障害年金のウソ? ホント?(20)「初診日の証明は欠かせない?」

配信日: 2022.06.15

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障害年金のウソ? ホント?(20)「初診日の証明は欠かせない?」
障害年金の相談を受けていると、ちょっとした思い違いをしている人や、誤ったうわさ話を信じ込んでいる人が少なくないことに気づきます。そうした人たちは、後になって「しまった!」となりかねません。
 
そんなことにならないために、あらかじめ正しい知識を身に付けておきましょう。第20回は「初診日の証明は欠かせない?」です。
和田隆

執筆者:和田隆(わだ たかし)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。

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初診日をはっきりさせることが大切

障害年金の請求では、初診日をはっきりさせることが大切です。初診日に加入していた年金制度によって、受給できる障害年金の種類が決まりますし、初診日によって障害認定日がいつになるかも決まります。
 
そして、障害認定日請求の場合は、障害等級の判定に関係します。事後重症請求の場合でも、障害厚生年金や障害共済年金を受給できるときは、多くの場合、受給額の算定に関係します。
 

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初診日の証明が必要ない場合もある

障害年金の受給について年金事務所へ相談に行くと、白紙の受診状況等証明書を手渡され、初診の病院でこの証明書に記入してもらい、再訪するように求められる場合があります。
 
相談者の状況が一人ひとり違うので、そうした対応をされる場合があるわけです。そんな話を聞くと、自身の傷病の初診日がはっきりしていない人などは、障害年金の請求にためらいがちになるかもしれません。
 
しかし、必ずしも初診日の証明が必要というわけではなく、初診日の証明が必要ではない場合もあります。それは、以下の場合です。
 

先天性の知的障害は出生日が初診日

 

【1】先天性の知的障害で請求する場合

先天性の知的障害については、出生時、つまり生年月日を初診日とする取り扱いがあり、初診日の証明は不要です。日本年金機構の内部文書である「業務処理要領」でも、初診日について「先天性の知的障害(精神遅滞)は出生日」と明記されています。
 
ただし、知的障害が軽度であって、ほかの精神疾患を併存している場合は、ほかの精神疾患で初めて受診した日が初診日になる可能性もあります。ほかの精神疾患の初診日が厚生年金保険の被保険者期間中にある場合などは、障害厚生年金の請求を検討するとよいでしょう。
 

20歳前は保険料の納付要件を問われない

 

【2】20歳前に初診日がある場合

20歳前に初診日がある場合は、保険料の納付要件を問われないので、初診日がいつであってもよいわけです。
 
ただし、初診日の証明はなくても、障害年金を請求する際の傷病で20歳前に受診したことがあるという証明は必要です。2番目の病院のものでも、3番目の病院のものでも構いません。
 
この証明というのは、通常は受診状況等証明書ですが、現在もその病院を受診している場合は、診断書にその旨記入してもらえば事足り、受診状況等証明書は不要です。
 
なお、18歳6ヶ月前に2番目以降の病院を受診していることが証明できる場合や、20歳到達日までに症状固定のあったことが証明できる場合は、20歳到達日が障害認定日になります。
 
このため、障害年金の請求は比較的に楽です。しかし、初診日がもっと後で、障害認定日が20歳到達日より後になる場合は、障害認定日請求は難しくなります。
 

いつであっても保険料納付要件を満たしていれば

 

【3】初診日がいつであっても保険料納付要件を満たしている場合

例えば、20歳以降に国民年金保険料を欠かさず納めている場合や、保険料の未納期間があっても、どの月でみても3分の2以上の保険料納付要件を満たしている場合などは、初診日の証明ができなくても問題はありません。
 
現在の病院で診断書を書いてもらい、極端にいえば、それ以前の病院すべてについて、自身で「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成すればよいわけです。
 
ただし、これは障害基礎年金を事後重症請求する場合のことです。障害基礎年金の障害認定日請求をする場合や、障害厚生年金、障害共済年金などを請求する場合は、初診日を証明するための資料が求められます。
 

初診日の証明が必要というのは、あくまでも原則

上記のように、障害年金の請求には初診日の証明が必要というのは、あくまでも原則で、いろいろと例外があります。「初診日の証明は欠かせない? 」の「ウソ・ホント」は「ウソ」といえるでしょう。
 
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

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