日本の年金制度は3階建て? 今さら聞けない年金制度の仕組みを解説

配信日: 2022.05.25

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日本の年金制度は3階建て? 今さら聞けない年金制度の仕組みを解説
日本の年金制度は3階建てになっているといわれていますが、具体的にはどのような仕組みになっているのでしょうか?
 
この記事では、国民年金や厚生年金といった公的年金、企業年金や私的年金、国民年金基金など、日本の年金制度を構成するさまざまな種類の年金制度をご紹介し、今さら聞けない年金制度の仕組みを解説します。
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日本の年金制度は3階建てになっている

日本の年金制度は、1種類の年金ですべてをまかなうのではなく、複数の階層構造になっているのが特徴です。
 
年金制度の1、2階部分を構成するのは、国民年金と厚生年金です。いずれも、国が主体となって運営する、公的年金と呼ばれるものです。
 
そして、企業や個人が独自に年金を増やす仕組みが、3階部分に相当する、私的年金と呼ばれるものです。

 

年金制度の1、2階部分は公的年金

年金制度の1階部分は、すべての年金のベースとなる国民年金です。20~60歳までの全国民が対象となる国民年金は基礎年金とも呼ばれ、加入することで、最低限の老後の生活費をまかなえます。
 
さらに、民間企業で働く方や公務員の方は、企業や組織が保険料をサポートする厚生年金に加入することで、より多くの年金を受給できます。これが、年金制度の2階部分です。

 

年金制度の3階部分は私的年金

年金制度の3階部分を構成するのが、私的年金と呼ばれる年金制度です。
 
国民年金や厚生年金に加え、企業が独自に運営する年金制度や個人年金を上乗せすることで、老後の資金をより豊かにすることが私的年金の目的です。

 

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公的年金(1、2階部分)の仕組み

国民年金では一定額の保険料を支払い、将来、支払った月数に応じた国民年金を受給します。これが年金制度の1階部分です。
 
一方、厚生年金では収入に応じた保険料を支払い、保険料の一部を企業や所属する組織が負担します。厚生年金の保険料には国民年金の保険料も含まれているため、厚生年金の加入者は国民年金に加えて、2階部分に相当する厚生年金を受け取れます。
 
したがって、自営業や厚生年金加入者に扶養される方の年金は1階建て、民間企業で働く方や公務員の方の年金は2階建てが基本になります。

 

20歳以上の全ての人が加入する国民年金

国民年金は国が運営する公的年金で、全ての国民が対象です。ただし、民間企業に勤める方や公務員として働く方は、国民年金から厚生年金に自動的に切り替わります。
 
国民年金の加入期間は、20~60歳です。20歳になると、すべての国民が自動的に国民年金に加入し、毎月1万6590円(2022年時点)の保険料を支払います。保険料を支払った期間に応じて、将来受け取る年金額が決まります。
 
失業による収入の減少など、さまざまな事情で保険料の支払いが困難な場合は、申請すれば、支払いの免除または猶予が認められる場合があります。ただし、免除または猶予された期間は国民年金の受給資格期間には含まれますが、免除の場合はその割合に応じて将来の年金額が減少する点、猶予の場合は年金額の計算期間には入らない点に注意が必要です。

 

民間サラリーマンや公務員が加入する厚生年金・共済年金

民間企業で働く方や公務員の方は厚生年金の加入者となり、厚生年金に加入した時点で、自動的に国民年金から厚生年金に切り替わります。
 
厚生年金も国が運営する公的年金ですが、保険料の一部を企業や各組織が負担する点が国民年金との大きな違いです。なお、厚生年金の保険料は収入に応じて決まるため、定額ではありません。
 
また、公務員や教員として勤務する方は、共済年金という別の年金制度が設けられていましたが、2015(平成27)年に施行された新たな制度により、共済年金と厚生年金が一元化されました。
 
共済年金制度は廃止されましたが、共済年金自体がなくなるわけではないため、共済年金の手続きや問い合わせなどは従来通り行われます。

 

私的年金(3階部分)の仕組み

年金制度の3階部分を構成する年金は、私的年金と呼ばれています。
 
公的年金である国民年金、厚生年金に上乗せすることで、将来年金として受け取る額を増やし、後の生活を安定させることが、私的年金制度の目的です。
 
厚生年金加入者は、国民年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)に、私的年金(3階部分)を加えることで、より多くの年金を受給できます。自営業、厚生年金加入者に扶養される方の場合は、公的年金が国民年金(1階部分)だけなので、私的年金が2階部分に相当します。
 
企業年金は私的年金のひとつであり、「確定給付・確定拠出」の2タイプの年金制度があります。

 

確定給付企業年金(DB)

確定給付企業年金は、決まった金額を年金として受け取ることができる年金制度で、企業が資産を拠出し、企業が運用します。年金として決まった金額が給付されるので、「確定給付」と言います。
 
企業年金といえば、昔は「確定給付」タイプが一般的でしたが、運用利回りの低下から、近年では「確定拠出」の企業年金制度を取り入れる企業も増えてきています。

 

企業型確定拠出年金(DC)

企業型確定拠出年金は、企業が拠出した資産を個人の責任で運用する年金制度です。
 
拠出額は決まっていますが、年金として給付される額は運用の結果により異なるため、拠出額だけが確定している年金制度という意味で、「確定拠出」といいます。
 
企業型確定拠出年金には、転職の際などに解約する必要がなく、ほかの確定拠出年金制度に移行できるという特徴があります。

 

個人型確定拠出年金(iDeCo)

iDeCoの名称で知られる個人型確定拠出年金は、個人が自分で資金を拠出し、個人の責任で運用する年金制度です。
 
誰でも利用できますが、自営業の方、厚生年金の加入者など利用者の条件により、利用できる掛け金の額が異なります。
 
日本の年金制度は3階建てといわれていますが、厚生年金の加入者でない方(自営業の方、厚生年金加入者に扶養される方)が利用する場合は、iDeCoが年金制度の2階部分に相当します。また、厚生年金の加入者で企業年金などを受け取る方が、さらにiDeCoに加入する場合、iDeCoが3階部分に相当することになります。

 

厚生年金基金

厚生年金基金とは、厚生年金の一部を代行して運用し、厚生年金にプラスアルファの年金を支給する制度でしたが、2013(平成25)年の法改正により制度が終了しています。
 
制度終了以前の厚生年金基金は、企業年金または厚生年金に移行されています。

 

国民年金基金

国民年金基金とは、自営業の方が加入することで、国民年金に上乗せして年金を受給できる年金制度です。iDeCoと併用することで、より安定した老後の生活に備えますが、掛け金には上限があります。
 
国民年金基金は個人が任意で加入する私的年金ですが、自営業の方の場合、年金制度の2階部分に相当します。

 

自分の年金額を把握し必要に応じて3階部分を追加することが大切

日本の年金制度は複数の階層構造で、加入者がそれぞれ状況に応じた年金を受給できる仕組みになっています。
 
定年退職(リタイア)後も安定した暮らしを送るためには、将来、自分がどれくらいの年金を受給できるのかをしっかり把握し、必要に応じて、2階もしくは3階部分に相当する私的年金への加入を検討することが大切です。

 

出典

厚生労働省 教えて!公的年金制度 公的年金制度はどのような仕組みなの?
厚生労働省 私的年金制度の概要(企業年金、個人年金)
厚生労働省 確定拠出年金制度の概要
企業年金連合会 企業年金制度
厚生労働省年金局 年金制度基礎資料集 p.7
日本年金機構 国民年金の加入と保険料のご案内
日本年金機構 被用者の年金制度の一元化
日本年金機構 厚生年金基金加入期間がある方の年金
国民年金基金 国民年金基金制度とは?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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