更新日: 2022.05.30 その他年金

【遺族年金(1)子どもがいる場合】遺族基礎年金の受給要件と年金額を解説

執筆者 : 西岡秀泰

【遺族年金(1)子どもがいる場合】遺族基礎年金の受給要件と年金額を解説
世帯主に万が一のことがあった場合に備えて、生命保険に加入する人は多いでしょう。個人でリスク対策することも重要ですが、公的な保障についても理解しておきましょう。
 
本記事では、子どもがいる場合に支給される「遺族基礎年金」について解説します。支給要件や支給額も紹介しますので、公的保障含めてリスク対策を検討しましょう。
西岡秀泰

執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)

社会保険労務士・FP2級

遺族年金とは

遺族年金とは、公的年金に加入している人が亡くなったとき、その家族に支給される年金です。遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。
 
遺族厚生年金がもらえるのは会社員などに限定されますが、遺族基礎年金は自営業の人を含むすべての年金加入者が受給対象です。
 

遺族基礎年金の受給要件と受給権者

遺族基礎年金は、一定要件を満たした人が死亡した場合、受給権者に支給されます。受給要件と受給権者について解説します。
 

受給要件

遺族基礎年金がもらえるのは、下記に該当する人が亡くなった場合です。

●国民年金を支払い中の人(※)
●60歳以上65歳未満の人で日本国内に住所のある人(※)
●老齢基礎年金の受給権者
●老齢基礎年金の受給資格のある人

※保険料の納付要件を満たす人が対象です
 
保険料の未納が多い場合、遺族年金がもらえなくなる可能性もあります。家族のためにも保険料の納付はしっかりと行いましょう。
 

受給権者

遺族基礎年金の受給権者は、亡くなった人に生計を維持されていた「子どものいる配偶者」、または「子ども」です。配偶者がいれば配偶者が年金を受け取り、いない場合は子どもが年金を等分します。
 
生計維持の認定基準は以下の通りです。

●亡くなった人と同居していた(仕送りを受けて別居の場合も対象になります)
●受給権者の年収が850万円未満(または所得が655万5000円未満)

また、子どもとは、18歳以下の子ども(高校を卒業する3月31日まで)、または障害等級1級・2級に認定された20歳未満の子どもをいいます。
 

遺族基礎年金の支給額(2022年4月1日~)

次に、遺族基礎年金額の計算方法を説明します。
 

受給権者が「子どものいる配偶者」

受給権者が「子どものいる配偶者」の場合、支給額(年額)は次のように計算します。
 
・77万7800円+子の加算額(※)
 
※1人目・2人目の加算額は22万3800円、3人目以降は7万4600円
 
子どもが3人いる場合、支給額は次の通りです。
 
・77万7800円+22万3800円+22万3800円+7万4600円=130万円
 

受給権者が「子ども」

受給権者が「子ども」の場合、支給額は次のように計算します。
 
・77万7800円+2人目以降の子の加算額
 
子どもが3人の場合、支給総額は次の通りです。
 
・77万7800円+22万3800円+7万4600円=107万6200円
 
年金は子ども3人で等分するため、1人あたりの支給額は約36万円です。
 

遺族厚生年金と年金生活者支援給付金

会社員など厚生年金加入中の人がなくなった場合、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金が支給されます。
 
また、前年の所得額が「472万1000円+扶養親族の数×38万円」以下の場合、「年金生活者支援給付金」(毎月5020円)が支給されます。これは消費税が10%に引き上げられた2019年10月に、低所得の年金受給者への支援として設けられました。
 

遺族年金額を把握して世帯主の死亡に対するリスク対策を考えよう

親が亡くなった場合、「子どものいる配偶者」または「子ども」に遺族基礎年金が支給されます。支給額は「77万7800円+子の加算額(2022年4月1日~)」です。
 
死亡に対するリスク対策は、生命保険や預貯金だけでなく遺族年金を含めて総合的に検討しましょう。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 さ行 生計維持
日本年金機構 遺族年金生活者支援給付金の概要
 
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級

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