更新日: 2022.05.24 その他年金

障害年金を受給するための条件。いくらもらえる?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

障害年金を受給するための条件。いくらもらえる?
障害年金は、日常生活や労働が著しく制限されるような障害を負ったときに給付されます。ただし、障害年金は加入している公的年金の種類によって受給要件や受給額が異なるため、人によって違いがあります。
 
障害の程度によっては、ベッドで寝たきり状態になる可能性もあるため、障害年金の受給要件や金額を知っておくことは重要です。ここでは、障害年金を受給するための条件や金額などを解説します。
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障害年金とは?

障害年金とは、病気やけがで生活や仕事が制限されるようになった場合に給付される公的年金です。「年金」ですが、老後世代のみならず、現役世代の方ももらえます。
 
ただし、障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診療を受けたとき(初診日)に、国民年金に加入していた方は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた方は「障害厚生年金」が請求できます。
 
図表1は障害年金の違いを簡単にまとめたものです。
 
【図表1】

加入している年金の種類 金額 主な対象者
障害基礎年金 国民年金 等級に応じて定額 自営業や個人事業主など
障害厚生年金 厚生年金 支払った保険料と加入期間の月数によって異なる 会社員や公務員など

なお、障害年金が受け取れるのは初診日から1年6ヶ月以上経過し、障害等級表に該当している65歳未満の方のみです。
 

障害基礎年金を受給するための条件

障害基礎年金は図表2の受給要件を満たした方を対象とした障害年金です。
 
【図表2】

受給要件
対象者 ・国民年金に加入している方
・国民年金に加入する前の20歳未満の方
・国民年金に加入していない60歳以上65歳未満
障害の程度 障害の状態が、障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に、障害等級表に定める1級または2級に該当している
納付要件 初診日の前日において次のいずれかを満たしていること(※)
・初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されている
・初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

(※)20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は納付要件は不要
 
出典:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
 
分かりやすくいえば、国民年金をきちんと納めている方か、20歳未満の方、60歳以上65歳未満の方で1級や2級に該当する障害を負うと、障害基礎年金がもらえます。障害基礎年金の請求時期は、障害の状態に該当した時期に応じて、図表3のように2通りあります。
 
【図表3】

障害基礎年金
障害認定日による請求 障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に障害等級表に定める1級または2級に該当している状態なら、障害認定日の翌月分から年金を受給できる
事後重症による請求 障害認定日に障害等級表に定める1級または2級に該当していなかった方でも、症状が悪化して法令に定める障害の状態になったときは請求日の翌月から年金を受給できる

出典:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
 
障害基礎年金は障害を負ったタイミングと、症状が悪化したタイミングで請求できます。障害を負ったときは2級と認められなくても、その後症状が悪化すれば障害基礎年金が給付されます。図表4は障害基礎年金が支給される障害の状態を簡単にまとめたものです。
 
【図表4】

障害の状態 障害の例
障害の程度1級 他人の助けなしでは日常生活のことがほとんどできない障害の状態 入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られているような方
障害の程度2級 他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活や労働は困難な障害の状態 入院や在宅で、活動の範囲が病院内や家屋内に限られているような方

出典:障害年金ガイド令和4年度版|日本年金機構
 
障害基礎年金の場合、労働が制限されても、日常生活にほとんど支障がない状態の障害だと年金は給付されません。
 

障害基礎年金の年金額

障害基礎年金の年金額は図表5のとおりです。
 
【図表5】

年金額(令和4年4月分から) 子の加算額(※)
障害の程度1級 97万2250円 2人まで、1人につき22万3800円
3人目以降、1人につき7万4600円
障害の程度2級 77万7800円

(※)18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子
 
出典:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
 
障害基礎年金の場合、障害の程度によって年金額が一律で決まっています。また、障害を負った方によって生計を維持されている子供の人数によって年金額が加算されます。例えば、障害の程度1級で子供が2人いる場合、もらえる障害基礎年金は年額141万9850円です。
 

障害厚生年金を受給するための条件

障害厚生年金は図表6の受給要件を満たした方を対象とした障害年金です。
 
【図表6】

受給要件
対象者 厚生年金に加入している方
障害の程度 障害の状態が、障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に、障害等級表に定める1級から3級のいずれかに該当している
納付要件 初診日の前日において次のいずれかを満たしていること
 
・初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されている
・初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

出典:障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
 
短くまとめると、厚生年金をきちんと納めている方が障害等級表の1級から3級のいずれかに該当した場合、障害厚生年金が給付されます。
 
なお、障害等級表の1級、2級に該当する障害の場合、障害厚生年金と障害基礎年金の両方が給付されます。障害厚生年金の請求時期は、障害の状態に該当した時期に応じて、図表7のように2通りあります。
 
【図表7】

障害厚生年金
障害認定日による請求 障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に障害等級表に定める状態なら、障害認定日の翌月分から年金を受給できる
事後重症による請求 障害認定日に障害等級表に定める障害の状態に該当していなかった方でも、症状が悪化して法令に定める障害の状態になったときは請求日の翌月から年金を受給できる

出典:障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
 
障害厚生年金も障害基礎年金と同様に、障害が悪化したタイミングで請求できます。図表8は障害厚生年金が支給される障害の状態を簡単にまとめたものです。
 
【図表8】

障害の状態 障害の例
障害の程度1級 他人の助けなしでは日常生活のことがほとんどできない障害の状態 入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られているような方
障害の程度2級 他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活や労働は困難な障害の状態 入院や在宅で、活動の範囲が病院内や家屋内に限られているような方
障害の程度3級 労働が著しい制限を受ける、あるいは著しい制限を加える必要がある障害の状態 日常生活にはほとんど支障はないが、労働には制限がある方

出典:障害年金ガイド令和4年度版|日本年金機構
 
障害厚生年金は障害基礎年金と違い、日常生活にほとんど支障がない障害の程度でも、障害年金が給付される場合があります。
 

障害厚生年金の年金額

障害厚生年金の年金額は図表9のとおりです。
 
【図表9】

障害厚生年金の額 障害基礎年金の額 配偶者の加算額
障害の程度1級 報酬比例の年金額×1.25 97万2250円+子の加算額 22万2380円
障害の程度2級 報酬比例の年金額 77万7800円+子の加算額 22万2380円
障害の程度3級 以下のどちらか多い方
 
・報酬比例の年金額
・最低保障額58万3400円
なし なし

 
報酬比例とは、障害厚生年金の年金額を決める基礎です。年金の加入期間や過去の報酬などに応じて決まり、計算方法は以下のとおりです。
 
・{平均標準報酬月額×(7.125÷1000)×平成15年3月までの加入期間の月数}+{平均標準報酬額×(5.481÷1000)×平成15年4月以降の加入期間の月数}
 
障害厚生年金の場合、障害の程度が1級、2級だと障害基礎年金も一緒に給付されます。また、障害を負った方の生計で維持されている65歳未満の配偶者がいるとき、配偶者の加給年金額も加算されます。
 
ただし、労働は難しいが日常生活を送れる障害の程度3級だと、障害基礎年金と配偶者の加給年金はもらえず、障害厚生年金の報酬比例の年金額か最低保証額58万3400円のどちらか多い方が給付されます。
 

厚生年金加入者には障害手当金がある

障害手当金とは、厚生年金に加入している方が、障害厚生年金を受け取れる状態よりも軽い障害が残ったときにもらえる手当金です。障害手当金の給付要件は図表10のとおりです。
 
【図表10】

受給要件
対象者 初診日時点において厚生年金に加入している方
障害の程度 障害の状態が、障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に、障害等級表に定める障害手当金の障害の状態に該当する
障害の状態 次の全てに該当していること
 
・初診日から5年以内に治っていること(症状が固定)
・治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと
納付要件 初診日の前日において次のいずれかを満たしていること
 
・初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されている
・初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

出典:障害年金ガイド令和4年度版|日本年金機構
 
障害手当金で受け取れる一時金の金額は次のいずれか多い方です。


・報酬比例額の年金額×2年分
・最低保証額116万6800円

障害手当金は初診日から5年以内に治っている場合、申請できます。この場合の「治った」は障害の原因である病気やけがが良くなっただけでなく、「医学的に見て症状が安定し、長期にわたって疾病の固定性が認められ、医療効果が期待できない状態」も含めます。
 
厚生年金に加入しており、障害厚生年金が受給できなかった方は、障害手当金に該当する可能性があるため、確認してみましょう。
 

障害年金は公的年金によって受給条件が異なる

障害年金は、厚生年金と国民年金のどちらに加入しているかで、受給条件や年金額が異なります。また、障害年金は手続きをしないと受け取れない年金で、多くの書類をそろえたり、窓口に行ったりする必要があります。
 
自分や家族が代理人になって手続きを済ませることもできますが、時間や手間が掛かり、やり直しになる可能性もあります。障害年金の受給手続きは、社労士に依頼することも検討してみましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(令和4年4月1日改正)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 障害年金
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 障害年金ガイド 令和4年度版
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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