更新日: 2022.06.22 国民年金

18歳で成年。国民年金も18歳から加入になるの?

18歳で成年。国民年金も18歳から加入になるの?
2022年4月より、成年は20歳から18歳へ引き下げられました。約140年ぶりの民法の改正となりましたが、公的年金への加入についても変わるのでしょうか?
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

年金への加入年齢は変わらず

2022年4月から18歳(※すでに18歳になっていた20歳未満の人は2022年4月1日)になると、成年とされることになり、自分の意思でクレジットカードやローン、賃貸借の契約ができるようになりました。
 
一方、公的年金制度への加入義務についてはこれまでどおりです。
 
18歳になっても国民年金には加入せず、高校卒業後に大学などに進学した場合、20歳になってからその第1号被保険者として加入することになり、20歳の到達月から国民年金保険料(2022年度:月額1万6590円)の納付義務が発生します(【図表1】。※高校卒業後に就職した場合は20歳未満でも国民年金第2号被保険者として加入)。
 

 

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20歳になると自動的に国民年金に加入。基礎年金番号を通知

ただし、年金加入の手続き面では、近年若干の改正が行われています。
 
20歳を迎えた際、国民年金第1号被保険者としての、加入のための市区町村への手続きについては、2019年10月以降不要となりました。原則、20歳になると自動的に、当該被保険者となったことについて記載された「国民年金加入のお知らせ」や国民年金保険料の納付書が届きます。
 
また、2022年4月に年金手帳が廃止されましたが、国民年金加入により、自身の基礎年金番号が設定され、基礎年金番号通知書も送られることになっています(「国民年金加入のお知らせ」などと合わせて送付)。
 

学生納付特例を希望する場合は申請が必要

【図表1】のように、20歳になって国民年金第1号被保険者となると、国民年金保険料の納付義務が生じます。
 
しかし、収入の少ない学生だと保険料を納めることも難しいでしょう。
 
本人の前年の所得が一定以下(「128万円+扶養親族の数×38万円+社会保険料控除額等」以下)であれば、学生納付特例による納付猶予を受けることができます。
 
先述のとおり、国民年金加入そのものの手続きは不要ですが、学生納付特例を受ける場合は、申請が必要です。
 
学生納付特例の申請書については「国民年金加入のお知らせ」と一緒に送られてきますが、年度(4月~翌年3月)ごとに申請が必要で、一度申請しても、進級する翌年度になって再び当該年度の申請が必要です(【図表2】)。
 

 
年金には高齢期の老齢年金以外もあります。病気やけがが原因で障害が残った場合の障害年金があり、障害年金を受給するためには、原則、保険料の納付要件を満たす必要があります。
 
保険料の未納期間が多いと受給できなくなる可能性があり、初診日(障害の原因となる病気やけがについて初めて医師等の診療を受けた日)の前日時点での納付状況で判定され、初診日の前日時点で学生納付特例の申請がされていない場合は、その対象期間は未納期間として扱われてしまいますので要注意です。
 
最大2年さかのぼって、学生納付特例の申請ができるようになってはいますが、「2年以内に申請すればよい」と考えず、早めに申請を行っておくのが望ましいでしょう。
 
なお、猶予された保険料は、10年以内であれば後で納めることができます(追納制度)。
 
大人になると、年金のことやお金のことについて考える機会も増えるでしょう。
 
若い時期から将来や“いざ”というときのことを考えて、必要な手続きは忘れずに行うよう意識しておきたいところですね。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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