更新日: 2022.08.16 その他年金

令和4年度から改正した【年金制度】6つの変更ポイントをおさらい

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

令和4年度から改正した【年金制度】6つの変更ポイントをおさらい
「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律(年金制度改正法)」が2020年5月29日に成立し、同年6月5日に公布されたことなどを受け、2022年4月に年金制度の内容が一部改正されました。年金は老後の生活の助けとなる大切な制度です。この記事では、年金制度で改正されたポイントについて整理して解説します。
 
年金をすでに受給している人だけでなく、これから年金を受け取る予定の人も参考にしてください。
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年金制度の改正点は6つ!


 
2022年4月に施行された年金制度の改正点は大きく分けて6つあります。
 

(1)年金の受給開始を繰り下げられる年齢の上限の引き上げ

国民年金や厚生年金の支給が始まるのは原則65歳からですが、本人の希望により66歳以降に遅らせることも可能です。支給開始を遅らせることができる年齢の上限は、改正される前まで70歳でしたが、改正後は「75歳まで遅らせられる」ようになりました。
 
ただし、この改正の対象となるのは、2022年3月31日時点で70歳になっていない人、あるいは年金を受け取る権利を取得した日から5年を経過していない人です。
 

(2)年金の受給開始を繰り上げた場合の減額率の引き下げ

年金の受給を始める年齢は遅らせることができる一方、早めることも可能です。受給開始年齢を遅らせると65歳から支給を受ける場合より多い金額の年金を受け取ることができますが、受給開始年齢を早めると65歳から支給を受ける場合より受け取る年金の額は少なくなります。
 
2022年4月に行われた改正では、年金の受給開始年齢を早めることで減る受取額に対する1ヶ月当たりの減額率が、改正前の0.5%から0.4%に引き下げられました。
 

(3)在職老齢年金で支給が停止される基準の緩和

在職老齢年金とは、60歳以降も働いて厚生年金に加入しながら受ける老齢厚生年金です。在職老齢年金は仕事などで受けている賃金と老齢厚生年金の合計額に応じて、全額あるいは一部の支給が停止される場合がありますが、その支給停止となる基準が2022年4月の改正により緩和されました。
 
60歳以上65歳未満に対する基準は、改正前まで「総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が28万円以上」でしたが、改正後は65歳以上の基準と同じく、「総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が47万円を上回る場合」となりました。
 

(4)加給年金の支給停止となる対象者が増えた

加給年金とは、扶養する配偶者や子どもがいる厚生年金の加入者で一定の条件を満たしている人に支給される年金です。改正前までは加算対象となる配偶者の老齢(退職)年金が全額停止されているときは加給年金が支給され、一部でも配偶者の老齢(退職)年金の支給がある場合には加算年金の支給は停止されました。
 
しかし、改正後は一定の要件を満たす人を除き、配偶者の老齢(退職)年金の支給がどのような状態であるかに関わらず加算年金の支給は停止されます。
 

(5)在職定時改定制度の新設

改定前は、65歳以降の被保険者期間で年金額の改定が行われるタイミングについて、退職したときや70歳に到達したときなど資格を喪失したときとされていました。しかし、改定後は、65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給者を対象に、在職中であっても毎年1回見直しを行い10月分から年金額を改定することにルールが変わっています。
 

(6)年金手帳の廃止

改正前は国民年金や厚生年金の加入者に年金手帳が交付されていましたが、改正後は年金手帳の交付は行われず、代わりに基礎年金番号通知書が発行されています。
 

年金制度の改正内容はしっかり確認し、正しく把握しておこう!

2022年4月に改正された内容は誰もが該当するわけではありませんが、該当する人にとっては重要な内容です。例えば、年金の受給の繰り上げや繰り下げを検討している人は、今回の改定を踏まえた上で将来のシミュレーションを行い、今後の対応を判断しなければなりません。
 
そのため、まずは改正点に自分が関わっているものがあるかを確認し、関わりのある改正点があった場合には、改正された内容をしっかり把握しておきましょう。
 

出典

日本年金機構 令和4年4月から年金制度が改正されました

厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました

日本年金機構 さ行 在職老齢年金

日本年金機構 令和4年4月から65歳未満の方の在職老齢年金制度が見直されました

日本年金機構 令和4年4月から加給年金の支給停止の規定が見直されました

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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