更新日: 2019.01.10 その他年金
母子家庭・父子家庭のための遺族基礎年金の仕組み(2)~支給されるための故人の要件って?~
全3回のうち第2回目の今回は、その要件について触れたいと思います。
Text:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
亡くなった人についての要件
遺族基礎年金についてはまず、以下のとおり亡くなった人について、亡くなった当時の要件があります。(1)から(4)までのうち、いずれかを満たした場合に、対象となる遺族(子のある配偶者または子)に遺族基礎年金が支給されます。
亡くなった人の要件
(1)国民年金の被保険者が死亡
(2)日本国内に住所のある60歳以上65歳未満で、国民年金の被保険者であった人が死亡
(3)老齢基礎年金の受給権者(原則25年以上の受給資格期間を満たした人に限定)が死亡
(4)老齢基礎年金の受給資格期間(原則25年以上に限定)を満たした人が死亡
ただし、このなかで(1)と(2)については保険料納付要件が問われます。
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保険料納付要件の原則と特例
上記の(1)と(2)について満たさなければならない保険料納付要件は、原則か特例、いずれかとなります。
原則の要件とは、亡くなった人がその亡くなった日の前日までに、亡くなった日の前々月までの被保険者期間に保険料の納付と免除の期間が3分の2以上あることです。未納期間が多いと支給要件が満たされません。
一方、特例の要件とは、亡くなった人がその亡くなった日の前日までに、亡くなった日の前々月までの直近1年間に、保険料の未納がないことです。原則の要件に該当しなくても、特例の要件に該当すれば、納付要件は満たされます。
ただし、特例要件は亡くなった人が、亡くなった当時65歳未満であることが条件です。また、この特例要件は平成38年3月31日までの時限措置として定められています。
いずれにしても、亡くなった前日までの保険料の納付状況が問われます。亡くなる当日に本人あるいはその家族が国民年金の保険料を納めても、納付要件を見るにあたっての納付と認められません。
受給のための資格期間、老齢年金は10年、遺族年金は25年
支給要件(3)と(4)は、25年以上の受給資格期間(保険料の納付期間、免除期間のほかカラ期間)を満たして、すでに老齢基礎年金を受給しているような人や、まだ老齢基礎年金を受けていなくても、25年の受給資格期間を満たしている人が亡くなった場合を想定しています。
平成29年8月に老齢基礎年金の受給資格期間は、原則25年から10年に短縮されました。しかし、老齢基礎年金の10年への短縮に合わせて、遺族基礎年金の要件については改正されておりません。
遺族基礎年金の支給要件(3)と(4)については、カッコ内にあるとおり、受給資格期間は原則25年のままとなります。
したがって、10年の保険料納付と免除のみで、それ以外の期間について保険料納付義務があるのに未納であった人が亡くなった場合は、(3)と(4)の要件は満たしていないことになります。
以上のように、1~4いずれの要件であっても、普段から保険料を納めていないと、あるいは経済的な理由から国民年金の保険料を納められないときに免除の手続きをしていないと、もし亡くなった場合に遺族が遺族基礎年金を受けられない恐れがあることになります。
Text:井内 義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー