公的年金の積立金運用益はどれくらい? 過去の実績と比較

配信日: 2022.06.24

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公的年金の積立金運用益はどれくらい? 過去の実績と比較
国民年金や厚生年金の加入者が納めた年金保険料は受給者の年金の支払いに充てられますが、それ以外にも年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が収益を増やすために市場で運用しています。
 
この運用によって一体どれくらいの利益が出ているのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
 
今回はGPIFによる自主運用が始まった2001年度から2021年度までの運用実績の推移について詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

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サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

そもそもどうして年金を運用する必要があるの?

日本の公的年金は現役世代が納める保険料から、その時々の受給資格者に年金を給付する「賦課方式」で成り立っています。しかし、少子高齢化の進行によってこの方式では年金制度が成り立たなくなる恐れが出てきました。
 
そこで年金制度を持続可能なものとするために4つの仕組みが導入されました。その4つの仕組みとは、「保険料の上限を厚生年金の保険料率は18.3%、国民年金の保険料は1万7000円に固定すること」「基礎年金の給付の半分を国庫負担とすること」「人口や寿命の伸びといった社会情勢に合わせて給付水準を自動的に調整すること」「年金積立金を市場で運用すること」です。
 
厚生労働大臣から寄託を受け、年金積立金の管理・運用を行っているのが年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。GPIFは長期的な運用目標を「賃金上昇率プラス1.7%」と定めています。
 

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GPIFの運用方法とは

GPIFが行っている投資は長期運用です。投資による収益は短いスパンでみると赤字と黒字を繰り返しているようにみえます。しかし、長期的な視点で投資を行うことでその振れ幅が小さくなる効果を期待できます。GPIFは50年程度取り崩す必要が生じない資金を運用しているため、より安定的に収益を得られる、というわけです。
 
また、GPIFは投資対象を国内債券・国内株式・外国債券・外国株式の4つに分散して投資しています。このように分散投資することで投資のリスクを少なくすることができます。GPIFのポートフォリオは2006~2013年までは国内債券が半分以上を占めていましたが、国内株式・外国債券・外国株式の割合を少しずつ増やしていき、2020年にはほぼ25%ずつになっています。
 

2021年度現在での累積収益額は107.6兆円

それでは、GPIFの実際の運用益はどれくらいなのでしょうか。GPIFによる年金保険料の自主運用が始まったのは2001年度からです。収益額は単年度でみるとプラスのときもマイナスのときもあります。
 
とりわけアメリカでの住宅バブル崩壊があった2007年とその翌年のリーマンショックが起こった2008年にはそれぞれ5.2兆円、9.3兆円の大きな損失を出し問題となりました。そのほか、2015年と2019年にも損失を出しています。
 
しかし、それ以外の年度ではおおむね10兆円前後の収益を上げていることが多く、とりわけ2020年度には過去最高額となる37.7兆円の収益を上げました。その結果、2021年度においての実績は収益率3.79%、累積収益額107兆6319億円となっています。
 

公的年金の積立金運用はうまくいっている?

投資にリスクはつきものですから、必ず成功するとはかぎりません。だからこそ、年金保険料の一部が投資に回されていることに不安を感じる人も多いでしょう。その一方、少子高齢化が進むなか、賦課方式だけの年金制度では現役世代の負担が大きくなりすぎてしまうこともまた事実です。
 
GPIFは長期運用と分散投資によって安全かつ効率的な運用を行っています。2021年度の段階においては、その成果は確実に出ているといえるのではないでしょうか。
 

出典

年金積立金管理運用独立行政法人 公的年金制度と年金積立金
年金積立金管理運用独立行政法人 年金積立金の運用目標
年金積立金管理運用独立行政法人 基本ポートフォリオの考え方
厚生労働省 年金積立金の運用実績の収益額の推移
年金積立金管理運用独立行政法人 トップページ 運用状況について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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