パートで働く年金受給者は、2022年4月の改正後どんな影響を受ける?
配信日: 2022.05.25
そこで今回は、年金をもらいながらパートやアルバイトなどで収入を得たいと考えている人のために、パートやアルバイトで働く年金受給者が4月の改正に伴って受ける影響を見ていきます。
年金受給者はどのくらいいるの?
国民年金の受給者は令和2年度末現在で約3290万人おり、人口約1億2500万人に対しての比率は約26%で、4人に1人が年金を受給しているということになります。(※1)
公的年金を受給している高齢者世帯の66%が、総収入の80%が公的年金であると答え、そして60歳以上の人の経済的な暮らし向きは心配ないと答えた人が60%を超えます。(※2)
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非正規で働く人の動向は
労働力人口は6868万人であるのに対し、65歳以上の占める割合は922万人で約13%となっており、増加傾向にあります。そのうち、働けるうちは働きたいという人が、約40%います。(※2)
65歳以上における非正規職員・従業員は394万人となっており、65歳以上で働く人の75%超が非正規雇用で働いています。そのうちパート・アルバイトで働く人は271万人です。(※3)
短時間労働者の社会保険適用の拡大とは
令和4年10月より、パート・アルバイトなどの短時間労働者の社会保険適用が拡大されます。(※4)
現在は、短時間労働者の社会保険適用は従業員が常時501人以上いる事業所で、(1)週の労働時間20時間以上(2)雇用期間1年以上(3)賃金月額8.8万円以上であることに加え、学生ではないことが要件となっていますが、
令和4年10月からは、「従業員の雇用要件」が常時501人以上から101人以上に、令和6年10月からは51人以上となります。そして「雇用期間」は1年以上が2ヶ月以上に変わります。
年金制度の改正点は
また、令和4年4月より年金制度についても、以下の点が改正されます。(※5)
(1)繰り下げ受給の上限年齢の引き上げ
繰り下げ受給ができる年齢の上限が「70歳」から「75歳」に引き上げられます。令和4年3月31日時点で、70歳に達していない人などが対象となります。
(2)繰り上げ受給の減額率の見直し
繰り上げ受給した際の年金受給額の減額率が、ひと月「0.5%」から「0.4%」に変更されます。令和4年3月31日時点で、60歳になっていない方が対象となります。
(3)在職老齢年金制度の見直し
在職老齢年金の支給が停止される基準が見直され、60歳から65歳未満の人は、これまでの「28万円」から、65歳以上と同じ基準の「47万円」に緩和されます。
(4)加給年金の支給停止の規定の見直し
加算対象の配偶者の被保険者期間が20年以上あり、老齢・退職・障害を支給事由とする受給権を有する人について、これまではその年金が全額停止されていれば加給年金が支給されていましたが、改正後は老齢、退職を支給理由とする年金については、その支給状態にかかわらず、加給年金が支給停止されるようになります。
(5)在職定時改定の導入
年金額が毎年1回定時に改定されるようになります。その対象者は在職中の65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給者です。
年金制度改正後の影響は
上記の(4)の加給年金の支給停止以外は、年金受給者にとっては選択の幅が広がることになります。
ただし令和4年10月より社会保険適用が拡大しますので、保険料との兼ね合いなどを考えると、どう働くかは難しい判断になります。ライフプランを考え、自分に合った働き方を探り選択する必要があります。
まとめ
昨今、社会保険料や物価が上昇するなか、少しでも手取りが増える方法を考えて働きたいものです。
また、収入も大事なことですが、65歳からの老後の数十年間を健康で楽しく生きるということも大切になると思います。
出典
(※1)厚生労働省 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
(※2)内閣府 令和3年版高齢社会白書(全体版)
(※3)総務省統計局 労働力調査(詳細集計)2021年(令和3年)平均結果の概要 (P2)
(※4)日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する、健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
(※5)日本年金機構 令和4年4月から年金制度が改正されました
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表