更新日: 2022.07.19 iDeCo(確定拠出年金)

【DC→iDeCo】退職により企業型DCからiDeCoに移るとき、どんなことに注目すべき?

執筆者 : 鈴木一成

【DC→iDeCo】退職により企業型DCからiDeCoに移るとき、どんなことに注目すべき?
今回ご紹介するのは、企業型DCの資格を喪失し、iDeCoの加入者となる方からの相談事例です。対象者者は50歳代・女性のAさんです。
 
企業型DCでは、各企業が金融機関(DCの場合、運営管理機関)を選びます。「口座管理手数料」「運用商品」「サービス」は企業が選んだ運営管理機関との間に発生するものです。
 
ある意味、選択の範囲が限られているともいえます。企業型DCでは勤務先により限定されていた選択が、iDeCoの場合は自ら好きな運営管理機関を選ぶことができるようになります。
 
では、iDeCoで運営管理機関を選ぶポイントは何でしょうか? それは「口座管理手数料」「運用商品」そして「サービス」の3つです。情報を収集し、比較検討して運営管理機関を選ぶことから始めましょう!

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鈴木一成

執筆者:鈴木一成(すずき かずなり)

1959年生まれ。一成FP社会保険労務士事務所代表。

社会保険労務士、AFP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCアドバイザー(DC協会)、企業年金管理士(企業年金連合会)、日本年金学会会員

企業勤務時代も含め20年以上にわたり公的年金を中心とした社会保険・DCをメインに、企業年金運営、ライフプランセミナー、年代別セミナー講師といった分野の業務に携わっています。企業・NPO法人等での講師経験も多数あります。

経験から得たものを付加価値として「顧客視点」でお伝えできます。「この人に出会えて良かった」と思っていただける仕事をします。

口座管理手数料とは

口座管理手数料は、企業型DCでは勤務先の企業が負担してくれている事例が多く、iDeCo加入時に初めて気付くことかもしれません。実際には、手数料を現金や振り込みで支払うのではなく、自身の資産残高から差し引かれます。
 
しかし、「負担をする」ということは「支払うこと」と同じことです。よって、この答えは1つ、「手数料が安い運営管理機関を選ぶに越したことはない」ということです。
 

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運用商品とは

もし、自分で運用したい商品が決まっているなら、取り扱っている運営管理機関の中から選びます。「手数料」には商品にかかる信託報酬も発生します。この信託報酬が安い商品を選ぶことも当然必要なことです。
 

サービスとは

サービスは、ウェブとコールセンターが2本柱となります。企業型DCでは勤務先企業からの継続教育等の情報提供があったはずですが、iDeCoでは自らが情報収集を行わなければなりません。
 
ウェブサイトやマイページといったものは、iDeCo加入後でないと確認することは難しいかもしれませんが、重要なポイントの1つと考えてよいでしょう。
 

Aさんが運用の見直し時に気を付けること

Aさんはご自身で、手数料の安い運営管理機関を選ばれました。次は、運用方針を決定する必要があります。企業型DC加入時、Aさんは深く考えることもなく運用を続けてきたとのこと。それでも、そこそこの運用結果となっていました。
 
その中で、iDeCoへの切り替えをきっかけに、「運用について再度の見直しをしたい」とのお気持ちを持っていらっしゃいました。さて、何から始めましょうか?
 
Aさんの場合、運用の見直しで最も注意すべき点として、年齢と残された運用期間を十分に考慮することが挙げられます。
 
まず、この点に関して留意すべき点は、法改正の確認です。2022年4月1日から「加入可能年齢の拡大」と「受給開始時期の選択肢の拡大」といった2点が施行されています(※)。
 
「加入可能年齢の拡大」では、iDeCoの加入対象が、従来は60歳未満の国民年金被保険者でしたが、法改正により60歳未満が撤廃され、60歳以降も国民年金第2号被保険者(厚生年金保険被保険者)・任意加入被保険者であれば、iDeCo加入が可能となりました。
 
国民年金第2号被保険者も任意加入被保険者も65歳未満の方ですので、条件を満たせば65歳未満の方はiDeCoへの加入対象となります。「受給開始時期の選択肢の拡大」では、従来の開始時期は60歳~70歳であったものが60歳~75歳へと拡大されました。
 
この2つの法改正は、高齢のiDeCo加入者にとっては大きな方向転換も視野に入れるものとなりそうです。掛金拠出期間、運用期間とも5年延長となったわけです。
 

リスク許容度診断を活用してみよう

資産配分を決定する際に用いられる、「リスク許容度診断」というものがあります。個人的には、運用初心者の方には貴重なツールだと思っています。
 
インターネットで「リスク許容度診断」と検索すると、多くの無料ツールが出てきます。質問内容はいろいろありますが、共通しているのは現在年齢の確認です。
 
サイトによっては、受取予定年齢の質問項目もあります。つまり、現在の年齢から受取までの期間の長短によって、提案される運用資産の配分割合が違ってくるものとなっているのです。
 
試しに現在年齢(生年月日)を10歳変えて、ほかの質問項目には同じ回答をしてみてください。提案される2つの配分割合は、違ったものとなる可能性があります。ただ、拡大されたとはいっても、60歳の段階で受け取ることを決めているのであれば、高齢者は「安定した運用」が推奨されるかもしれません。
 
年齢に関係なく、「リスク許容度診断」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか? 現在の配分状況との比較も、気軽にできます。
 

出典

(※)厚生労働省 2020年の制度改正 企業型DC・iDeCoの加入可能年齢の拡大(2022年5月1日施行)
 
執筆者:鈴木一成
1959年生まれ。一成FP社会保険労務士事務所代表。
社会保険労務士、AFP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCアドバイザー(DC協会)、企業年金管理士(企業年金連合会)、日本年金学会会員