老齢基礎年金を「満額」もらうためには必要な「加入期間」と「受け取れる額」はどれくらい?
配信日: 2022.07.14
今回は、老齢基礎年金を満額で受給するために必要な年金の加入期間と、受け取れる年金額について解説します。
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
老齢基礎年金を受給するために必要な加入期間とは
老齢基礎年金は、20歳から60歳になるまでの40年間に保険料を納めた期間や、年金の加入者であった期間などを合計した受給資格期間が10年以上ある方に、原則65歳から支給されます(※1)。
受給資格期間には、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間のほか、会社員や公務員として厚生年金や共済組合に加入していた期間、合算対象期間も含まれます(※2)。
なお、老齢基礎年金はもとより、老齢厚生年金を受け取るためにも受給資格期間を満たすことが必要となります。
1. 保険料納付済期間
国民年金の第1号被保険者として20歳から60歳になるまでの加入期間のうち、保険料を納付した期間のほか、厚生年金や共済組合などの加入期間、厚生年金などの被扶養配偶者である第3号被保険者であった期間を含みます(※3)。
2. 保険料免除期間
国民年金の第1号被保険者の方が、加入期間のうち保険料の納付を全額または一部免除された期間をいいます。保険料免除期間は、老齢基礎年金の受給資格期間には含まれますが、年金額を計算する際は免除された割合に応じてその金額が減額されます(※4)。
3. 合算対象期間
合算対象期間とは、受給資格期間を計算する際には算入されますが、年金額には反映されない以下の期間(20歳以上60歳未満の期間に限る)などで、「カラ期間」ともいわれます(※5)。主な合算対象期間は以下のとおりです。
(1)昭和61年(1986年)3月以前に、国民年金に任意加入できる人が任意加入しなかった期間
(2)平成3年(1991年)3月以前に学生であるため、国民年金に任意加入しなかった期間
(3)昭和36年(1961年)4月以降で海外に住んでいた期間、(1)~(3)のうち任意加入を行い、保険料が未納になっている期間
など
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老齢基礎年金の算出方法とは
老齢基礎年金の年金額は、20歳から60歳になるまでの40年間の国民年金保険料の納付月数、厚生年金や共済組合の加入期間などから、以下の計算式により算出されます(※2)。
平成21年3月分までの国民年金保険料の免除期間は、全額免除の場合は3分の1、4分の3免除は2分の1、半額免除は3分の2、4分の1免除は6分の5として計算します。
国民年金保険料の一部免除の承認を受けた期間について、減額された保険料を納付していない場合は未納期間扱いとなり、後に保険料を追納している期間は保険料納付済期間に含まれます。
なお、学生納付特例や保険料の納付猶予を受けた期間は、受給資格期間に含まれますが、保険料を追納していないかぎり年金額には反映されません。
まとめ
老齢基礎年金は20歳から60歳になるまでの40年間、第1号被保険者として保険料を全額納付しているか、第2号被保険者または第3号被保険者であった場合に満額の年金を受給することができます。
そして、令和4年度の満額の老齢基礎年金額は、77万7800円になります。経済的に保険料の支払いが困難な方は免除や猶予の制度を利用し、未納分がある方は早めに追納して少しでも満額に近づけましょう。
出典
(※1)日本年金機構 老齢年金
(※2)日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※3)日本年金機構 年金用語集 さ行 受給資格期間
(※4)日本年金機構 年金用語集 は行 保険料免除期間
(※5)日本年金機構 年金用語集 か行 合算対象期間
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士