もらう権利がなくなる?年金の基本権、支分権、受給権の違いは?
配信日: 2022.05.31
じつは年金の請求手続きを一定の期間内に行わない場合、もらう権利を失ってしまう場合があります。長年、老後のために働いて積み上げた年金を受け取れないとなると一大事です。
今回は年金の基本権、支分権、受給権の違いを確認したのち、受給するための注意点を解説しています。これから年金を受け取る人はぜひ参考にしてください。
2級ファイナンシャルプランニング技能士
年金の基本権、支分権、受給権の概要
基本権 | 年金をもらえる基本的な権利 |
受給権 | 基本権がもとになり、資格を満たすことで年金を受け取る権利 |
支分権 | 年金を年6回に分けて受け取る権利 |
日本年金機構HPを基に筆者作成
・基本権と受給権
基本権は、年金をもらえる基本的な権利で平等に与えられています。基本権をもとにして受給権があります。
受給権は一定の資格を満たすことで、年金を受け取ることができる権利のことです。資格を満たすには、以下を合算し10年の期間が必要です。
・国民年金保険料の納付期間
・国民年金保険料を納付猶予、免除された期間
・昭和36年4月以降の厚生年金保険の被保険者および共済組合の組合員であった期間
・第3号被保険者であった期間
・国民年金に任意加入できる方が任意加入していなかった期間(合算対象期間)など
期間が10年に満たない場合でも、60歳から任意で加入する手続きで要件を満たせる場合があります。
注意点としては、受給開始年齢に到達した日から5年以内に請求の手続きをしないと受け取る権利がなくなります。万が一5年を超えても、書面で手続きすることで受給できる場合もあります。
・支分権とは
支分権とは、年金を年6回に分けてもらう権利のことを言います。分けて支給されるという風に考えると理解しやすいです。この支分権も基本権の上に成り立っています。
注意点として、支分権も請求手続きをしないと権利を失効します。権利を得て5年を超えた時点で、国が時効と認めると権利が失効となります。そのため、請求手続きは忘れずに行いましょう。
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年金の受給資格が失効する期間
年金は手続きをしないと、受給する資格を失うことをご説明しました。ここでは、年金の種類ごとに「失効するまでの期間」と「いつから計算するのか」を具体的に確認しましょう。
年金は書面で請求することで、時効の期間を超えていても5年まで遡って請求できますが、5年以上前の期間は請求できないので、手続きをしっかり行うことが大切です。
※平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金については、自動的に消滅するのではなく、国が個別に時効を援用する(時効と認める)手続きを取ります。
年金の種類 | 時効の期間 | 時効の起算日 (いつから計算するか) |
---|---|---|
老齢年金 | 5年 | 支給事由が生じた日の翌日(※) |
障害年金 | 5年 | 支給事由が生じた日の翌日(※) |
遺族年金 | 5年 | 支給事由が生じた日の翌日(※) |
未支給年金 | 5年 | 受給権者の年金の支払日の翌月の初日 |
死亡一時金 | 2年 | 死亡日の翌日 |
脱退一時金 | 2年 | 日本の住所ではなくなったとき |
※支分権については年金の支払日の翌月の初日
例)年金支払日が2月15日の場合、支分権は3月1日」
出典:日本年金機構 年金の時効
まとめ
今回は年金の基本権、支分権、受給権について解説しました。ポイントは、資格を満たすことで誰もが年金を受け取る権利がありますが、手続きをしないままでいると、大切な年金がもらえなくなることです。
年金請求の手続きをもれなく行うためには、年金制度の理解が必要です。受給するタイミングなどをご自身の生活に応じて考え、年金請求書が届いたら、しっかり請求しましょう。
出典
日本年金機構 年金の時効
日本年金機構 老齢年金ガイド
執筆者:嘉陽宗一郎
2級ファイナンシャルプランニング技能士