間で割った数値(変動や上限はあるものの、おおむね毎月の給与や受け取った賞与に比例)となります。つまり、より高い給与で、より長く働くほど、将来受け取る厚生年金額が増えるということです。
 
では、パートで働く主婦の方が将来の年金を1ヶ月当たり7500円程度増やすには、厚生年金に何年間加入する必要があるのか、毎月の給与(標準報酬月額)ごとに簡単にシミュレーションしてみます(国民年金保険料について、未納や猶予・免除期間はないものとしています)。
 

毎月8万8000円の給与で働いた場合

仮に毎月8万8000円の給与で働いている場合、およそ16年間(192ヶ月)、厚生年金に加入することが必要となります。
 
8万8000円×5.481/1000×192ヶ月÷12ヶ月(月額換算分)=約7700円
 

毎月11万8000円の給与で働いた場合

仮に毎月11万8000円の給与で働いている場合、およそ12年間(144ヶ月)、厚生年金に加入することが必要となります。
 
11万8000円×5.481/1000×144ヶ月÷12ヶ月(月額換算分)=約7760円
 

毎月15万円の給与で働いた場合

仮に毎月15万円の給与で働いている場合、10年程度(110ヶ月)は厚生年金に加入することが必要となります。
 
15万円×5.481/1000×110ヶ月÷12ヶ月(月額換算分)=約7536円
 

パートで働いて年金を増やすことは十分可能

パートで働く方は勤務先の社会保険に加入することで、将来受け取る年金額を増やすことができます。
 
ただし、1ヶ月の年金額を7500円程度増やそうとするのであれば、今回の試算で前提とした給与の場合、10年から16年程度は厚生年金に加入して働く必要がありそうです。
 
パートで働く理由の中に「老後への備え」もある場合、将来受け取れる年金をいくら増やしたいかという観点から、働き方について考えてみるといいかもしれません。
 

出典

日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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