障害年金って知ってる? 支給要件と未請求リスクについて解説!

配信日: 2022.05.25

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障害年金って知ってる? 支給要件と未請求リスクについて解説!
病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合、一定要件を満たせば公的年金から障害年金が支給されます。しかし、このような制度があること、または制度の詳細を知らなかったため、請求していないケースもあります。
 
この記事では、障害年金の支給要件と請求しなかった場合のリスクについて解説します。請求できる可能性があると思ったら、年金事務所で相談を受けましょう。
西岡秀泰

執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)

社会保険労務士・FP2級

障害年金の受給状況

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があります。日本年金機構の調査によると、2019年度末の障害年金の受給権者数は次の通りです。
 

・障害基礎年金:212万1000人
・障害厚生年金:64万3000人

 
障害基礎年金と障害厚生年金の両方の受給権を持つ人が約33万人いるので、障害年金の受給権者の総数は約243万人になります。
 
一方、内閣府の令和3年版障害者白書によると日本の障害者の総数(推計値)は約965万人です。障害者の全てが障害年金の支給要件を満たすわけではありませんが、請求漏れが多いことが国会などでも取り上げられています。
 

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障害年金の概要

老齢年金と比較して、障害年金について知っている人は少ないのではないでしょうか。障害年金の支給要件や年金額について説明します。
 

障害年金の支給要件

障害基礎年金の支給要件は次の通りです。

・障害の原因となった病気やけがの初診日が、国民年金加入中や20歳前などにあること
・障害の状態が、障害認定日に、障害等級表に定める1級または2級に該当していること
・初診日の前日に、保険料の納付要件を満たしていること

 
障害厚生年金の支給要件は次の通りです。

・障害の原因となった病気やけがの初診日が、厚生年金加入中にあること
・障害の状態が、障害認定日に、障害等級表に定める1級から3級に該当していること
・初診日の前日に、保険料の納付要件を満たしていること

 
「初診日」とは、障害の原因となった病気やけがで初めて医師などの診療を受けた日です。また、「障害認定日」とは、原則初診日から1年6ヶ月を過ぎた日(障害認定日後に20歳になったときは20歳に達した日)です。
 
保険料の納付要件は、20歳から「初診日のある月の前々月」までの期間について、3分の2以上、保険料を納付している、または保険料免除されていることが原則です。初診日が20歳前にある人は、保険料の納付要件は問われません。
 

障害年金の認定日請求と事後重症請求

障害年金の請求方法には、障害認定日請求と事後重症請求の2つがあります。
 
障害認定日請求とは、障害認定日に所定の障害状態にあり、障害認定日の翌月からの年金支給を請求することです。請求が遅れても、障害認定日の翌月にさかのぼって年金が支給されます。ただし、遡及(そきゅう)できるのは時効により5年分が限度です。
 
事後重症請求は、障害認定日に所定の障害状態になかった人が、その後に症状が悪化し障害状態に該当した場合の請求方法です。障害年金は、請求した月の翌月から支給されます。
 

障害年金の支給額

障害基礎年金の支給額(2022年4月~)は次の通りです。

・1級:97万2250円+子の加算額
・2級:77万7800円+子の加算額

 
子の加算額は、2人目までは1人につき22万3800円、3人目以降は7万4600円です。
 
障害厚生年金の支給額(2022年4月~)は次の通りです。

・1級:報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額(22万3800円)
・2級:報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額(同上)
・3級:報酬比例の年金額(最低保障額58万3400円)

 
報酬比例の年金額とは、老齢厚生年金の報酬比例部分のことです。「ねんきん定期便」(50歳未満の人は老齢厚生年金の額)などで確認できます。また、厚生年金期間が300月未満の場合は、300月とみなして計算します。
 

障害年金の請求が遅れた場合のリスク

障害年金は、請求しないと受け取れません。また、請求が遅れると受け取る年金額が少なくなるリスクもあります。
 
障害認定日請求の場合、請求が5年以上遅れると遡及(そきゅう)して受け取れる年金は5年分だけです。それ以前の障害年金は、受け取れないことになります。
 
また、事後重症請求の場合、障害年金の支給開始は請求した月の翌月となるため、請求が遅くなるほど支給開始も遅れます。診断書の取り付けなど障害年金を請求するまでに数ヶ月を要するケースもあるため、早めに請求準備をしましょう。
 

年金事務所に相談して、障害年金の請求漏れや請求遅延を防ぎましょう

障害年金の請求が遅れると、受け取る年金額が少なくなるリスクがあります。支給要件の有無を自分で判断するのは難しいため、請求できる可能性があると思ったら、年金事務所で相談を受けましょう。
 

出典

日本年金機構 障害年金の制度の概要
内閣府 令和3年版障害者白書(参考資料 障害者の状況)
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
 
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級
 

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