更新日: 2022.06.23 厚生年金
60歳以上の収入と年金支給停止額の関係。ポイントとなる「総報酬月額相当額」とは一体何?
本記事では、厚生年金に加入しながら受け取る「在職老齢年金」のポイントとなる「総報酬月額相当額」とは何かについて、在職老齢年金や高年齢雇用継続給付などとあわせて解説します。
60歳を過ぎても、まだ働き続けたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「総報酬月額相当額」とは?
「総報酬月額相当額」とは、毎月の給与(標準報酬月額)と直近1年間の標準賞与額を12で割った額を足した額のことをいいます。
厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受給する60歳以上の方は、「総報酬月額相当額」と「基本月額」に応じて、年金額が支給停止される場合があります。そこで、60歳以降も仕事を続ける方は、以下で「在職老齢年金」の仕組みを正しく理解しましょう。
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60歳以上で働き続ける人は年金額が支給停止される可能性がある
国民年金の加入年齢は20歳以上60歳未満ですが、一方の厚生年金は60歳以降も働き、要件を満たしている場合には加入することになります。
そこでこの項では、厚生年金保険に加入しながら受け取る、在職老齢年金とはどのような仕組みなのか、在職老齢年金の計算式について解説します。「総報酬月額相当額」と「基本月額」がなぜポイントとなるのかを正しく理解しましょう。
在職老齢年金とは
「在職老齢年金」とは、60歳以上の方で、厚生年金保険に加入しながら受け取る老齢厚生年金のことをいいます。つまり、60歳以上の方が働きながら受け取る年金のことです。
2022年3月以前は、60代前半と65歳以降では計算の仕組みが異なっていましたが、2022年4月からの法改正により同じ仕組みになりました。
なお、老齢厚生年金の支給開始年齢は65歳ですが、60代前半の方は生年月日に応じて段階的に65歳へ引き上げられています。これを「特別支給の老齢厚生年金」といいます。その関係で、厚生年金の加入期間があるすべての人が年金を受給できるということではありません。
在職老齢年金の計算式
在職老齢年金の計算式は、次のとおりです。
・基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円以下の場合:全額支給
・基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円を超える場合:基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2
「在職老齢年金」は、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計が47万円を超えると、年金額は超えた額の2分の1が支給停止されます。47万円以下であれば、支給停止にはなりません。
なお、支給停止は「老齢厚生年金」に対して行われるものであり、「老齢基礎年金」は支給停止の対象外で全額支給されます。
また、加給年金額が加算されている場合は、加給年金額を除いて在職老齢年金の計算を行います。老齢厚生年金が支給(一部支給含む)される場合は、加給年金額は全額支給されますが、老齢厚生年金が全額支給停止の場合は、加給年金額も全額支給停止となる点に気を付けましょう。
高年齢雇用継続給付を受ける場合も注意!
「高年齢雇用継続給付」とは、雇用保険の加入期間が5年以上ある、60~65歳未満の加入者の給与額が、60歳時点と比較して75%未満だった場合に、雇用保険などから支払われる給付です。
最高で給与額の15%に相当する額が支払われますが、高年齢雇用継続給付を受ける方は、在職による年金の支給停止とあわせて年金の一部が支給停止になります。支給停止額は、最高で標準報酬月額の6%です。
在職老齢年金の仕組みを正しく理解しよう
在職老齢年金を計算するのに、「総報酬月額相当額」と「基本月額」が大きなポイントです。
「総報酬月額相当額」とは、毎月の給与(標準報酬月額)と、直近1年間の標準賞与額を12で割った額を足した額のことをいいます。一方「基本月額」は、老齢厚生年金の年額を12で割った額のことで加給年金は除きます。
この「総報酬月額相当額」と「基本月額」、2つの合計額が47万円を超える場合、年金額は「47万円を超えた額の2分の1が支給停止」となることを知っておきましょう。ほかにも、「高年齢雇用継続給付」を受ける場合、年金の一部が支給停止になる可能性があるため注意が必要です。
もし、少しでも分からないことがあれば、お近くの年金事務所や年金相談センターで相談してみてください。
出典
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部